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『休暇』

2008-10-18 23:04:28 | 映画(映画館)
@新百合ヶ丘・川崎市アートセンター、門井肇監督(2008年・日本)
「死刑執行の際、支え役を務めれば一週間の休暇を与える」 生と死の間でゆれ動くひとりの人間が、やがてたどり着く場所とは―
死刑囚を収容する拘置所に勤務する刑務官たち。彼らは死刑囚や、面会に訪れる親族たちを通して、常に死と向き合わせられ、緊張を強いられる厳しい勤務を毎日こなしている。ベテラン刑務官・平井(小林薫)もそのひとり。感情の起伏を表さずに職務を淡々とこなす男。そんな平井が、まだ6歳の子どもを持つシングルマザーの美香(大塚寧々)と結婚することになった。なかなか打ち解けない連れ子との関係を築く間もないまま挙式を目前に控えたある日、死刑囚・金田(西島秀俊)の執行命令が下る。緻密な鉛筆画を描くことが好きで、刑務官にさからうこともなく穏やかに日々を過ごす金田。そんな金田の様子を見てきた平井は、執行の際、絞首刑で落下してくる受刑者の体を支える「死刑執行補佐」を務めれば1週間の休暇を与えられると知り、新しい家族とともに生きるため、その役目を引き受ける決意をする…。



未決囚の刑が確定すると、拘置所から刑務所へ移されて懲役の日を送るという。そんななか、死刑の判決が確定した死刑囚のみ刑務所へは移されず、拘置所の中にある独房で執行までの日を過ごすという。
そうした死刑囚たちの日常生活を管理する職務。実際にそうした刑務所などの仕事にたずさわっていた坂本敏夫氏がアドバイザーを務め、拘置所長役で出演もしていてリアルな描写を追及している。
たいへんな仕事である。オラ前に、拘置所に入れられる被告がケツ穴になにか隠し持ってないか探られることについて、指を入れられる被告よりも「堀江貴文や堤義明のケツ穴の感触を、ゴム手袋ごしに感じなければならない係官の仕事は過酷だ」などと書いたことが。そ~ゆ~笑い話では済まされない。本当に過酷だ。みなさまの税金で食べさせてもらえる、身分の安定した公務員でなければやってられない。
しかしそういった、われわれの日常の暮らしからは隔離された特殊な職務についてのショッキングな映画化、ということにとどまっていない。職場においてはあまりにも特異な経験をしなければならない彼らもまた、家に帰ればひとりの男であり、夫であり、父である。
そして死刑囚にもまた、彼らの人生が。刑務官にとっては職場である場所、そこはまた、死刑囚にとっては人生最後の日々を閉じ込められて過ごす場所。死刑執行の決まった死刑囚と、結婚の決まった刑務官、究極の運命が交錯する。
そこにはもはや、普通の意味での「演技」なんてものは必要ない。演技を超えた演技、それまで生きてきたすべての現実をぶつけられるかどうか。そしてそれをやりおおせたすべての俳優、監督、スタッフさんたちに称賛の思いを止めることができない。
主役級の人たちは言うまでもなく、新入り刑務官の柏原収史、死刑囚の妹役の今宿麻美といった若い人たちにしても驚くような存在感を示している。『実録・連合赤軍』や『ぐるりのこと。』とともに、本年豊作の日本映画を画する、現実に立脚した人間ドラマの秀作といえよう。ロードショー時にはひっそりと上映されていて見逃してしまったが、見た人はみんなほめちぎっていたのを「しんゆり映画祭」でようやく見ることができた。12月中旬には下高井戸シネマのモーニングショーで上映される模様。

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