マガジンひとり

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旧作探訪#104 『アメリ』

2010-09-01 22:54:16 | 映画(映画館)
Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain@高田馬場・早稲田松竹、ジャン=ピエール・ジュネ監督(2001年フランス)
見る人みんなが幸せになる“アメリ現象”が各国を席巻!…内気なアメリの不器用な恋の行方
空想の中でひとり遊びをしていた小さな女の子アメリ・プーランは、そのまま大人になって(オドレイ・トトゥ)モンマルトルのカフェで働いている。彼女の好きなことはクレーム・ブリュレのカリカリの焼き目をスプーンで壊すこと、サンマルタン運河の岸で水切りをすること、そして、周りの人たちの人生を今よりちょっとだけ幸せにする小さな悪戯をしかけること。子どもの頃の宝箱や40年かかって届いた亡き夫からの手紙を受け取った隣人たちの幸せの涙をこっそり覗いては満足だった。しかし、彼女の人生は、捨てられたインスタント証明写真のコレクターでありポルノショップで働くニノ・カンカンポワ(マチュー・カソヴィッツ)との出会いによってある日、突然、混乱をきたす。人を幸せにするどころか、とろけるような優しい笑顔のニノにアメリはなかなか恋心を打ち明けることができない。アメリの最も苦手な、現実との対決、不器用な恋に必要なのは、ほんの少しの勇気…。



一昨日も述べた、50歳の若さで亡くなったイトコの姉ぇーちゃんの旦那さんは優しい人で、昨年9月の告別式、形見分けというわけでもないが、オラのような遠い親戚にも、あわただしい日々のいつ用意したのか、亡くなる1ヵ月ほど前に彼女が友だちと訪れた東京ディズニーランドでの写真をくれた。
なんていうのか白亜のお城の前で、とってもかわいい笑顔で写っている彼女を見ると、今も涙ちょちょぎれ─。
同時に彼女は、3年ほど前から回転すし『くら寿司』でのパート勤務も続けており、ヘトヘトになって帰ってくると、一人息子さんから「お母さん、くさ〜い!!早く着替えて」と、鼻をつままれたのだとか。酢飯と生魚で。
それを知らなかった頃のオラ、TV番組『シルシルミシル』で、さまざまなことが機械で制御され、客席から隔離されて監視カメラまである同店の厨房の様子におそれをなして、弊ブログで「働きたくない食べたくない」などと書いてしまったことが。
今ならわかる。『くら寿司』は握りずしのテーマパークを目指しているとも聞いた。心優しく、家族思いで友だち思いの彼女は、同じ働くのなら、たとえ裏方でも、人を楽しませる仕事に就きたかったに違いない。
安くていろんな種類を食べられる回転すしは、わが国の誇るアミューズメント施設かもわからない。で、先日の法事の席で、彼女の甥っ子にあたる=例の消防団のイトコくんの長男=青年が2008年に高校卒業後、家業の職人になる前段階の、世間を知る修養も兼ねて、大手スーパーにいったん就職している、その仕事が非常にキツイとのこと。
早朝から深夜まで、土日が休みとは決まっていない勤務で、ついこないだも、貧血を起こして倉庫で倒れていたところを発見されて、救急車で搬送された─。法事の日は元気そうではあったが。
その彼は、イケメンということもあって、オラと正反対に高校当時から女を切らしたことがない青春を過ごすが、今の最大の楽しみは、休日に一人で寝そべって映画のDVDを見ることなんだとか。さっそくオラ「むかしのバブル期にも“カウチポテト族”というのがあって─」と。彼の父のイトコくんも、100本以上録り貯めたベータマックスのビデオテープを、すべてDVDにダビングしたという剛の者だったりも。血筋は争えない。
そして、そう考えると、外食やパチンコや映画や小説といった、旧態依然の時間消費型の娯楽産業にも、今は多少不景気かもわからないが、根強い需要があると申せましょう。きょうの『アメリ』も、“映画の日”で2本立て800円という安さも手伝って、ほぼ満席。しばらく前の『愛のむきだし』では立ち見が出るほどの盛況だった早稲田松竹も、2002年には、いったん休館したこともあると聞くが、「同じ時代の名作」というかスタンダードになりうる作品への待望がうかがえる。『アメリ』の日本公開は2001年11月、シネマライズ単館で始まって、やがてミニシアター系の映画としては稀なほどの話題作・大ヒットになった。
カウチポテト族ではないが、テオ・アンゲロプロスやペドロ・アルモドバルと並んで、作風の固定された、一部から熱心な支持を受けるが、一般には広まりにくい傾向の映画監督ではないだろうか、ジャン=ピエール・ジュネ。
『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』と、細部を作り込んだ、ダークで閉じた世界観からは、テーマパークでいえばお化け屋敷の類いであろう。そのまんま『エイリアン』シリーズの4作目を手がけることに。その後の『アメリ』。
内気で空想好きな主人公が、現実と向き合おうとするシナリオは、まさにジュネ監督の思いでもあったろう。巨額を調達しなければならない映画製作を続けるためには、もっと一般の人にも訴えかけなければ─。それまでの、ダークで閉じた世界観を残しつつ、ほのかに光が差し込んでくるような明るさがある。加工されたパリを舞台に“おしゃれなフランス映画”の系統にも連なるあたりが、興行的な強みにもなったのでわ。
でも、このたび、後半に進むにつれ、飽きてしまって。他の人の感想も聞きたいところだ。
思うに、個性的な作風の映画監督と出会うとき、どの作品を最初に映画館で体験するか、ということも重要ではないだろうか。タランティーノ映画と出会うのに、『パルプ・フィクション』を映画館の公開で見られた人は幸せでしょう。オラ会社勤務時代は、映画館で見たのが、せいぜい15本くらいに過ぎず、それは見られなかったが、ジュネ監督の『ロスト・チルドレン』との出会いは強烈だった。無職になってたくさんの映画を見られる今ならあら探しできるのかもしれないが、完璧な映画体験の一つとして、一生たいせつにしたい。
そして、そういう出会いをさせてくれる場として、個性的な映画をかける配給会社や映画館が、この不景気や、若者の洋画・洋楽離れなどで立ち行かなくなるのは寂しい。『アバター』みたいな映画、村上春樹みたいな小説だらけになってしまうと、その作品は大ヒットして儲かるとしても、業界全体の裾野としては狭まってゆく気がするんです。
現今、団塊世代の定年退職により、お金はあんまり使いたくないが、時間なら腐るほどあって、つぶし方を見つけあぐねている消費者が大量供給されるというチャンス到来でもあると思うのだが─。

ジャンル:
映画(DVD)
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