暇つぶし日記
思いつくままに記してみよう
 



 

 

日曜の午後、天気は良くないものの雨は降らないようだから自転車で町を廻りギャラリーが開いていれば展覧会でも覗こうかと家を出た。 微かにどこかで陽が射しているようだけれど一昨日までの春の陽気は消え昨日は冷たい雨模様だったから用心をして外に出ないようにしていたのでこんな今日みたいな天気でも動いてみたいような気になったのだ。 町の芸術家たちが定期的に展示しているギャラリーに来てみれば会場には訪問者はだれも居らず還暦でこぼこのでっぷりとした髭面の男が一人受付に坐っているだけだった。 ここに来てみようと思ったのはコンピュータを使って画像処理をしてそれを作品にしたものを展示しているというのを町の新聞でみていたからだ。 その作品の幾つかは下のサイトに出ているものと同じだ。 元々コンピューターで処理されているものを幅1mほどの作品としてプリントアウトしたものであるからPCのモニターで観るものとは変わらない。

http://robsteenhorst.nl/robsteenhorst.nl/

髭面の男は自分の作品だと言った。 元々はグラフィックアートを美大で専攻し絵を描きそのうちCGが進んでくるとそれを使ってやるようになったのだという。 自分も日本語や寿司入門を教えていたこの町の市民大学で今もグラフィックアートを教えているのだというから今まで何回かのパーティーで袖を擦り合わせていたかもしれない。 別室で自分の作品を元にしてCG動画をモニターで見せているからというのでその動画を10分ほど観てそのあと半時間ほど見学者が来るまで色々と二人で話した。

その時ステーンホルストはあんた、日本人だったら松井冬子って知ってるだろ、あれいいね、と言ってスマホで幽霊画のような縦長の女の像を見せたのでへえ、じゃリングの貞子みたいなのが好きかいと振ると、知らない、と言った。 幽霊って日本の伝統なんだってね、日本の絵の具で描くのがいい、と100年遅いような意見をいうので丸山応挙や長谷川等伯の松林図のことなどを話した。 

松井冬子のことは知らなかったので戻ってからネットで調べたらなるほど若い世代の世界に伸びる実力のある日本人だと思った。 今は日本美術で欧米に名前が聞こえてくるのはポップカルチャー絡みが多いけれどちゃんと伝統的な日本画で自分というものを表現してそれが尚且つ日本の伝統に繋がっている代表的新世代作家だと思った。 それに東京芸大の博士号をもっていて理論武装ができているから外国語が流暢なら幾らでも世界に出ていけるように思う。 ただ「知覚神経としての視覚によって覚醒される痛覚の不可避」がトレードマークとなるとアニメや「カワイイ」より強度が緩むような気がするが外務省や文科省が海外に向けて日本文化の紹介戦略しては様になるような気がする。

ステーンホルストに松井冬子を教えてもらって二人の作風を比べてみるとその違いは明らかで、比べること自体が陳腐ではあるのだがレベルが違うような気がした。 技術は手段であっていくらCGが進んでいるとはいえ所詮は借り物、人の褌で相撲を取るようなものだと古臭いとは思いながらも自分はそう納得している。 それはDJがもてはやされているのをどこかで何か割り切れないと感じているのと似たようなものがあってCGの世界を確かめに行くのに展覧会に行ったような気がする。 それをそんな世界なのだと納得するのなら文句はないし、昔子供が遊んでいたコンピューターゲームのツームレイダーでローラ・クラフトが潜って泳ぐ水の世界に魅力を感じ面白いと思ってそこばかりマウスを動かしていたのを覚えていることを認めつつもCG技術の進歩もその頃からはもう隔世の感はあるもののそれでもそんなヴァーチャル世界には慣れない。 実際ヴァーチャルであっても何であってもそこにあるのが芸術の現実であるのだから自分は古い観念にとらわれているとおもう。 ただ松井冬子の画面に見る世界とCGで描かれる世界のそれぞれの現実では自分は松井の世界には入れてもまだCGの世界には入れない。 そこでは多分自分の芸術という観念が試されているのだと思う。 ただステーンホルストの描く画面で人物像は別として背景の水や自然の細部には魅かれるのだがその魅かれ方はよくできているなあであるけれど松井の細部のよくできているなあとは感心のポイントがかなり違うような気がする。 長谷川等伯の松林は確かにそこに現実として在るのだがCGの松林や山水はどこにもない現実なのだとどこかで思っている。

 



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