うなぎの与三郎商店

目立たぬように、はしゃがぬように、似合わぬことは無理をせず、教育・古典・語学・芸能など。タイトルは落語「うなぎ屋」より。

鉄壁ガースーほか1名の未完成葬送曲

2017-06-18 23:00:00 | 随想 社会・文化私論
【鉄壁ガースーほか1名の未完成葬送曲】

《そろそろ「鉄壁ガースー」ほか1名の弔問の準備が必要か》

 不思議な新聞記事を見た——

菅氏 「怪文書」で誤算 「鉄壁ガースー」決壊
 安倍晋三首相が国家戦略特区でお友達の利益を図ろうとしたと追及されている学校法人加計学園の一件で、菅義偉官房長官が「怪文書」と断じた「総理のご意向」文書の存在を文部科学省が認めた。長官在任期間が歴代最長で、鉄壁と言われてきた菅氏の危機管理が、ここへきて破綻したのはなぜか。
 これまで閣僚の醜聞や失言で批判が高まるたびに、落ち着き払って「そのような指摘は全く当たらない」などと一蹴し、火消ししてきた菅氏。ネット上では「安定のガースー」とも呼ばれている。〔以下略〕〔毎日新聞ウェブ版2017-06-17 18:58(最終更新2017-06-17 22:28)〕


 読者の何らかの反応を期待していることが痛いほど伝わってくる記事である。私は「『鉄壁ガースー』決壊」という見出しにどうリアクションすればいいのか迷う。書いている本人(新聞記者)たちはこれまでも、またこれからも人畜無害な「しゃんしゃん記者会見」の当事者だろうに。ネット上の言葉とはいえ、何を今さらの「鉄壁」「安定」発言。盗っ人猛々しいとはこのことである。

 強権の鎧で議論を避けてきた「こわもて」にシラフの議論を期待するのは無理である。権力者が特権の中に自閉すると、下々の民は為す術がない。しかし、鎧をとってみればバカバカしいくらい貧相な体躯、幼児性丸出しのメンタリティが露わになる。「ガースー」が「鉄壁」「安定」どころか「たった一文(いちぶん)たりとも正確な文法で話すことができない」〔注)鉄面皮であることぐらい、サルや記者クラブの人間でもわかっていたはずである。「ガースー」の半分は記者クラブと忖度でできていたのではなかったのか。

 一方、詳細は省くが、最近の私は晋三がかつての子役タレント宮脇康之(宮脇健)と重なって仕方がない。初代ケンちゃんである。ホントに詳細を省くが、晋三本人のパーソナリティと晋三を取り巻く有象無象が、「天才子役」ケンちゃん(宮脇)のパーソナリティとケンちゃんを取り巻く有象無象と重なる。三度(みたび)詳細を省くが、つい最近テレビで見た宮脇健の話しぶり、その間合い、内容、時折入る不可解で乾いた笑い声が、政治家にならなかった、総理にならなかった(幸運な)晋三に思えて仕方がなかった。

 人の真価が引き際によってその一端なりとも明らかになるのなら、これから展開するに違いない「ガースー」と晋三の退却劇の醜態を私はしかと記憶にとどめておこうと思う。「ガースー」と晋三以上に、周囲の掌返しによりいっそう注意を払う。いくら民主主義の機能不全とはいえ、こんな脆く危険なパーソナリティが揃いも揃って政治のセンターに立ってしまったこの5年の日々は、極限の悪夢としか言いようがない。「ガースー」キャラ、晋三キャラの政治的役割としてのタチの悪さ、立ち回りの危うさは、筋金入りの「こわもて」が裸足で逃げ出すレベルである。こんな政治状況がこのまま続いていいはずがない。第二の「ガースー」、第二の晋三を決して政治の世界に呼び込んではならない。その思いから、今後の成り行きを注視していこうと思う。

 しかしまた、こんな政治状況がこのまま続いていいはずがない、と言いながら「『キリスト教の支配が千年もつづいたので、ひょっとするとスターリン主義も……』という、1962年春の某日に、埴谷雄高がつぶやいたこの言葉」〔注2〕というフレーズが脳裡を巡る。むしろこんな奴らになぶられる屈辱こそが政治の醍醐味だったのではないか、そんな声がする。確かに、こんな奴やこんな政府に翻弄されつつ歴史が展開していく身も蓋もない現実がある。

 それでも「ガースー」とその他1名(もう名前を書くのも億劫である)の葬送曲だけは、今のうちからしっかりとつくっておくつもりである。完成しない、葬送できないことを想像すると背筋が凍るけれど。


1.映画「ハンナ・アーレント」のトロッタ監督がアイヒマンを評した言葉。「ハウスフルなアイヒマン~ミレニアム=ミルグラムその2」2015-11-14参照。
2.黒田寛一『読書のしかた』こぶし書房、1970年、249-250頁。原文はこの後に「……つぶやいたこの言葉の意味するところのものを理解することができない、おそろしく低脳なブクロ政治屋ども」と、党派性丸出しの文章が続く。「平清盛を桜田門外で赤穂浪士に射殺させた国家元首」2014-04-21で取り上げた。
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