ほよほよさんぽみちNEW

いつでも君のこと好きだったよ

高石万千子歌集『外側の声』

2017-04-27 19:58:04 | 日記

 ・ああ空の白ハナミズキ滲みゆきロランの去りし柔らかな椅子 高石万千子『外側の声』

 

 いま読んでいる歌集の歌のなかに、ちょうど季節の重なる歌があって、ふと立ち止まります。

 

 ・日ぐれとも夜明けまへとも薄明り摑みたい新しい私性(わたくしせい)を

 ・遠望のそのさき見えぬ夕ぐれへふかぶかと空中遊具浮かべり

 

 自宅の最寄り駅についてバスを待つ19時前後、深い深い青い空を見上げると自分が空へ落ちていきそうな気がして、足裏に地面があることを確かめるように踏ん張っていることがあります。ちょうどこういう季節。始まりのような終わりのような、不思議な空間と時間の中にいて、怖くなります。上の二首を読んで、あ、この怖い感じ、と思ったのでした。

 

 Ⅱの章には数行にわたってさまざまなフォルムで短歌が短歌らしくなく置かれていて、解放された印象を受けます。すうっと言葉が内に入って来るような作品がいくつもあって、ここに書きたいのですが、フォルムが違うと伝わらないし、まったく別のものになってしまうので、書けません。

 

 そのⅡの章のあとがきに『影の歴史』(ヴィクトル・I・ストイキツァ)について少し触れられていて、とても興味深いので、ぜひこの本を読んでみたいと思います。

 

 本や言葉との出会いは、絶妙なタイミングがあって、縁がなければ通り過ぎてしまいますが、たまたま降ってきた花を手にとるように、見つめてみるとそこが何かの入口であったりするのでしょう。

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 靴とサンダル | トップ | リクガメ »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事