吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

古いツールナイフ

2009年02月07日 | 趣味

スイスはビクトリノックス製ツールナイフです。クリックで拡大
アーミーナイフという呼び方が以前は多かったのですが、本来アーミーナイフは、ツールナイフの一部特定のモデルを指します。

スイスではビクトリノックス社とウェンガー社の2社があって、僕は後者の方を高く評価していたのですが、残念ながら2005年にビクトリノックス社に買収されてしまいました。
作りは良いけどビジネス的には不遇。何故か僕のお気に入りはこういうヤツが多いです。

写真はたぶんスイス・チャンプというモデルで、90年のヨーロッパ行きのあたりに買ったものだと記憶しています。
ツールのいくつかは破損しています。
現在ではホームセンターでも売っていますが、昔は専門店でしか買えない憧れの品物でした。

大学生の頃、外国へ旅立つ友に餞別としてスイス製ツールナイフを贈ったものです。
ただ、贈り方にはちょっとひとひねりあって、まずはその旅立つ友に「貸す」という形をとります。
そして「必ず返せ」と言って見送るのです。
そして、帰って来た友から一度返してもらって、それから改めて贈るのです。
何やら儀式めいたことをしていますが、要は必ず帰って来いと言いたかったわけです。
若い頃は随分ともって回った表現をしたものです。
幸い、返って来なかったことはありません。

これも昔。オーストラリアに旅立つ友に、ツールナイフではなく、サバイバルナイフのでっかいのを贈ったことがあります。
「クロコダイル・ダンディ」という映画のイメージでそういうナイフにしたのですが、あれは迷惑だったろうね。
彼はオーストラリアのアウトバックへ冒険に行くわけではなく、留学と仕事のネタを探しに都市部へ行くのでしたから。

刃渡り30センチに迫る銃刀法違反のナイフを持って、僕は彼を見送りに成田空港へ行ったのでした。
僕の荷物は、箱に入ったそのナイフだけ。
これでチェックポイント二ヶ所を越えました。
「所持品は?」
「これだけです」
「中身は何ですか?」
X線で見てわかっているでしょうに。
「ナイフです。オーストラリアへ旅立つ友人への餞別です」
という具合で何無く通過。
ワタクシ、実はかなり物騒な男ですが、一見、人畜無害に見えるところがウリです。
これでよく女の子をダマしたものさ(ウソ!)。

ツールナイフが活躍した思い出というのは、多くはピンチや苦難の記憶です。
そんなことを思い出しながら、薪ストーブの前で痛んだ道具の手入れをするのも好きな時間の過ごし方です。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (しまりす)
2009-02-07 18:54:01
私も、フランスに旅立つ時に誰かが
餞別の品を貸してくれ そこに
必ず帰って来いという意味が含まれていたのなら
それをお返しするために予定の一年で帰国し
今頃日本人と結婚して 日本のどこかで暮らしていたのかもしれないなぁ・・・

分かりやすいストレートな表現も潔く好きですが
持って回った表現も 大切に思われているという
気持ちが じわじわとゆっくり心に沁みわたるようでいいなぁ。
ひろにゃんさんのご家族やご友人は幸せですね。
持って回ったセリフ (ひろにゃん@風琴屋)
2009-02-08 14:31:27
しまりすさん、ようこそ!

これも大学の頃、NYに旅発つ微妙な関係の女性へ言ったこと。
「僕たちは生きている限り、12,756キロ以上離れることは出来ないんだからね…」

12,756キロは地球の直径の長い方ですね。
ふたりがどれほど離れようとも、その距離は有限なのです。
実際は、地球を貫くことは出来ないですし、、交通事情とかあるわけですが、それでも無限の彼方ではありません。
思いや縁があれば、有限の距離など問題ではないと言いたかったのですが、伝わらなかったような気が…。

持って回った表現というのは、伝わらないことも多いですよね。まあ、それも含めて縁なんでしょうけど。

それにしても、昔の僕は歯が浮くセリフをよくも素面で吐いていたものです。
赤面ですたい。

コメントを投稿