家にある廃材利用をコンセプトに、組み上げた初号機です。
黄色い箱は西洋カラシ(製品名はColman's Mustard)の入っていたブリキ缶で、エンジンとなるリール機構が入っています。
下の白箱はパイプ用フィルター(製品名はDenicool)が入っていました。単4電池(2本)ボックスとして使用しています。
ラインの先にある茶色のパーツは、オート・ストッパーで、マイクロスイッチ(タミヤ製です)が切れることで巻き上げが自動停止します。巻き込みによるライン切れ、竿折れ防止のため取り付けました。
リール機構は、こちら。
タミヤの「シングルギアボックス(4速タイプ)」を改良して使っています。
かなりぎりぎりの空間に仕上がっているのは、フリー機構に関係しています(詳細は後述)。
わかさぎ電動リールでは、ラインをいかに手間無くかつスピーディーに水中に沈めるか、作り手のセンスが問われます。
市販モデルに多い、スプールなりをモーターで直接回転させる方式(ギアなし方式)は、構造が簡単ゆえにフリー機構についてはあまり工夫せずに糸を素早く水中に落とすメリットがあります。
ギアなし方式のデメリットは、トルクが無い事、スプールとモーターの動力系統が水濡れした場合、スプールが回らないリスクがある事でしょう。
ギアを使いラインを巻き上げるギア方式は、トルクがあることが最大のメリットであり、わかさぎ釣の外道であるハヤ、ヤマメ、ニゴイがかかっても楽々と引き上げることができます。また、ギアがあるためラインに一定のドラグが効き、ワカサギのあたりに合わせたときにラインがリールから出て行くことがありません。
ギア方式の最大のデメリットは、フリー機構の作り込みに多少の工夫が要求されることです。
ギア音は好みが分かれますが、音も「おもちゃ」の要素の一部と考えれば、個人的にはギア音はあって良いかなと思っています。
ギア方式の場合、本体の重さ(この初号機は電池抜きで153g)もデメリットになり得ますが、わかさぎ釣りは脈釣りのため、置き竿の方があたりが見やすい可能性は否定できず、結果、重さがハンデとなることは無いと思います。
現場に出たときのライン・トラブルを想定して、リール機構は工具なしで脱着できるよう小型磁石でブリキ缶の内部に固定できるようにしています。
磁石は2個で、これも廃材利用です。
理論的には、小型磁石の磁力がモーターの磁力を弱める可能性もありましたが、回転音から判断する限り、影響は無いと思います。
写真は、リール機構を中から引っぱりだしたときのものです。
現場でライントラブルがあった場合は、このスタイルで作業します。
指先が入るクリアランスを確保するために、スプール前方の大部分は大胆に削っていますが、動作上は問題ありません。
こちらが、タミヤの「シングルギアボックス(4速タイプ)」の原型です。画像は、「TAMIYA SHOP」から拝借しました。
初号機のリール機構は、このギアボックスを90度ひっくり返して利用しています。
回転軸を地上に対して垂直にすることで、スプールとギアのかみ合せ部分に余裕スペースができ、スプールのロックが外れるように細工しています。これにより、リールの天地を逆にすることでロックからフリーに切り替えることができます。
フリーからロックに切り替えた時にギアがかみやすいように、モーターに近いギア(黄色)を面取りしています。
細かい作業工程は省きますが、この余裕スペースを作るために、またミシン・ボビンがリール機構の内部に接触しないよう、ギアボックス内部は相当削っています。ただ、プラなので加工は楽でしたが。
そもそも、90度回転して使うことをギアボックスは想定していない為、ロック、フリーを繰り返すうちに、スプールの軸が抜け落ちる可能性がありました。
これは本来想定していない使い方および加工をしているためであり、タミヤ製品が悪い訳ではないことは、念のため申し添えます。
ブリキ缶の中にリール機構を入れることで、スプール軸の上下方向の振れ幅が自然と制御されるため、軸が抜け落ちない構造になっています。
フリー時にスプール軸がブリキ缶に接触したところで、お互い鉄のため摩擦はそもそも少なく、スプールの回転に大きな影響はありません。
ただ、せまい空間に作り込んだことにより、電動リールの最大のメリットとも言える「タナ取りフック」を取り付けることができませんでした。
「タナ取りフック」があれば、タナを固定でき、ラインのバックラッシュを防止できます。
外装カバーを付けたことが裏目にでました。
巻き上げは、本体右横のマイクロスイッチでオン/オフを行います。
赤いトグルスイッチは、マニュアル/自動巻上げの切り替え用です。
竿の取り付け部分は、アルミの鉛筆カバーを利用しています。これも廃材利用です。
自動巻上げは、いわゆる「二刀流」を目指して取り付けた機能です。結果、2号機完成までは、自動巻上げを使うことはありませんでした。
写真のように、電池ボックスのフタに滑り止めテープを貼っています。
万が一外道が掛っても、滑り止めテープによってリールを水中に引き込まれらにようにしたものです。
アクリル板は硬いため、プラのようなしなりが無く、加工も自分で出来るため、持ち手としては良い素材だと思います。
ブリキ缶、持ち手、電池ボックスは、3mmのネジとスプリングワッシャーでサンドイッチのように固定しています。
こちらが、実際のスプールロック時(巻き上げ時)の姿勢です。ラインストッパーははずしています。
スプールは、ミシンのステン製ボビンですが、中心軸がずれないように加工と取り付け時はよくよく注意する必要があります。
中心軸がずれると、巻き上げの際にリールが振動することになり、使用感の低下につながります。
よって、ラインの出し入れは片手で操作ができます。
最後に現場で使用した後の感想です。
一番底での釣りだったため、「タナ取りフック」は結果的に必要ありませんでした。また、ボビンの径がそもそも小さいので、ラインの落下スピードが遅く、バックラッシュ等のライントラブルも発生しませんでした。
わかさぎ2匹掛りでも軽々と巻き上げることができ、トルクおよび巻き上げスピードに不満を感じることはありませんでしたが、
・「タナ取りフック」の取り付け
・ラインの「落下スピード」の向上
・あこがれの「二刀流」
を目指して、2号機作成に取り掛かることにしました。