ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

お年寄り向けビスケット(案)

2012-11-16 10:57:32 | 1

先日,お年寄りにビスケットを触っていただいて,いろんなことが見えてきたので,少し整理します.

もともと,ビスケットは子ども向けに作ったものであるけれど,他の年齢にも十分使えると思ってやってきてました.このUIの中で特に気をつけたのは,「自分で作った感」をすごく大切にしているということ.ボタン一つでなんでもできてしまうのだと,自分が作ったのか,コンピュータが作ったのかよく分からなくなってしまいます.世の中のコンピュータがボタン一つで動くように,どんどん自動化されてしまって,「自分で作った感」が失われてしまっている,ということに危機を感じていました.それに対抗するようなインタフェース.なので,逆に今の便利すぎるコンピュータに慣れた人には,回りくどさで使いにくいという部分もあったりするのですが,そんな人からも作る楽しみを奪いたくないという思いはあるので,わざと,手順が多めになるようなインタフェースにしてあります.

絵を描いて.できた絵の部品をステージに入れて.メガネを出してきて.メガネの左に部品を入れて.メガネの右に部品をいれると.ステージの部品が動きだして.自分の好きな動きになるように,メガネの部品の位置を調整して.最後に保存ボタンを押すと,作品が送られて.待っているとプロジェクターの大画面に自分の作品が追加される.

こんな複雑な手順ですが,たとえば3歳の子どもでも,一回でこれを覚えちゃって,2回目からは自分でどんどん作ってくれるようになります.彼らが作っている様子をじっくり見ていると,それぞれのステップで声をだして,操作しています.この複雑な手順を覚えることができて,うれしくて,その結果で作品が表示される.

これを見ていると,手順を自動化して誰でも短い時間でできるようにしちゃうと,「自分で作った感」が失われてしまうのでは,という気がしてきます.

ところが,お年寄りの様子を見ていると,3回同じことを繰り返しても,この手順は覚えていただけませんでした.つまり,言われたとおりに操作するだけ.それでも,自分の絵が動きだすのは楽しいのですけれど,いつまでたっても自分だけでコンピュータを操作して,作品を作ってゆく,というところには進めません.

「自分で作った感」の比率を少し下げて,自動的にやってくれる部分を増やす必要があるなと思いました.

たとえば,一番便利にやってくれるバージョンは,
絵を描いたら,自動的にステージに絵が数個置かれて(ランダムな位置),メガネが一つ置かれていて,メガネの左右に絵が入っていて,動く方向もランダムで決まっている,
というもの.これだと絵を描くだけで,とりあえずは動きます.もし,その勝手に決められた動きが嫌な場合は(葉っぱが下に落ちるとか),メガネの中の絵をずらして欲しい動きになるようにするだけ.

ここまで簡単にしたら,お年寄りたちは,スタッフの手を借りないで,どんどん作品を作って行ってくれるだろうか.

もう一つ,これを子どもに使わせたらどうなるか.自分で作った感が減少するので,作品が投影されるうれしさは減り,もっと作品を作りたい,という気持ちにならなくて,遊ぶ時間が短くなるのではないか.

 

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿