ローヌの会におけるワインの解説
リヨンから車でローヌ河沿いを南に下ると、1時間程度でローヌ渓谷最北の町、アンピュイに着く。ローヌ最大の銘醸地コート・ロティは、アンピュイと同じ河の右岸(西側)にそびえる丘の急斜面に広がっている。
コート・ロティのテロワール
コート・ロティの領域は拡大の一途をたどるが、最重要部分は、レナールという細流をはさむブリュンヌとブロンドの二つの丘。アンピュイからコート・ロティを見上げると、右側(北側)がブリュンヌ、左側(南側)がブロンドとなっている。コンドリューはさらにこの左手(南側)に連なっている。
コート・ド・ブリュンヌの土壌は、酸化鉄の混じる粘土層で、褐色を帯びていて、斜面にそのままブドウ樹が植えられている場合が多い。鉄分は果皮の色素に必須とされ、ブリュンヌには、シラー100%が合うとされているようだ。
ラ・ランドンヌ:
- シラー100%で造られる
- 一番北に位置
- 平均樹齢35年
- 作付面積2ha
- 収量39hl/ha
- 初ヴィンテージは1978年
ラ・トゥルク:
- シラー93%、ヴィオニエ7%で造られる
- ブロンドとの境界近く
- 平均樹齢30年
- 作付面積1ha弱
- ヴィダル・フルリよりギガルが1986年に購入
- 初ヴィンテージは1985年
コート・ド・ブロンドの土壌は、ケイ質と石灰質の土壌で、比較的明るく、斜面に棚を造り(ポルトガルのドウロなどに似ている)、そこにブドウ樹が植えられている場合が多い。石灰質は、シャンパーニュ(コート・ド・ブラン)、シャブリ(キンメリッジャ)などで有名だが、白ワインに酸を与えるとも言われる。ブロンドに来るとヴィオニエとの混植が多く、更にこの南側には白ワインのコンドリューの畑となっていることも、うなずける。
ラ・ムーリンヌ:
- シラー89%、ヴィオニエ11%で造られる
- 3畑中一番南
- 平均樹齢90年
- 作付面積1ha初
- ヴィンテージは1966年
ブリュン・エ・ブロンド:
- 3 - 5%のヴィオニエの混植?(一緒に醸造)
コンドリュー
ヴィオニエのみが許される、白ワイン産地。ギガルの4つの畑(コトー・ド・シェリ、ヴォラン、コロンビエ、コート・シャティヨン)のブレンド。
ギガルの醸造方法
- 醸造はステンレスタンク
- 熟成は新樽100%による長期熟成スタイル(40ヶ月の樽熟成)
- 二酸化炭素を加えながらピジャージュ・ルモンタージュを行うことで、酸化を防ぐ
- コート・ド・ブロンド(ヴィオニエが多い)には、ルモンタージュが中心
- 清澄、フィルタリングはともに行わない
ギガルの歴史
ヴィダル・フルリで22年間働き、1946年に独立。1961からマルセル・ギガルに後を継がせる。そのヴィダル・フルリはギガル社に1986年、会社の資本を売却。ギガルは、ラトゥルクを自社の管理とするが、他は、それまでと同様、ヴィダル・フルリのメンバーに任せている。
パーカーとの縁は切っても切れない。同社の成長もローヌの隆盛もパーカーの高評価があってのこと。
シャーヴ
Chave Hermitage Blanc
- 畑:Peleat, Tocules, L’Hermite, Maison Blanche
- 品種Marssanne 85%, Roussanne 15%,
Chave Hermitage Rouge
- 品種:Syrah 100%
トルブレック
Run Rig (オーストラリア、バロッサ・バレー)
- 樹齢:40-120年
- 品種:シラー97%、ヴィオニエ3%(醸造時から)
- 熟成:30ヶ月フレンチオークで熟成
- パーカーコメント:It represents Australia's answer to Marcel Guigal's Cote Rotie La Mouline.
シャプティエ
Vin de Paille
- わらの上で2ヶ月間ブドウを干して糖度を高めたワイン。ジュラとエルミタージュのみ。
- シャプティエは、上級キュヴェについては、Hermitageではなく、Ermitageと命名
ワインリスト
1st Flight
- Jacque Selosse Champagne Substance (Desgorgement 2006)
ポイント:
- ソレラによるブレンド技術
- 酸化臭の検知
感想:一番人気?みんな、ヒネが入りかけの香りが好きで一致
2nd Flight
- Guigal Condrieu 2010 RP 98
- J.L. Chavee Hermitage Blanc 1994 RP 94 (マルサンヌ85%、ルーサンヌ15%)
ポイント:
- 品種の違い
- 熟成の違い
感想:ヴィオニエよりもマルサンヌ・ルーサンヌに軍配。コンドリューは出だしから華やか。エルミタージュ・ブランは、スロー・スターターだが、重厚で熟した香りも表出する絶品。ヴィオニエの熟成は不明だが、エルミタージュ・ブランは確実に熟成によって素晴らしさが増すことを裏付けるワイン。
3rd Flight
- Torbreck RunRig Barossa Valley 1997 RP 95 in 2009 (RP 98 in 2000) (97%シラー)
- J.L. Chavee Hermitage Rouge 1994 RP 93 (100%シラー)
- Cote Rotie La Mouline 1994 RP 95 (RP 96–98 in 1997) (89%シラー)
- Cote Rotie La Landonne 1994 RP 98 (RP 94-96 in 1999) (100%シラー)
ポイント:
- 新世界vs旧世界、
- エルミタージュvsコート・ロティ、
- エルミタージュのブランvsノワール (2nd Flight のHermitageは残して比較したい)
- ヴィオニエブレンドの有無
感想:トルブレックを今購入して飲むと、濃く、スパイス香でむせかえりそうだが、15年を経て滑らかさが出てきて美味。熟成のポテンシャルも充分にある。エルミタージュ・ルージュは、香りがマスクされていて真価がわからず。ここから始まるギガルには、最初から溜息がでるほどうまい。ムーリンヌの華やかさとランドンヌの骨太さに好き嫌いは二分したが、間違いなくいずれも素晴らしい。しかもまだまだ熟成のポテンシャルがある。
4th Flight
- Cote Rotie Brune et Bronde 1986 RP 85 in 1997
- Cote Rotie La Turque 1986 RP 92
- Cote Rotie La Mouline 1984 RP 89
ポイント:
-
ブリュンヌ・エ・ブロンドと単一畑の違い
-
La Turqueのセカンドヴィンテージを楽しむ
-
熟成の可能性を考える
感想:いずれも状態はよく、これがシラー?と思わせるような、ピノに似たニュアンス。香水のような華麗な芳香を放っていて、ブラインドなら外した人続出と語り合った。その中でもトゥルクは傑出。芳しさの中に、筋が通った骨格が感じられる。
5th Flihght
- Chapoutier Ermitage Vine du Paille 2002 RP 94
- Dufour Champagne 1990 (chardonnay 100%)
ポイント:
-
全てを忘れてワインを楽しむ
感想:純粋で芳醇な蜜の美味しさにあるれる。貴腐との大きな違いでもある、酢酸の香りが抑えられているので、濃厚さが引き立つ。流れで開けたDufourは、ヒネた香りが支配的。ピークは過ぎている感がある。
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