びえもカフェふくしま

「びえも」とはフランス語で「生と死」を意味するVie et mortをひらがな表記したものです。福島の死生学カフェです。

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日々是好日

2017年05月15日 18時28分03秒 | 生について
以前このブログで書いたAさんとは別の
これまたスーパー認知症Bさんの話です。

その日、Bさんは眠れなかったんです。
「何回も起きてきます」と遅番の子から申し送りをされ勤務を引き継ぎました。
「夜中なので寝てください」「眠れない」の繰り返しだったそうです。

案の定、交代してわたしの勤務が始まると同時にまたBさんが起きました。

「なんだか眠られないのよ。眠たいんだけどね」と話すBさん。
さっき起きたことなど覚えていないBさんにとっては、これが初めてのSOSです。
眠いのに眠れないのはツライことです。
Bさんが眠れない原因はわかりません。

「じゃあ起きていましょう。こちらへどうぞ」と起こしました。
赤ちゃんじゃないから抱っこして寝かしつけるわけにはいきません。それなら、せっかく起きているんだし、おしゃべりでもしようと思ったのです。

でも、そうするとなぜか人ってあまのじゃくなもので「いやいや寝るわよ〜」となるわけですネ。
今度はさっきと逆で、「寝ます」「寝なくていいですよ」の押し問答になりました。

「わたしは当直だからどうせ寝ないので
ずっと一緒に起きていましょう。」と誘いました。
わたしはBさんが普段から大好きなので
一晩じゅう一緒におしゃべりしても苦になりません。
しかしBさんは愛すべき『スーパー認知症ばあちゃん』ですから、わたしのことは知らないのです。
知らない人と一晩じゅう一緒にいるなんて本当はとても気持ち悪いはずです。

でもBさんには気持ち悪がっている様子はありませんでした。
不思議に思って「わたしのこと知ってるんですか?」とお聞きしました。
会話を始めて30分以上経過しているのに今さら変な質問ですが
わたしを知らないという前提でBさんの訴えを聞いていたので
Bさんが発する親しみのこもった言葉に
だんだんと違和感を覚えていたんです。

そうしたらBさん
「知ってるも何も、なんだかよくは知らないのよ。でも心がね、知っているような気がするの。」
とおっしゃいました。
嘘みたいですがホントの話です。
そうか。脳の記憶にはないけど心が知っているような気がするのか、と
医学的根拠は何もないですが妙に納得できました。

その後、さっきまで「眠れない」を繰り返していたBさんは
「あとでまた来るのでちょっとだけ仕事してきていいですか」と聞いたわたしに
「あとじゃなくて、まもなく来てね!」
と言い残し、すとーんとすこやかな眠りにつかれました。
夜中に取り残され、寂しくなってしまったのはわたしのほうでした。


人間は
子どもでも大人でも、いくつになっても
病気になっても
もちろん認知症になっても
好かれているか嫌われているかは
同じように感じ取れます。
記憶がないだけで、感情はあります。
自分のことをとても好きな人がそばにいるって実感したら
それだけで安心できてしまうものなのかもしれません。

わたしは恋愛においても
好かれるより好きになるほうが勝ちだと
ひそかに思います。
もちろんストーカー的な執着ではなく
一緒にいて居心地がいいレベルの
「好き」ですが!

忘れるプロである認知症の方でも、自分のことをとても好きっぽい人間のことは
もしかしたらちょこっと覚えてしまうんじゃないかな。
そう信じて接しています。
もちろんわたしも人間なので、いつもそんなに優しさ満載ではないですが…

長くなりましたが
こんな経緯があって、あらためて自分の終末を考えました。

わたしは「わたしのことを好きな人」にかこまれて最期を迎えたいです。
現実的には
何歳まで生きるのか
どんな病気や事故に遭うか
医療行為をどこまで施すのか
お墓、相続、保険など
さまざまな心配事はあります。
誰にでもあります。

そのいろんな心配事を
ただひたすらの安心に変えることができるのは「愛」だと思います。
たくさんである必要はない。
誰か1人で充分。
でも今のところ、娘や息子や家族がいて
近くに住む親友などもいますので、5〜6人くらいはいてくれそうです。
1人で充分なのに、そうとうなしあわせ者です。
そのためにわたしは、いま思い浮かぶ
愛し愛される人たちを大事にして生きようと思います。
機を織るように、一本一本の糸を丁寧に紡いでいく日々を送りたいと思います。

みなさんはどんな最期がしあわせだと思いますか?
ゴールが見えると、そこに至るまでの道のりもおのずと見えます。

ぜひお話を聴かせてくださいね。
5月20日(土)お待ちしています!

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