びえもカフェふくしま

「びえも」とはフランス語で「生と死」を意味する「Vie et mort」をひらがなで表記したものです。

目指せ百歳!!

2016年10月10日 23時00分02秒 | 生について
わたしが仕事で毎日関わっている方の中に97歳のおばあさんがいます。仮名はAさんにします。
とても明るくてはきはきしていて、でも3秒前のことも覚えていない「THE認知症」です。
仕事を始めた頃、そのAさんはすれ違うたびに必ずわたしに
「おねえちゃん大きいね~!何センチあるの?」と言っていました。
いったん視界から消えると忘れられてしまうので、1日に何回も聞かれます。
1年近くのあいだ毎日毎日「168cmですよ」と何度も答えていました。

そして最近気づいたんです。
しばらく身長を聞かれていない・・・と!!
もちろんわたしの身長を記憶したわけではありません。
「わたし身長168cmあるんですよ」と言ってみると
Aさんのお答えは
「へ~そうなの、大きいもんねえ。いまの人は大きくていいよね~!」
です。同じやりとりを数回繰り返して、わたしは気づきました。
もしかして・・・わたしのことを覚えたのかも!

もちろん名前は覚えていませんし、たぶん顔も髪型もわからないでしょう。
でも記憶とは関係なく「大きい人が近くにいる」っていう日常に違和感がなくなったのだと思います。

触れ続けることで分泌される「オキシトシン」というホルモンがあります。
出典を記録するという習慣がなかった20代前半の時に書き残したメモによると

『オキシトシン=やすらぎ物質。中枢神経での神経伝達物質。いやし、保護欲をかきたてる。』
『1人の相手と22回の抱擁をするとオキシトシンが脳内に放出され信頼回路が活性化する。』
『長期的な関係になるとドーパミンよりオキシトシンが定期的に放出され愛の躁状態は沈静化する。』
『やがて恋人の姿を見ただけでオキシトシンが放出されるようになる。』

(これはとてもいい本でした。県立図書館で借りて読んだものです。当時とても感動して内容をたくさんメモしておいたのは良かったのですが、メモには本のタイトルや著者の情報がどこにも書いてありませんでした。できればもう一度読みたいのですが、どんなジャンルのコーナーにあったのかも今となってはわかりません。内容を書き残すなら、出典も明確にしなければいけないと痛感している一冊です。)

抱擁はしていませんが、介護者として関わり続けているので接触回数は多いはずです。
逆に言えば、抱擁していないから1年近くかかってしまったのかもしれませんが。
もしこのホルモン説が正しければ、たとえ記憶には残らなくても
同じ人と関わり続けることで無意識にオキシトシンが分泌され、親しみを感じることになります。
それはわたしが仕事をしていくうえでは、とてもうれしいことです。

認知症は記憶に障害の出る病気です。
認知症になって、大事な人や物や場所を記憶から失ってしまうのはとても悲しいことです。

でも、失うものばかりではないのかもしれません。

昨日、その方の隣に座って「疲れたからここで休んでいいですか。」と聞いたら
「そんな姿勢だとアゴばっかりが疲れるよ。わたしの布団で寝てもいいよ!」と言ってくれました。
どんな姿勢だったかはとても言えませんが
その会話とともに顔を見合わせて「あははは~」と2人で笑ったときに
お互いの脳内からオキシトシン以上の何かあたたかいものが分泌されていたんだとしたら、とても幸せだなと感じました。

最近Yahoo!ニュースで見た理研の記事にも同じようなものがありました。
記憶と親しみは、やはり別物のようです。

Aさんの先日の名言です。1日が終わり、あとは寝るだけという時間。
「おねえちゃん、怒らないで聞いてくれる?」 (←小声なのがかわいい!)
そんなに怒りんぼではないはずですが何でしょうか。怒られたことは忘れてくれないようです。

「わたし夜ご飯食べたっけ?」
でした。

まあ、食べたか食べていないかは大きな問題ではなく
食べていない気がするなら食べれば良いだけのことなので
2回目の夜ご飯を(軽めにネ)食べていただきました。あははは!


人は必ず老います。そのため、記憶が失われてしまうこともあります。
すべてを忘れてしまいたいと思うことが人生には多々あるかもしれません。
でも心配しなくてもいずれ忘れます。

それならば逆に、絶対に失いたくない記憶ってどんなことですか?
話したくなったら、びえもカフェに遊びにきてくださいね。

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