ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

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情報学教育推進コンファレンスに参加して

2011-12-27 00:27:26 | 1

第1回情報学教育推進コンファレンスに参加してきた.あんまり明るい話は無かった.10年前に感じたことから世の中はまったく変わっていない.むしろ悪くなっている感じがする.教育現場には未だに根強い抵抗があるのだそうだ.

こういうぐちゃぐちゃした状況を打開するには,もう一度原点に返って考えてみるのが一番だ.固定概念を捨てなければ.

たとえば「なぜ数学を勉強するのか」という疑問にもっとちゃんと答えなければならない.数学は大人になって役に立たないと考えている人が非常に多い.数学を勉強する理由は国民的なコンセンサスは得られているとは言えない.ただ,昔からそうしているからそうしているだけだ.だとすると,コンピュータなどという新しいものが出てきたときに,それが入り込む余地など最初からないではないか.昔から必要なかったから,今も必要ないのだ.なぜ音楽は勉強する.なぜ,国語をやる.どうして,英語は入り込むことができたんだ.

まず,なぜ教育するのか.これを考えよう.教育には2つの側面があると思う.一つは,実利のためにやる.それを知らなければ,生きていけない,損をする,競争に勝てない,人に迷惑をかける,だから教育する.こういう教育が非常に重要なことは言うまでもない.しかし,この理由だけだと,たとえばなぜ音楽を勉強するのか,説明がつかない.

実は,もう一つの側面に,人生を豊かに生きるため,というのがある.知らなくても死ぬことはない.しかし,知っていると生活が豊かになる.生活を豊かにするのは,お金だけではない.豊かに生きるためにいろいろなことを知っているかどうかだ.文化的なレベルの高さは,この側面の教育が多いかどうかで決まる.

音楽を勉強する理由は,人生を豊かに生きるためだ.音楽を生活の糧にしている人はたくさんいるが,その人達だって,音楽によって他の人たちの人生を豊かにしているのだ.なぜリコーダをやるのか.音楽の楽しさを知るためには,楽器が演奏できるということが重要だからだ.

じゃあ,数学はなぜ勉強するのか.数学が勘違いされやすいのは,それが実利のために勉強すると思われていることだ.しかし,一部の専門家を除き,実際の生活で難しい数学が実利に結びつくような場合はほとんどない.だから,数学は大人になって役に立たないという考えに支配されるのである.本当は,数学は人生を豊かに生きるために勉強するのである.音楽と同じように,数学を楽しむことができる教養があれば,人生のいろんな局面で豊かにものを考えることができるのである.数学は実利のためという勘違いが教える側にも教えられる側にもあるために,世の中に相当数の数学コンプレックスを生んでしまう.人生を楽しむためだったら,コンプレックスなど生じるはずがない.

理科はどうだろうか.理科離れが進んでいると言われているが,どうして,この国民は本当に豊かに理科を感じることができるようだ.月食がニュースになり,大勢が寒い夜空を見上げていた.ハヤブサが無事に帰ってきたニュースはみんなが知っている.これが豊かさ以外のなんであろうか.

今の教育界は,人生を豊かに生きるための教育に冷淡であるように思う.生きる力などというキーワードが流行したが,こういう切羽詰まった言い方ではなくて,豊かに生きる力,くらいに余裕をもって言えないのだろうか.受験やテストといった単なるツールに過ぎないものに,教育の本質まで引きずられてしまっている.

さて,話をコンピュータに戻すが,こちらも切羽詰まっているのは確かだけれど,もともとそんなんじゃなかったはずだ.コンピュータは面白いものだった.なんの役にもたたないプログラムを何時間もかけて作り,それが動いた時の感動は忘れられない.

こんな楽しいコンピュータが敵視されるということが僕には信じられない.すべて誤解である.誤解は辛抱強く説明すればいつか解ける.この10年状況が変わっていないということは,「コンピュータが楽しい」ということを世の中にきちんと説明してこなかったからではないのか.

すべての人にプログラミングを教えたいというのは,実利のためではまったくない.楽しいということを知って欲しいからである.そして今や,ビスケットを使えば,難しい背景知識などなしに,コンピュータの楽しさを本当に誰でも触れることができるようになったのだ.


情報学教育推進コンファレンスに参加した人たちに,最低限共通項があるのだとしたら「コンピュータは楽しい」を知っているということだろう.そして周りのコンピュータを敵視している人たちに,誤解を解く説明を,辛抱強く続けてゆけばよいのだと思う.

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3 コメント

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高校情報科や大学一般情報教育 (なかの)
2011-12-27 12:48:18
高校情報科や,大学の一般教育として行われる情報関係科目について,生徒や学生に問うとまず間違いなく「役に立ちそう」「使えないと損」という答えが返ってくる。
だから,使えるようになるために「苦行」をする。
そうではないはずだ。
おもしろいのだ。楽しいのだ。ただそれだけだと思えばいいのに。
コンピュータの面白さはいつでも (yotanikawa)
2011-12-27 14:06:29
情報BでスクイークEtoys等を活用しています。生徒の感想を集め読んだところ、はじめは何が何だかわからず、ただついてきていた生徒が、そのうち慣れてきて楽しく勉強できたという感想を多くいただいた。
ビスケットも自分で描いた絵が動かせるというすばらしいソフトなので、小学生などにぜひ広まり、考える楽しさを体験できると児童生徒にとっても良い体験になると思います。
考えるのが苦手な生徒が以前より増えているように感じることが気がかりなので、若いうちに思考する楽しさを体感すべきではと思っています。
考える楽しさ (ほふく)
2012-01-03 18:29:59
考えるのが嫌いな子は増えている気がします。自分で一生懸命考えて答えを出しても、×がついて否定されると厭になってしまうのでしょうか。プログラミングには考える楽しさを育てる力があると思います。

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