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少女マンガ×エロマンガ

2008-03-18 22:05:19 | マンガ
『エリート狂走曲』弓月光(集英社マーガレットコミックス全7巻ほか)
兵庫県の山奥から東京の小学校に転校してきた6年生・片桐哲也は、引っ越し初日から進学塾の授業風景を目撃して、東京の小学生を取り巻く受験競争の激しさにびっくりする。勉強嫌いでスポーツと遊ぶことが大好きだった哲也も、学校の担任で塾の教師でもある志乃田先生から毛嫌いされながらもガールフレンドの美波唯とともに名門・東方中学を目指して猛勉強に励むことになるが、塾の夏合宿で生徒たちを率いて叛旗をひるがえし山荘に立てこもったり、ノイローゼに追い込まれた志乃田先生に代って担任となった美人教師の信夫先生にめろめろになって関西弁をやめようとしたり…それでも鬼家庭教師の多田や唯ちゃんの応援もあって哲也の学力はだんだんと向上、いよいよ東方中学の入試の日を迎える…。



小学館派、講談社派のほかにも集英社派というのが少女マンガの大きな流れとしてあったね。りぼん→マーガレット→ぶ〜け等々。
ギャグマンガの存在の薄かった当時の少女マンガ界にあっては『つる姫じゃ〜っ!』みたいなストレートなギャグマンガもあるにはあったが、この弓月光さんや亜月裕さんのように「ストーリー・ギャグ」と呼ばれた系統が人気を博した。
後年に『みんなあげちゃう』『甘い生活』などエロ中心の作風で青年誌を舞台とするようになった弓月光さんの少女マンガ時代の代表作とされるのが『エリート狂走曲』で、週刊マーガレット1977年〜78年の連載。
主人公の哲也と同じように小6で東京に転校して私立中を受験もしたオラにとって、ほぼリアルタイムで読んで夢中になっていた作品なのだが、いま社会の敗残者として後半生を迎えて読み返すと、ストーリー優先のための御都合主義というか人物造形の薄さ、不自然さも目につく。
片桐哲也ってけっこうやなやつかもしれない…今のオラですと哲也のために何度も精神科送りにされてしまう志乃田先生に同情を禁じえない。物語の仇役である志乃田先生の目線からは哲也は身勝手で粗暴な生徒。しかしながら孤立しがちな志乃田先生に対し、哲也には常に味方となって応援してくれる者が現れる。入試の算数の難問を、事前にひそかに哲也に教えてくれようとする先生もいて、哲也はそれに対し立腹するくだりがあるが、彼が東大進学塾の入学試験で用いた手段、はたまた本番の入試でライバルの安富を不合格にさせるために用いた手段というのもそれに劣らず卑怯なもの。物語の主人公ですと許されるんでしょか。
さらに東方中学へ合格してからの、嫌煙権にヒントを得た「嫌勉バッジ・嫌勉大賞」で他人を追い落とそうとするエピソードにいたっては、政治家でも役人でもマスコミでも商社でもどこでもパワーエリートとして成功しそうな図太さ・たくましさ。志乃田先生のほうは物語全体のオチとして最後までこけにされちゃって、かわいそ過ぎ。
でもやっぱ、おもしれえわ。このたびもなんだかんだ言いながら楽しく読んじゃったね。こりゃあ一生捨てられない。
というのも細部の描き込みが丁寧で細かくて、弓月さんが綿密に取材を重ねて、当時の子どもを取り巻く社会問題も取り込んでほんとうにおもしろいマンガを描こうとしたんだなあ、というマンガ創作に賭ける情熱がひしひしと伝わってくる。
入試・模試のテスト用紙とかに、ちゃんと当時の私立中入試でほんとうに出そうな問題が手書きでびっしり描き込まれてるんですよ。
それに当時すでに、経済的にゆとりのある家庭でないといい教育を受けさせられなくなってきていたことも描かれてる。塾の生徒の母親に個人的レクチャーをする代わり肉体を要求し、ブスな母親には「あなたお金を用意したほうがいいです」と言い放つ東方中のエロ教頭。
…そう。やっぱりこのマンガの魅力の核はエロなのかもしれんね。『エリート狂走曲』とか『変人クラブ』のノリのままハードなエロ描写に突入するマンガがあったらすげえだろうなあ。
あるにはある繊墜運融錣らコアマガジンで単行本化(2巻)された、すえひろがりさんの『K.A.A.R.』こそがそれに近い。
すでに事実上の禁書あつかいとなっており、マンガ・アニメも含め児童ポルノに対する取り締まりが強まりそうな今後ますます入手困難となってゆきそうなので、愛好家は早めにゲットされたし。

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