アメリカ帰国者が日々の出来事・人生・世の中などを語るブログ

日本に帰国して矛盾だと感じたこと、人生における発見や日常のことなど色々語ります

生産性の悪い日本人の働き方

2014年02月11日 | 仕事・働くことについて

先日、NHKの「クローズアップ現代」に、東京都知事に当選されたばかりの枡添氏が登場した。

正直個人的に、枡添氏が一旦離れた自民党のバックアップを得るということに疑問を持っていたし、また、選挙期間中の討論を聞くと、東京の大きなビジョンばかりを語って、政策を実際にどれから、どのようにしてやっていくのかという具体的な話になるとお茶を濁していたので、疑問を感じていた。しかし、この番組の話の中で非常に共感するものがあった。それは日本人の働き方についてだった。

待機児童の対策についての話になった時、彼は、日本人が生産性を上げて定時で帰れるようになれば、夜間保育所はいらない、とはっきりと主張していた。子供が朝7時から夜10時、11時までよその保育所に預けられて、それでちゃんとした家族生活、子育てができるのか、と。全くもって同感である。こんな生活は子供の成長にとっても良くないし、第一、人間らしい生活ではない。

私は、アメリカの大学を卒業してからそのまま向こうで就職し、10年程現地で働いてきたのだが、日本に帰ってびっくりしたのは、残業はあたり前で、ほとんどの社員が夜遅くまで働いていることだった。他の会社では、残業代さえも出さない所が結構多く、アメリカからすると考えられないことだ。私の場合は、幸い、残業代をきちんと払ってくれる会社であったが(しかし、半強制の飲み会となると残業代は出なかった。アメリカでは会社都合で食事などに出席する時も残業代を出している)、それでも残業を毎回させられることにうんざりしていた。そのせいで、アメリカでは公私共に充実した生活を送っていたのに、日本ではすっかり仕事中心の生活になり、心身共に疲れ果ててしまったことがあった。

日本人と一緒に働いて感じたのは、彼らのほとんどは、頭を使って仕事をしていないということであった。通常、仕事が与えられれば、優先順位をつけ、締切から逆算して今何をやればよいのか、1週間の間で何をすべきか、私の場合はあらかじめ予定をたてておくので、仕事が遅れたことは滅多になかった。会議もきちんと時間通りに運んでいたし、短時間で結論を必ず出していた。アメリカではそのように仕事するのが当たり前だし、周りの人達も期限を守ってくれるので、仕事が非常にやりやすかった。

ところが、日本にいる日本人はそのようなことをしないので(それが私にとってカルチャーショックであったが...)、締め切りがあってもないようなもので、遅れるのは当たり前、こちらがお願いしたことを何やかんやと理由をつけて期日までやらない、やれない、会議もだらだら会議で結論が出ない。その結果、こちらまで残業させられるので、私がいくら仕事の効率を上げても、周りがそうではないので、本当にハタ迷惑であった。

もっとびっくりしたのが、毎日忙しくて残業していることをさも自慢げに言うことであった。同僚や友人の会話から、「仕事が沢山あって、残業続きだよー」とか、「ここ最近、徹夜続きなんだよね」という言葉を聞くことがある。何で自慢げに言うのか当初の私には理解できなかったが、私から言わせると、仕事ができないから、要領が悪いから残業しているとしか聞こえない。こういう人達と仕事をしているから、尚更厄介なのである。(中には、本当に仕事量が本人のキャパを超えていて残業になっているケースもあるが、自慢げに言う人達は、まずこのケースではないだろう。)

また、上司も残業が当たり前という考え方だし、日本では未だ、残業して働いている社員を高く評価する傾向にあるので、こういった考え方、風潮を変えなくてはいけないと思う。

今のゆとり世代の人達は仕事が長続きしない、私生活の方が大事、と考える人達が多いと言われているが、このような生産性の悪い働き方をしているせいではないかと思う。心身共に疲弊して、体が壊れるまで働き、家庭を顧みず、特に夢もなく、仕事に押しつぶされるような働き方を見た若い世代から見れば、同じような人生を送りたくない、と思うのは当然のことではないだろうか

ちなみに、生活の優先順位だが、アメリカのクリスチャンの方達はこのような優先順位を持っている人が多い。

1.神様 2.配偶者 3.配偶者以外の家族 4.仕事

神様の次に配偶者を大切に思うのは、いかにもアメリカらしい。日本の典型的な家庭ではまず考えられないことであろう。日本の場合は、仕事がまず1番に来て、家族や配偶者の優先順位は一番下ではなかろうか?

勿論、仕事が大好きな方達もいるので、それはそれで、朝から夜遅くまで働いてもいいのであろうが、それを他人に押し付ける道理はない。現在、日本の企業では、多様性、グローバル、と唄っている所が多いが、真の多様性というのは、この様な違う人生観や価値観、考え方がいるということを認め、共存していくことではないかと思う。日本人でも、私生活や家庭生活を大切にし、仕事の後のお付き合いには行きたくない社員だっているのである。そういう多様性が本当の多様性であるのに、何故か日本企業は、女性の活用とか、外国人労働者の採用とか、そういう表面的な多様性しか考えていない所が多いのは残念なことである。勿論、その様な多様性も必要なのだが、要は中身なのである。これは日本人特有の横並び意識をも変えなければいけないことであろう。

日本の生産性は、先進国の中で最低レベルということをご存知だろうか?これだけ残業しているにも関わらず、アメリカと比べると日本の生産性は圧倒的に低い。

チャンスとも言える日本の低い労働生産性

枡添氏は、都庁で働く職員の生産性を上げなければいけない、とおっしゃっていたが、是非頑張って実現してもらいたいものである。都知事となられた以上は、私も応援したいと思っている。