蓮の花

私が見て、歩いて、感じた、日々の風景

塩沢神社 栲幡千々姫命

2007-08-05 21:49:06 | 神々・精霊
きのう
白い月の魔法使いの年 Week:2
磁気の月10日 Codon:7 人々の力
KIN61:青いスペクトルの夜



いつもヴォリューム低めにつけっぱなしで
聞き流しにしている営業車のラジオから
金曜日の昼下がり、塩沢神社とその御祭神について
説明しているのが耳に引っ掛かってきました

御祭神の栲幡千々姫命(タクハタチヂヒメノミコト)
栲とは秋の紅葉が美しい漆科の低潅木で
幡は機織りの機、千々とは縮んだ状態のことで
錦のように美しく、縮んだ上質の織物をさしている

また、織物の神様であるとともに
高御産巣日神の子の栲幡千々姫命は
天照大神の子の天忍穂耳神と結婚して
天火明神や、天孫として降臨した邇邇芸命
つまり天から地上に降る穀霊を産みだした神様で
大地に豊かな実りをもたらしてくれる神様でもある

古来から機を織るのは女性の仕事だったが
民間伝承などでは、しばしば機織りの美しい娘は
異界と人間界を媒介する神聖な存在であり
また貴重な織物は神様への最高の贈り物であるから
神の衣を織る機を操る若い女性も
汚れのない存在でなければならない

ラジオの、前後の脈絡は分からないものの
そう栲幡千々姫命のことを説明していて
とても惹きつけられるものを感じました
塩沢神社の場所は、二本松ICから
塩沢温泉に向かう道にあるということで
地図を開いてみると、通ったことはないけれど
とても分かりやすそうな道でした

で、朝、軽くパンで朝食を済ませ、出掛けてみました







いなか道をポイントポイントで曲って
塩沢温泉へ向かう道に入って高速の上を通ると
すぐくらいに『機織御前 鹽澤神社』の看板が見えました

かろうじて車を停められるようなので
失礼して灯籠の前に、端の方に停めさせていただきました







大きな杜を背負う鳥居の
てるてる坊主のような注連縄の形は
はじめて見るなと思いながら会釈をして潜ります







鳥居を潜って、何段かの石段を上ると
そのいちばん高いところには
小さいながらも勢いよく水音を立てて流れる水路があって
その水音に、思わず立ち止まって足元の流れを見て
そしてその上を渡るということを
不思議なくらいしっかり意識させられました







進む先は、ゆるやかに下っていく杉木立の参道が
先まで見通せなくて
思いのほかに大きな杜なのでした







坂の途中には、緑の栗の毬がいくつも落ちていて
そのかわいらしさに、しゃがんで見入ってしまうとともに
静かに、だけど駆け足で近づいてくる秋の気配を感じました

季節に浸る間もなく、お約束のように蚊に刺され
つんという匂いをさせながら、ぴたぴたと薬を塗ります

坂を下りきると、そこには赤い橋の架かった払川







橋の手前には「二十八夜供養」という碑
水害か何かがあったのでしょうか
八月廿八日という日付と、その後に人数が
何桁か読み取れなかったのですが
・・・八十八人と彫られているようでした

橋の向こうの草むらには
「昭和十三年九月一日 二百十日洪水記念」
という小さな碑が建てられていました







大きな岩がごろごろして曲がりくねる払川
そういえば、この川の上手の方には
山の入ダムという農業用のダムがあったはず







かつては荒ぶる夏の洪水に、雪解けの大水に
たびたび辛い出来事があったのかもしれないですね







そして、払川を渡って右手に続く参道の先に
手水舎と鳥居、そして長い石段が見えました

その眺めに、しばし見入って、そこに立っていました
また今日も、素敵な場所に巡りあえた!という感覚

自然にこんな地形の場所があったのでしょうか
それを見つけた人が
ここに神様をお祀りしようと考えたのでしょうか
自然の要素もあったのでしょうが
さらにそこに人が手を加え
ふさわしいように整えていったのだろうなと感じました







手水舎は、僅かずつながら常に水が滴っていて
溜まっている水も、きれいに澄んでいる印象でした

手と口を濯がせていただいて
鳥居を潜り、石段を登っていくと
もう盛りも最後になりつつある紫陽花が
あちらこちらに大きな花を咲かせていました







石段を登りきって顔をあげると
目の前の境内には、思いがけず茅の輪があって
丁寧に、潜り方を書いた紙が脇に置かれていました

こちらでは七月三十日が夏越の祓なのでしょうか
私も手順にしたがって潜らせていただいて
それから、二年ほど前に新しく建てられたらしい
きれいな社殿にお参りさせていただき
めずらしく、おみくじを引いてみました

開いていくと
「御飯食べたり、着物をきたり、勝手いうのが能じゃない
御互は御飯たべる為めに生まれて来たのでも、
着物きるために生きて居るのでもない
神様から世界作り固めの御役目をうけて、
此地上に高天原の、住みよい、明るい、
平和な世界を作り上げる為めに、生まれて来たのである、
此信仰をもって一生を働き続けましょう」とあって
うん、そうかもしれない!とそのメッセージに納得

第五番の小吉の運勢で
「むらくもの思わぬ方にあらわれて
 しばしかくるゝ十五夜(もちのよ)の月」だそう
ひたすらちゃんとゆけば、いつかは十五夜の月がでる
今はゆっくり、きちんと行こう







そんなに広くはないけれど雰囲気の良い境内で
では八坂社にお参りしようかと行きかけて
その奥にあるものを見つけ、びっくりしてしまいました

八坂社も塩沢神社の社殿をひとまわり小さくしたくらいで
この境内にあってはだいぶ大きく
びったりと塩沢神社に寄り添うように建っていたので
その奥にある、見上げるほど大きな岩にも
その瞬間まで、ちっとも気が付きませんでした







驚きながらも、まずは八坂社にお参りして
それから岩に近づいていってみると
そこにはたくさんの仏様が刻まれていました

なんだかとっても、やわらかくて優しいタッチの仏様たち
見ていると、ほんわかとした気持ちになって
ゆるく楽しく、ぜんぜん見飽きない
それどころか、その場を離れがたくて
社殿に半ばもたれ掛かるようにして
失礼がないか背中を気にしながらも岩を見上げていました







仏様が彫られているのは陽のあたる側だけでしたが
くり返し眺めているうちに
如意輪観音が中心なのだなという感じがしてきました

一つだけ他と違って浮き彫りに彫りかけたもの
なんだか途中で彫りやめているように見えるのですが
あるいは、この如意輪観音だけでなく
この岩の仏様たち全体を
浮き彫りにするつもりだったのでしょうか







境内の片隅にも、勢至菩薩とともに如意輪観音の碑

夢見るような微睡むような如意輪観音
世界は、想い描いたとおりに創造されていく
人々の願いを聞き、受け取って
何をこの世界に実現させていくのか
如意輪観音は考えているところなのかもしれませんが
その姿にミッションの重圧みたいなものは微塵もなくて
深い深い慈愛で、ただあるがまま総てを受け止め
ゆるやかに、世界に種を蒔いては育つときを待つような
そんな姿に見えました







どんな人が彫ったのでしょう
このおむすびのような岩も、ひょっとしたら
もともとの形に手を加え、丸みを帯びたやさしい形に
意図して磨いていったのかもしれません

つい童心に還って登ってみたくなる岩
理性はそれに、固く固くNO!と言いますが(笑)
でも昔、子供たちが登って遊んだのかもしれない
それを許してくれそうな雰囲気の岩です







八坂社の向こう側に歩いて行ってみると
忠魂碑をはじめ、いくつかの碑があり
この神社は860年前に創建され
現在の社殿も建立から215年が経ち老朽化したので
新しく社殿を建設し、そのとき資材を運搬するために
それらの場所を動かしたことが記されていました

その西参道の木立の間からは
田んぼの広がりが、ちらちらと見て取れます
その風景に、豊かさをもたらす栲幡千々姫命のことを
ここに祀った人たちが願ったことに思いを馳せました

社殿の脇に懸かった額には「請雨山遷宮六佰六拾伍年」
と書かれていたようでした
神社の名前ではなくて山号なのだなと思うのとともに
豊穰を願って雨乞をした聖地だったのだろうか、と
稲穂の緑に遥かな昔を思いました

そして私にとって、織物の神様というと
まず思い浮かぶ小手姫の伝説があります

小手郷とこことは今の道路で、わずか20〜30kmの距離
ここもまた、かつては絹織物の産地だったのでしょうか
それとも植物の繊維を糸にして織っていたのでしょうか

検索していたら、ちょっと面白い符合を見つけました
小手姫の実家、大伴氏の系譜を遡ると
栲幡千々姫のすぐ下の弟、安牟須比命に行き着くようです







石段の上の、吽形の狛犬さんの方には角があって
その先っちょに、トンボがずーっと留まっていました

石段を下りながら、また植物の芽に目をとめたり
竹やぶの中にひっそりとお墓が並んでいるのを見つけたり
紫陽花の花に足を止めたり
そうしてまた、あっという間にいくつも蚊に刺され
そういえば、境内にはただの一匹も蚊の気配が無かったと
刺されてはじめて思い至ったりしました

さっきは気づかなかったけれど
石段の下の鳥居の足元に寄り添うようにひっそりと
なかばお顔も崩れてしまった
古い古いお地蔵様が立っていました

それにしても、車を降りたときにも
隣家のワンちゃんが一生懸命吠えており
ここでもまたワンちゃんの吠え声が聞こえます
よく働くワンちゃんたちなのだけれど
けっして怪しいものではないと思います、たぶん


(Update/KIN64:黄色い水晶の種★)
ジャンル:
福島県
キーワード
栲幡千々姫命 そうかもしれない てるてる坊主 最高の贈り物 高御産巣日神
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4 コメント

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おひさしぶりです (horafuki)
2007-08-16 21:15:46
ほんとお久しぶりです。
めんどくさがりのワタクシはほとんど更新してないのですが・・・。
さて、二十八夜供養塔ですが、私は初めて見ました。
おそらく月を祀る月待ちの信仰の跡です。
「バン」字があることから水天あるいは金剛界大日如来を表していると思われます。

十五夜というのが今も残っていますが。以前にはもっとありました。
よく見かけるのは二十三夜塔です。
一般的に勢至菩薩を本尊とします。
二十二夜の場合は如意輪観音が本尊です。
ということで字で彫られたものでない仏さんが安置されていることに納得です。
どちらも女性がよく信仰していました。月のものがある女性にとって月はとても身近な存在なのだと思います。そういう意味で機神さまとも繋がってきます。
長々とスミマセン。
残暑お見舞い申し上げます (venus_transit)
2007-08-20 19:13:12
二十八夜とは月待ちの信仰ですか!
では、境内に並んだ勢至菩薩と如意輪観音も
二十三夜・二十二夜のお月さまに対応するわけですか!

とっても、いいことを教えていただいた気がします
ありがとうございます^^
もしかすると、あの大きな石に彫られた仏様たちも
夜ごとの月に対応しているのでしょうか?
たしかに、印相とかまではわかりませんが
金剛界大日如来に似たお姿もあったような・・・

また、あそこにお参りに行ってみたいと思います☆
参拝御礼 (塩沢神社宮司)
2008-02-28 13:03:39
こんにちは。

当神社を検索したところ、venus_transitさんのブログを発見しました。
是非またご参拝ください。
なお、隣家のワンちゃんは宮司宅の愛犬ドーベルマンの
ハナちゃんです。
睦月の二十二夜 (venus_transit)
2008-02-28 18:12:33
宮司さま、はじめまして
コメントありがとうございます

勝手に写真を撮らせていただき、ブログに書かせていただきまして
コメントをいただいて、ドキドキしながらまた読み返してみました*^-^*

ずうっと、またお参りに伺いたいな〜といつも思いつつ
瞬く間に半年以上が過ぎてしまいました
折りを見て、また参拝させていただきます!
宮司さまやハナちゃんにも、いつかお会いできる機会があれば素敵です☆

ありがとうございました

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