哲学書を読む会の勉強会でした。井筒俊彦さんの「イスラーム生誕」です。無道時代つまりイスラーム教に入る前のことを言うらしい。そこでは、人間存在の場所と時は現世しかないという人生観である。現世の彼方は虚無であり、短い一生の時間の向こう側には何もない。せめてこの世にあるかぎり、楽しく物質的に充実した生き方をして、いさぎよく無の闇に没して行こう。頁174。これ現代日本の状況を言い当てているものね。だからいまだにこの国では年間自殺者が3万人もの人がいる。けれどイスラム世界ではむろん自殺というものはない。イスラム世界ではどこまでも神さまの御加護だ。今のわれらの感覚は自分の人生は自分で決めれるものと、まことに安易に思ってしまっている。このいのちもわたしというものも、こちらの持ち物であるはずがない世界で暮しているにもかかわらずである。このありようを誰も教えてくれるものはいないのが、この国の現状なのでしょう。
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