和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

梱包の話。

2016-10-16 | 三題噺
この頃、
段ボールの箱を見ると、
その大小にかかわらず、
これをどう使おうかと、
思うようになりました(笑)。


ということで、
思い浮かんだ三冊の本。

加藤秀俊著「わが師わが友」(中央公論社)に
鶴見俊輔氏が登場する箇所があります。

「鶴見研究所のドアをはじめてあけたとき、
わたしはびっくりした。というのは、
鶴見さんの書棚には、靴の空箱がいくつも
ならべられており、その空箱にカードが
乱雑につめこまれていたからである。
本もいくらかはあったが、
本の占めるスペースより、はるかに多い
スペースを靴の箱が占領していたのだ。
鶴見さんは、あの、おだやかな微笑を浮かべ
ながら、どうです。いいでしょう、
B6判のカードは、ちょうど靴の箱にぴったり
入ります、値段はタダです、
カード入れはこれにかぎります、とおっしゃった。
なるほど・・・」(p78~)

私の最近のお気に入りは、梨の空箱。
ガムテープで閉じてから、おもむろに、
横にして真中からカット、二つの箱にする。
一つずつに、数冊の本をいれて立てておきます。
この箱だと、少し背の高い本も入る。
空箱のおかげで、本は寝かせずに、立たせます。
これだと、未読本でも配置換えが簡単。
サッと移動でき、読まずに滞っている本は、
すぐに本棚の隅に持ち運べて楽ちん(笑)。


これが三題噺の一番目。
二番目は、
外山滋比古著「消えるコトバ消えないコトバ」(PHP)。
そこに、こんな箇所。

「明治のはじめ、日本は固有の文化はすべて価値なし
と考えた。わけのわからない人間だけでなく、
国中が外国のもの、舶来のものはすぐれている。
在来のものはガラクタであると、知識人も一般も思いこんだ。
そんなとき、フランスへ陶器を輸出することになった。
陶器をそのままでは破損するおそれがあるので、
詰めものを入れた。適当なものがないので、
古い浮世絵を丸めて入れた。
浮世絵は紙くず同然、タダみたいだったらしいから、
陶器を送るときの詰めものにすれば、
もってこいである、と考えたのであろう。
買い入れたフランス側がおどろいた。陶器ではなく、
詰めものにされている浮世絵である。
ヨーロッパの人がまったく知らない美の世界がある。
しかも、すばらしい。荷物そっちのけで、
詰めものに用いられた浮世絵が評判になったという。」
(p32~33)

ネット「日本の古本屋」で本を注文すると、
いろいろな古本屋さんから届きます。
本を新聞紙に包んでから、
缶ビールの箱を裏返して梱包してあったりします。
興味をそそるのは、包んだ新聞紙が
書評欄だったり、地方新聞だったりする時(笑)。

うん。梱包の段ボール箱は
たとえば、スーパーのレジ脇に
タダで置いてあって、
私は、缶ビールを買う際に、
それに入れ、持ち帰ります(笑)。


三題噺の最後は、というと、
この箇所を引用。
三浦浩編「レクイエム司馬遼太郎」(講談社)

「釣り糸のことをテグスと言いますが、
これも、福建省でクスノキに大きなイモムシが
つくんです。ヤママユ、天蚕という蛾の幼虫ですが、
それが出す糸を天蚕糸と言います。
その福建の音がテグスです。・・・
ところで、このテグスという糸の
漁業利用法は中国には存在しないんです。
西洋にもなかった。なぜなら、中国では
漁民は中国人の中に入らないからです。
あるいは人間の中に入らないと言ってもいいかもしれない。
海というのは遠いところのもの、価値の非常に低いものなんです。
我々は漁民の末裔みたいなところがあります。・・・
つまり、日本は海の民で、しかもある程度の
ある質の現代文明を持っている、世界でも珍しい地域なんですが、
そのため、中国で生薬を梱包するひもに使われていた
テグスを漁業に使ったわけです。
中国の文化が日本に来て、不思議な変化をとげた。
このように文化を変えるところに土着のもののよさがある。」
(p163~164・多田道太郎「司馬遼太郎の『透きとおったおかしみ』」)


はい。現代のテグスはどこに?
ここしばらくは、飽きるまで、
梱包箱がたまることとなります。
来週の日曜日は、小学校の廃品回収。
児童の御両親が集めます。
こういう時に、段ボール箱は処分。

ということで、梱包の三題噺。


ちなみに、
10月9日は、地元では、祭礼でした。
午前中は雨。
軽トラの後ろにのせた
缶ビールや缶ジュースの箱が、
どしゃ降りの雨に濡れて
もう少しで、とけるような崩れ方。
それが印象に残ります。




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