水曜日が待ち遠しい!

映画の感想。TVで放映された旧作などを中心に。現在ほぼ休止状態につき更新予定なし。

あらしのよるに(7) 「まんげつのよるに」 きむらゆういち 作/あべ弘士 絵

2005年11月29日 | 雑談
「あらしのよるに」シリーズの最新刊「まんげつのよるに」が出たという話を聞き、なんだかイヤ~な予感がしてたんですが、今日、本屋で立ち読みして来ました。
うううぅ、なんですか、このどんでん返しの展開は?
まるで「実は誤診でした」の一言で沖田艦長が最終シリーズであっさり復活した「宇宙戦艦ヤマト」並みのサギじゃないですか。(この例えについてこれるヒトはたぶん1960年代生まれ・・)
前作の「ふぶきのあした」のラスト支持派のワタシ的にはあんなエセハッピーエンドなんて受け入れられません!!自分の中ではこの「まんげつのよるに」の存在はいっさい無視することにします。

作者さんは前作から数年もブランクをおいてなんでいきなりこんな取ってつけたような最新刊を出したんだろう?やっぱ映画化に伴う大人の事情ってやつですか?
それにしても、、、ヒドイヨ、ヒドイヨ・・・あの「ふぶきのあした」で号泣したワタシノ涙をカエシテ・・・

TBS「まんが日本昔ばなし」の話ではなく・・

2005年11月23日 | TV番組で
今日、付けっぱなしのTVから流れてきた日本昔ばなしのエンディングテーマ『にんげんっていいな』を聞きながら何気なくそのTV画面を見ていたときのこと。
そこには 作詞:川内康範 という文字が・・・。あれれ、なんかこの名前、ごく最近どっかで観たような気が・・・川内康範・・川内康範・・・川内康範・・・
それってもしかして今ファミリー劇場でニュープリント版で再放送してる「レインボーマン」の原作者であり、なおかつあのカルトな『死ね死ね団のうた』やエンディングテーマ曲『ヤマトタケシのうた』の作詞家と同じ名前じゃないですか!??
こともあろうにヒーローに変身する人のテーマソングの歌詞が、♪どうせこの世に生まれたからにゃお金もほしいさ名もほしい~♪、なんてものすごく人間臭い内容なんですよ、アナタ。でも、もともとはこのヒーロー、お金欲しさにプロレスラーになりたくてインドに修行に行ったのにいつの間にか成り行きでレインボーマンになっちゃったっていう、ヒーロー番組の中でも稀に見る、ビンボーな家庭の人ですからこんなテーマソングになっても仕方ないけど・・・。

ついでに言うとこの特撮ヒーロー番組のもうひとつすごいところは、敵の死ね死ね団の目的が「日本人皆殺し」であるということ・・・・。つまり日本人限定・・・。
その理由というのが第二次世界大戦で日本軍の残虐行為の被害を受けたからだというから、なんかものすごく今の外交問題にも通じる根っこの深い事情をテーマにした番組なんですなぁ、これは。
で、そういうある意味日本人の醜い部分を容赦なく描いている特撮ドラマの原作者が、その一方で♪いいな、いいな、にんげんっていいな~♪という人生讃歌100%の歌詞を書いているということに驚くと同時に他にどういう作品を作ってるヒトなんだろう?と俄然興味がわいてきたのですわ。

【11/24訂正】Wikipediaによると川内康範氏が作詞したのはエンディング曲の「にんげんっていいな」でなくOP曲の♪坊や~よい子だねんねしな~♪のほうらしいです。はー、そういうことか。でもこの方「まんが日本昔ばなし」の番組そのものの監修をされてるんですね。やはりこの昔ばなしの中で、ところどころに垣間見える"人間の業"には「レインボーマン」に通じるものがありますな。

NHK-BS2「その場所に女ありて」

2005年11月23日 | TV番組で
今週は鈴木英夫監督作品が連日放送されていますが、正直この監督さんのこと、まったく知りませんでした。なので今回たまたま昭和30年代に生きる女性が主役ということで興味本位で観た「その場所に女ありて」ですが、自分の好みにストレートど真ん中の作品でした。いやいや、こういうめずらしい作品を観ることが出来てすごくラッキーでした。

今まで自分の中での昭和30年代の女性像というと高校を卒業してちょこっと花嫁修業とか腰掛程度の気持ちで就職して20歳前後で見合いの話が来て即結婚→子どもを産んでそのまま一生専業主婦、という人生が大半だと思っていただけに、当時としてはカナリ少数派であろう『銀座の広告代理店に勤務する27歳独身女性』矢田律子の生きざまがすごく新鮮かつ輝いて見えました。また演じる司葉子がそのヒロイン像にピッタリで、女性なんだけど男性以上に「オトコマエ」なので観ていて思わず惚れてしまいました・・・。また彼女の同僚の田島祐子も矢田以上のオトコマエで、職場の女性たちのことをいつも気遣い叱咤激励しているさまがカッコよかったです。(しかも彼女は普段からなぜか男言葉で喋っているし)
この映画に出てくるBG(今風にいうとOL)たちは、職場で「お飾り」的な存在ではなく、男性と同等の仕事量をこなしてます。夜は男性社員と一緒にマージャンに興じているし、バーに立ち寄りストレスを吐き出してるし、タバコもオフィスでプカプカ吸いまくってます。(壁に寄りかかってタバコを吸う司葉子がカッコよかった~

映画のストーリーは広告業界の中で、クライアントと契約を取るまでのライバル社との攻防が中心なのですが、その過程で矢田とライバル会社社員との恋愛、社員の引き抜き、広告デザイナーの退社独立、同僚の自殺などいろんなエピソードが展開されますが、女性を主役にしておきながら(多少恋愛要素はあったものの)徹底的に企業ドラマとして描いているところが司葉子のオトコマエな容姿にとても似合っていた秀作でした。

チャンネルNECO「千年女優」

2005年11月21日 | TV番組で
ここ数ヶ月ほどの間CSで何度かリピート放送しているアニメ映画「千年女優」をやっとまともに全編観ることが出来ました。エンディングのテーマ曲がメッチャかっこよかったです。

かつて一世を風靡した往年の名女優、藤原千代子。彼女は関東大震災の年に生まれ、そこそこ幸せな少女時代をすごしていたが、ある日官憲に追われる絵描きの男をかくまったことからその波乱万丈の人生が始まる。その男は千代子にある「鍵」を預けたまま満州へと逃げる。そして千代子もまた満州へ行くためにたまたま誘われた映画女優への道を歩む。そして「いとしの君」に会うために撮影中の映画もほったらかしてほんの少しの情報を頼りにどこまでも追いかけてゆく。あるときは戦国の武将、またあるときは尊皇攘夷の志士と、さまざまな時代を超えてその姿を現す「いとしの君」。そして追いかける千代子もまた戦国時代の姫君、女郎、明治時代の女学生、宇宙船に乗り込む飛行士、と千年もの時代を超えて追い続ける。
(このあたりのあらゆる時代が自由自在に切り替わるシーンは圧巻だった。)
そしてあるとき、彼女は大切な「鍵」を撮影中の事故でなくし、そのまま映画界から姿を消す。

そして現在。長い隠遁生活を送っている老齢の千代子の前に彼女の伝記映画を取りたいという初老の男、立花源也が彼女の家を訪れて彼女に「鍵」を渡す。撮影中に失った鍵は実は事故当時の映画スタッフであり、彼女を落下物から守った若き日の立花源也が見つけてくれていたのだった。

この映画を最初に観たときはなんの疑問も持たずに主人公は藤原千代子だと思っていた。しかし、2度3度見るうちに本当の主人公はこの立花源也ではないかと思うようになった。それはこの作品のテーマが「謎の老婆の呪いの言葉によって愛する男性を追い続ける宿命の女性を描いている」作品と捉えるか、それとも「戦前から戦後まもなくにかけて最も輝いていた頃の日本映画界を懐かしく、そしていとおしく想う1人の不器用な初老の映画人を描いている」作品と捉えるか、で変わってくるのではないか。私の場合、どうしても後者のような気がしてならない。

”「いとしの君」を追い続ける千代子”が自分の恋心を切々とインタビューで語るシーンよりも”往年の名女優「藤原千代子」を何十年も想い続けていた若造の映画スタッフ立花源也”が映画のオープニングとラスト近くで取り壊されていく映画撮影所を遠くから感慨深げに眺めるシーンのほうが何十倍も印象的だったのだ。

立花源也を見ていると、昔読んだ筒井康隆の「美芸公」(→正しくは『芸』の文字が旧字です)を思い出してならない。あの小説も日本映画界をこよなく愛する人々の楽園のようなパラレルワールドを描いた大傑作だったっけ。

11月の傑作群

2005年11月21日 | TV番組で
ある種のジャンルに詳しい方なら既にご存知かもしれませんが、今月のファミ劇の「帰ってきたウルトラマン」は”11月の傑作群”と呼ばれているエピソードが続きます。
まずは昨日放送された『悪魔と天使の間に』です。
ある日、MATの本部に伊吹隊長の娘さんが友達を連れて見学にやってきます。その友達とは教会で知り合ったという口のきけないテルオ君という男の子です。隊長曰く、娘さんは自分よりも他人のことをいつも思いやる天使のような心を持つ女の子だそうです。しかし、そのテルオ君の正体は地球を侵略に来た悪い宇宙人で、それを郷隊員だけが見破って殴りかかって皆に「コイツは宇宙人だ」と訴えるのですが、その宇宙人はあくまで外見が”障害のある小さな男の子”だったので周囲からは郷隊員の頭がおかしくなったとしか思われずに孤立してしまいます。
そして郷隊員は隊長に「もし、ウルトラマンがピンチになったらあの少年を捜して下さい」と言い残してただひとり、この宇宙人が連れてきた怪獣と戦うことになります。そして怪獣を倒したあと、テルオ君に化けた宇宙人によってピンチに陥るウルトラマンを見た伊吹隊長はそこでようやく郷隊員の言葉を思い出してテルオ君の入院している病院へと向かい、そこで怪しい機械を操作しているテルオ君を見つけます。(ここでビックリしたのは伊吹隊長がテルオ君の姿をしたままの(!)宇宙人を撃ち殺してしまうのですが、絶命する直前に本当の姿を現す宇宙人のグロさにも再びビックリ・・・)ウルトラマンはピンチを脱します。

で、このエピソードが名作といわれる所以はこのあとのエンディングで教会から出てくる伊吹隊長の娘を遠くから見守る郷隊員と伊吹隊長との会話にあると思うのです。
郷隊員は「僕なら、あの少年は外国に行ったといいますね。お嬢さんの心を傷つけないためにも」と提案しますが伊吹隊長は静かに微笑みながら「いや、君がそう言ってくれるのはうれしいが、事実を話すつもりだ。人間の子は人間の子さ。天使を夢見させてはいかんよ」と語るのです。あれほど娘の純真な心を大切にしようと気遣っていた隊長が、です。

あぁ、このBlogは映画の感想Blogからいつのまにか特ヲタ専用Blogになりつつある・・

テレビ東京「牙狼GARO」

2005年11月19日 | TV番組で
もともと「大きいおともだち」のための特撮番組という触れ込みを聞き、なんとなく第1話目からずっと観続けてきた番組なのですが、ここに来てすっかりハマってしまった自分がイル。いや~第7話では久々にイイもの観せてもらいました。昨日の第7話を観て、ようやくこのドラマを観てるということをblogでカミングアウトする決心がつきましたよ。
前回から主人公のライバルにあたる新キャラを登場させたことでストーリーが新展開し始めたのもグッジョブ!昨日の鋼牙と零の延々と続くバトルシーンだけで、もう最終回までついていきます!って決心してしまった・・・。
はぁ~ありがとう!テレ東!こんなにすごい番組を深夜にひっそり放送してくれて!

「ブラザーズ・グリム」

2005年11月03日 | 映画館で
テリー・ギリアム監督の久々の新作ということで怖いもの見たさ的な感覚で観にいってきた。だってぇ、、、前作となるはずだった「The Man Who Killed Don Quixote」が「ロスト・イン・ラマンチャ」になっちゃうし、それでなくとも最近の作品は昔のような斬新さというかハッとするような衝撃がないし・・。うう、今回の映画の興行成績に貢献してあげたんだからもっとがんばってくれ!ギリアム監督よ~

今回はグリム童話の作者であるグリム兄弟が魔女退治で金を稼いでいる詐欺師ペテン師なヤツらだったけど、それがバレて危うく死刑にされそうになるところを赦してもらうために、とある村で起こった少女連続誘拐事件を解決するハメになってしまうというもの。

とりわけ印象的だったのが少女たちがそれぞれ違う方法で攫われていく場面。とにかく怖かった!特に12人目の少女が井戸の中から出てきた泥の化け物(ジンジャークッキー!?)にのっぺらぼうにされて挙句に飲み込まれてしまうところは今夜あたり夢でうなされそう。(O.O;)(o。o;)

あと、興味深かったのはグリム兄弟の案内役だったアンジェリカが、12人目の少女をすんでのところで助け出したあと自分自身が12人目の犠牲者になってさらわれてしまうエピソードがあるけど、これって童話の世界では「少女=性体験のない女性」という意味だとすると、少女の身代わりとして生贄にされたアンジェリカが処女だってことを暗に表現してるって解釈でよいのかな?まぁそれまでの場面でもアンジェリカが猟師の格好をしてて村の中でもかなり変人扱いされてて煙たがられるという描き方をしてたから、それもありうるかも。でも、ラストで兄弟とキスはしてたけどな。

ストーリーの中に断片的に盛り込まれたグリム童話のいろんな物語を探し出すのも楽しいかも。私がわかっただけでも「赤ずきん」「ヘンデルとグレーテル」「白雪姫」「ラプンツェル」「シンデレラ」・・・あと何かあったっけ??

全体的に上手くまとめてハッピーエンドにしてるなあ、と言った感じ。特に気に入らない部分もないかわりにハッとさせられるような感動もなかったかな。

ううむ、やはり「未来世紀ブラジル」という作品がいかに奇跡的な傑作だったのかということを改めて認識させられた。「未来世紀ブラジル」の話を持ち出したついでにチョットこの作品についてコメントしてしまうと「未来世紀ブラジル」に関しては残念ながらリアルタイムで観た人と、今レンタルで観た人とでは評価がはっきり分かれる映画であることも付け加えておこう。そう思ったのは私自身、先日DVDでこの映画を見直したときに、「あれ、こんなもんだったかいな?」みたいな物足りなさを感じてしまったからだ。今にして思うと、賞味期限のある生モノだったんですよ、この作品は。そういう意味では時代に左右されないほどの絶対的な存在になりきれなかったこの作品は「傑作」とまでは言い切れないのかも・・( ;^^)ヘ..あ、「未来世紀ブラジル」といえば、この「ブラザーズグリム」でジョナサン・プライスが出てたんで嬉しかった。ギリアム監督ってあのテのデフォルメされたような顔の俳優さん、好きだよね。

ゲンダイネットの批評でもこれを取り上げてくれてますが、相変わらずここの切り口は面白いです。