いつも Skype でおしゃべりをしていた友人のコンピューターが数日間 off になっていた。出掛ける時もつけっぱなしで出てしまうような人だから、変だな、と思っていたのだが、もしかしたら昨春膵臓癌を手術して以来療養を続けていた彼女の夫君が再入院したのではないかと気付いた。電話しても留守電だけだし。
で、土曜日のソメールフェストの折に再度電話して在宅していた彼女と話すことが出来たのだが・・・。
案の定である。
苦痛に呻く夫を見ているしかすべの無い苦痛。夜は椅子を少し倒して、座ったままで付き添っていなければならない苦痛、寝不足。
モルヒネもあまり効果は無く、むしろ気分が悪くなったりするというし、病人は「早く死にたい」と喚き、医者は「そんな訳には行かない」と相手にしないし、後少しの我慢、と辛うじて自分を励まして云々。
とそんな話しを聞いていた。勤めが休日の息子が代わってくれたので、帰宅したところだったが、病院が遠く、片道1時間半、地下鉄やバスを乗り換えて通わなければならない事情も彼女の疲労を倍加しているように思えた。
それから三日目、彼の死の知らせが来た。
知らせてくれた友人も、私の電話に応えた彼女も、「ホッ」としたのだ。
彼の場合い苦痛に呻吟した期間は三週間程だったが、もっと長く苦しむ人も居る。
我が家では五月に猫のツィツカを安楽死させたばかりだが、その安らかな死を見ながら、人間にもこれが出来たら・・と思ったことだった。
でもそれは許されていない。が、最近また話題になって来ているように感じている。安楽死に託つけた殺人もあり得ることであって見れば容易な決断は困難ではあるけれど、病人も家族ももう少しこの苦痛から解放される方法は無いものだろうか。
苦痛から解放され深い溜め息をついているだろう彼の魂の安らかな憩いを願う。