下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

島田荘司『斜め屋敷の犯罪』

2007-02-08 23:59:59 | 
『占星術殺人事件』の御手洗探偵に衝撃を受けたので、島田作品2作目を早速読んでみました。
この作品には綾辻氏も影響を受けたと対談で言っていたので、気合も入れて。

北海道、宗谷岬の荒野にぽつんと建つ「流氷館」は、斜め屋敷とも呼ばれています。
それはピサの斜塔にちなんで、建物全体が南に5度ほど傾いて建てられているからでした。
1983年のクリスマス休暇。オーナーに招待された客達。そして起こった密室殺人。
翌日、警察官も泊り込んだ館で、またしても凶行が・・・

事件の謎は「密室」で、犯行可能な者が誰一人いない状況。さらに、動機と言う面でも不可解。
つまり、Who、How、Whyという謎が警察及び読者を翻弄する贅沢な作品なのです。
提示された謎の面白さにぐいぐいと引きずり込まれていく感じですね。
館の見取り図、犯行現場、それらの図を何度見返したことか・・・(読むのに時間がかかった^^;)

作品は大きく第1章、第2章、第3章、幕間、終章という構成になっています。
御手洗は第3章になってから登場するのですが、事件は混迷を極めていくわけで。
本当に解決できるのかな~と思っていると、幕間に「読者への挑戦」が!
うそぉ! 既に全ての手がかりが揃っているのですか!?

犯人はこいつかな~と見当はつけても、実行方法についてはさっぱり分からず。
瑣末なトリックについては多少のアイディアが浮かぶものの、
肝心の密室が解けないから、やっぱり違うのかな~なんて堂々巡り(^^;
結局あきらめて、御手洗に全てを託すことになっちゃったんですが。

結果→こ、これは分からないよ~!!・・・(絶句)
しかし解説されると、もうそれしかないわけで。脱帽です。

そして御手洗。この奇人の精神構造を解明するのは大変ですね(笑)
京極夏彦氏の探偵・榎木津は、まさにこのキャラの影響を受けているのだろうと思います。
登場が派手、理解不能言動、人の名前を間違えて覚える、事件の解説は面倒くさい・・・まんまです(笑)
いや、もしかしたら他の京極キャラも、ちょっとかぶってる??
躁で奇天烈な部分→榎木津、饒舌で理知的な部分→中禅寺、鬱な部分→関口。そんな感じかな。
そう言えば、京極氏は『御手洗潔の挨拶』を読んでミステリに興味が戻ったと言ってましたね。

そして「館」ですが。
「ある種の建物の力」というものに、きっと綾辻氏は魅かれたんでしょうね。
『十角館の殺人』の時点ではさほど意識してなかったかもしれませんが、
その後の「館」のシリーズ化への展開には、この作品の印象があったんじゃないかと思います。

興味の尽きぬミステリ。書く者の影を追うこともまた楽し、ですね♪


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やばいっす。 (あかね)
2007-02-09 10:36:08
ますます読みたくなっていく~
またまたテンションが上がってきました!
やっぱり、本のために(笑)がんばろう~♪
凄い分析ですね☆ (水野達也)
2007-02-09 11:07:31
viviandpianoさん、こんにちは。

私もこのトリック読んだ時、絶句して、分かるわけないよ~と本にツッコミました(笑)

それにしても、御手洗潔と京極シリーズの登場人物との相関性についての分析は凄いですね。わたしもその通りだと思います。素晴らしい分析です(^-^)//""ぱちぱち

次は『異邦の騎士』を読まれるのでしょうか?

『異邦の騎士』は『眩暈』と並んで私の大好きな作品です♪

それでは、長文失礼しました。
あかねさん♪ (viviandpiano)
2007-02-09 23:26:22
忙しいのに羨ましがらせてごめんなさい(^^;
論文終えたら、思いっきり温泉で羽をのばして、
読書も思いっきりできますよ!
お誕生日も来るし♪

次はまた有栖川氏の『作家の犯行現場』に取り掛かっています。
未読本があるうちが花ですよね・・・無くなったらどうしよう。
水野達也さんへ (viviandpiano)
2007-02-09 23:30:08
私だけじゃ無かったんですね(笑)
御手洗探偵、独特なキャラクターですよね。
でも、まだ2作しか読んでいないので、
見当違いのこと書いてなきゃいいんですけど・・・

今は有栖川作品を読んでいますので、
次は『異邦の騎士』か『御手洗潔の挨拶』を読みたいと思っています(^^)
『眩暈』もいつか読んでみたいです。

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