もちろん家計は火の車

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満島ひかりの魅力が光る“人生応援歌”……映画『川の底からこんにちは』について

2010年06月25日 | 映画

突然だが、みなさんは“満島ひかり”をご存知だろうか?
上映時間なんと“237分(!)”という園子温監督の異色映画
『愛のむきだし』で各賞を総ナメにした、
いま日本で「もっとも光ってるんじゃね?」と思える女優さんである。

この満島ひかりが主演している映画『川の底からこんにちは』を観てきた。
実はこの映画、今年5月に封切されている作品なのだが、
都内だと“ユーロスペース”単館公開で「やたら混んでるらしい」……
という話を聞いて、なんだか気が引けてそのまま放置状態だったのである。
それが、たまたま新宿で「いまだ劇場公開にかかっている」という事実を知り、
ようやく重い腰を上げ、このたびようやく観てきたと、そういうわけである。

で、実際に観てみた『川の底からこんにちは』、思った以上に“いい映画”だった。
適度に笑わせ&泣かせて、しまいにはちょっとばかり“人生”ってヤツについて
考えさせられたりして……とにかく、そんな映画であった。

本作で満島ひかり演じるヒロイン・佐和子は、
故郷の田舎町を飛び出し、東京に出てきて5年目の派遣OL。
上京して5年、仕事は5つ目、付き合ってる彼氏も5人目……という具合に、
あらゆる意味で「煮詰まった日常」を、ウンザリしつつ送っている。
そんな彼女のもとに飛び込んできた、
故郷に残してきた父が病に倒れ「余命あとわずか」……との知らせ。
といっても、故郷を飛び出してきた佐和子には、
都会生活を捨て田舎町へ戻るつもりなど、さらさらない。
ところが、すべてにおいて流されるまま
「ま、しょうがないか」……と
妥協した日々をダラダラ続けてきた彼女は
“ある事情”から、ついに帰郷せざるを得なくなる。

水辺の田舎町にある実家は、倒産寸前の“しじみ工場”。
そこで働くオバちゃんたちは、それこそ1クセも2クセもある
猛者ばかりで、かつて自分たちの町を見捨てて飛び出していった
小娘(=佐和子)のことなど、はなから誰も相手にしていない
(ちなみに書くと、このオバちゃんたちの怪演ぶりは「必見」である・笑)。
しかし、そんな“しじみ工場”の後継者として、
いまにも潰れそうな工場を切り盛りせざるを得なくなる佐和子。

おまけに、東京からついて来たいまの“彼氏”は
なぜか子持ちのダメ男で、田舎町へ来てからも、なぜか
佐和子の同級生とデキちゃって、ついには同棲を始める始末。
もちろん、自分の娘は佐和子のもとへ“置き去り”である(!)。
で、そんなダメ彼氏の娘を保育園に連れて行けば、
近所のヤンママたちの冷たい視線が、佐和子に突き刺さる。

……どんなもんであろうか? とにかく、
完璧なまでに「煮詰まった」どんづまりの生活が、ここにある。

ところが、である。
「ま、しょうがないよね」を合言葉に、それまで
すべてにおいて“やる気のない”人生を歩んできた佐和子が、
この“どんづまり”の状況において、ついに立ち上がる。
(いや、「立ち上がる」というより、ヤケになって「キレた」というのが正しいw)。
言ってしまえば、単なる「ヤケクソ&開き直り」だったりするわけだが、
とにかく、この佐和子が「キレる」シーンは、
ある意味で「そのとき、映画の神が降りてきたのかも……?」と
思わせるほどの迫力で、一見の価値アリだ。

“長回しのセリフ&キレる演技”と言えば、
ほかでもない前作『愛のむきだし』においても
満島ひかりが名演を見せてくれているわけだが、
個人的には今回の『川の底からこんにちは』での演技のほうが、
ぜんぜん共感できた。ひとりの人間が
「心の底からシャウトしている」……
なんだか、掛け値なしに“そんな感じ”なのだ。

そして、ひとりの人間が完全に「開き直り」
「もう、がんばるしかない」と心を決めたとき……
人生というヤツは、ときに“奇跡”を見せてくれるものらしい。
少なくとも、本作『川の底からこんにちは』においては、そうだ。
やっぱさ、人生は「しじみのパック詰め」だよね、ウン(←おいおいw)。

とにかく……。
最近「どうも、元気が出ないなぁ」なんて人に、
ぜひとも観ていただきたい“人生応援歌”。
この『川の底からこんにちは』は、そんな映画である。
観たあとで「人生って、そんなに捨てたもんじゃないのかも」
……なんて思える映画、いまの時代に、けっこう貴重なんじゃないだろうか?

PS.
ちなみに書くと、新宿での本作の劇場公開は、
なんと「昼12時20分からの1回のみ」(!)。
オマケに公開期間じたいも、そんなに長くはなさそうだ。
現実的に言えば、これから『川の底からこんにちは』を観たいという人は、
そのうち発売されるであろうDVDを待つというのが、
いちばん現実的かもしれないので、一応その旨、書き添えておく。

あと、最後に『川の底からこんにちは』について、
一つだけ「ど~なのよ!?」と思った点。
すばらしい熱演を見せてくれている満島ひかりなのであるが、
いかんせん彼女の場合、“負け組”と呼ぶには
美人過ぎるんではなかろうか、と……(笑)。
添付のカット写真を見ればおわかりの通り、
満島ひかりとは、要するに「伊藤麻衣子(いまは“いとうまいこ”か?w)を、
ちょっとボーイッシュにした感じ」で、ハッキリ言って
かなりの美人顔なのだ。
あれだけ素晴らしいルックスで
「ど~せ私なんか、“中の下”の女なんですから!」って言われても……ねぇ。
あれ、ヘタすると結構なイヤミに見えるんじゃないかと思うんだけど、
そこらへん、どうなんでしょうね、女性の皆さん?w


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