君は、透明なグラスに冷えたペリエ・ジュエ・ベル・エポックを少しだけ注げ足し、それを一口飲み込んだ。
フランスのアール・ヌーボーを代表するアーティスト、エミール・ガレがデザインしたその優しく流れるようなボトルラインに、透明な分厚い硝子窓を通して、煌びやかな東京の夜の街の眩い光が眩しく輝いている。
君の喉元を、冷たくフルーティーな香りを引き摺って流れてゆくのを、君は心の中で微笑みながら、ひとりゆっくりと余韻を楽しんでいる。
君のホテルの部屋に備え付けられている、ブラックウォールナット板のデスクの上に置いたiPadに予めダウンロードしておいた、コンピレーション・アルバム(ある一定のテーマに基づいて、いろいろなアーティストの曲を集めて新たに再編集したアルバムのこと)「TOKYO AOR」からは、アルバム1曲目となる、ボズ・キャッグスの「ジョジョ」が流れ始める。
まるで、都会の気だるい喧騒と廃頽に横槍を入れるように、あくまでも甘く、そして洗練された、蕩けるようなサウンドが照明を少し落とした室内を包み込む。
曲は、続いて、レイ・パーカー・jrの「ウーマン・ニーズ・ラヴ」へと変わったようだ。
レイ・パーカー・jrの、クールでストロベリー・ショート・ケイキみたいに甘い声が、極彩色に輝く高層ビル群の灯りにゆれている。
ホール&オーツの「ウェイト・フォー・ミー」、ブレイク・ウォーターの「ワーク・イット・アウト」、エリック・カルメンの「チェンジ・オブ・ハート」、そしてアース・ウインド&ファイアー「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」・・・1970年代、1980年代を代表するAOR(アダルト・コンテンポラリー・ロック)の優れた名曲たちが、次々とノンストップで、きらきら輝きながら美しい東京の夜警の中を漂い、流れてゆく。
コンピレーション・アルバム「TOKYO AOR」は、1980年代ディスコ・リバイバルを牽引した立役者DJ OSSHY(オッシー)がプロデュースしていて、全21曲ノンストップでミックスされている。
君は、コンピレーション・アルバム「TOKYO AOR」をこうして聴いていると、まるで、あの懐かしい時代へと一瞬でタイムスリップしているような、そんな素敵な気分に落ちてしまう。
アルバムは、スタンリー・クラーク&ジョージ・デュークの「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・ラヴ・ユー」へと移り変わる。
ペリエ・ジュエ・ベル・エポックを空にした君は、冷蔵庫から冷え切ったペリエ・レモンを取り出して、飲まずに、ボトルごと酔いを醒ますように額に当てると、ホテルの部屋のベッド脇に置かれた固定電話にふと目を合わせる。
ほろ酔い加減の君は、今の君の中で一番大切なそのひとの声が無性に聞きたくなってくる。どうしても今すぐ遭いたくなってくる。
電話をしようか、それとも止めようかと暫く思い悩んだ君は、それでも意を決して、直接電話を掛けることを諦め、素早くホテルのキーを右手に持つとiPadの電源を切って、アルバム最後の曲、エアプレイの「シー・ウェイツ・フォー・ミー」を無理やり途中で終わらせ、ホテルの部屋のドアを開けて華やかな夜の街へと飛び出した。
そう。彼女が残業しているオフィスは青山通りから少し入った場所にある。君の歩幅なら、急ぐとここから歩いて10数分で着くだろう。
君は、金曜日の夜の賑やか過ぎる街の雑踏を掻き分けながら最愛の彼女に遭いにゆくその途中、表参道駅近くの「青山フラワーマーケット」に立ち寄って、アネモネをブーケットしてプレゼントすることを思いつき、その素敵な思いつきにちょっとだけほくそ笑む。
君は、買い求めたブーケットを小脇に抱えながら彼女が残業しているビルまでなんとか辿り着くと、その明かりが灯った愛しい窓を、ただじっと長い間見つめ返していた・・・。
君はこの東京という街で、真正面を見据えたまましっかり生きてゆこうと決心する。
君はこの都会を、優雅に正々堂々、自らが信じるゴールに向かってひたすら泳いでゆく、そのことを、深く心の中で決心する。
あ~あ。
こんな妄想なんてどうでもいいけど、そんなことよりも、とにかく東京に行きてぇー!
アルバム「TOKYO AOR」、あまりにも切なすぎるよーっ。
ああ、東京、行きてぇーー!!
フランスのアール・ヌーボーを代表するアーティスト、エミール・ガレがデザインしたその優しく流れるようなボトルラインに、透明な分厚い硝子窓を通して、煌びやかな東京の夜の街の眩い光が眩しく輝いている。
君の喉元を、冷たくフルーティーな香りを引き摺って流れてゆくのを、君は心の中で微笑みながら、ひとりゆっくりと余韻を楽しんでいる。
君のホテルの部屋に備え付けられている、ブラックウォールナット板のデスクの上に置いたiPadに予めダウンロードしておいた、コンピレーション・アルバム(ある一定のテーマに基づいて、いろいろなアーティストの曲を集めて新たに再編集したアルバムのこと)「TOKYO AOR」からは、アルバム1曲目となる、ボズ・キャッグスの「ジョジョ」が流れ始める。
まるで、都会の気だるい喧騒と廃頽に横槍を入れるように、あくまでも甘く、そして洗練された、蕩けるようなサウンドが照明を少し落とした室内を包み込む。
曲は、続いて、レイ・パーカー・jrの「ウーマン・ニーズ・ラヴ」へと変わったようだ。
レイ・パーカー・jrの、クールでストロベリー・ショート・ケイキみたいに甘い声が、極彩色に輝く高層ビル群の灯りにゆれている。
ホール&オーツの「ウェイト・フォー・ミー」、ブレイク・ウォーターの「ワーク・イット・アウト」、エリック・カルメンの「チェンジ・オブ・ハート」、そしてアース・ウインド&ファイアー「アフター・ザ・ラヴ・ハズ・ゴーン」・・・1970年代、1980年代を代表するAOR(アダルト・コンテンポラリー・ロック)の優れた名曲たちが、次々とノンストップで、きらきら輝きながら美しい東京の夜警の中を漂い、流れてゆく。
コンピレーション・アルバム「TOKYO AOR」は、1980年代ディスコ・リバイバルを牽引した立役者DJ OSSHY(オッシー)がプロデュースしていて、全21曲ノンストップでミックスされている。
君は、コンピレーション・アルバム「TOKYO AOR」をこうして聴いていると、まるで、あの懐かしい時代へと一瞬でタイムスリップしているような、そんな素敵な気分に落ちてしまう。
アルバムは、スタンリー・クラーク&ジョージ・デュークの「アイ・ジャスト・ウォント・トゥ・ラヴ・ユー」へと移り変わる。
ペリエ・ジュエ・ベル・エポックを空にした君は、冷蔵庫から冷え切ったペリエ・レモンを取り出して、飲まずに、ボトルごと酔いを醒ますように額に当てると、ホテルの部屋のベッド脇に置かれた固定電話にふと目を合わせる。
ほろ酔い加減の君は、今の君の中で一番大切なそのひとの声が無性に聞きたくなってくる。どうしても今すぐ遭いたくなってくる。
電話をしようか、それとも止めようかと暫く思い悩んだ君は、それでも意を決して、直接電話を掛けることを諦め、素早くホテルのキーを右手に持つとiPadの電源を切って、アルバム最後の曲、エアプレイの「シー・ウェイツ・フォー・ミー」を無理やり途中で終わらせ、ホテルの部屋のドアを開けて華やかな夜の街へと飛び出した。
そう。彼女が残業しているオフィスは青山通りから少し入った場所にある。君の歩幅なら、急ぐとここから歩いて10数分で着くだろう。
君は、金曜日の夜の賑やか過ぎる街の雑踏を掻き分けながら最愛の彼女に遭いにゆくその途中、表参道駅近くの「青山フラワーマーケット」に立ち寄って、アネモネをブーケットしてプレゼントすることを思いつき、その素敵な思いつきにちょっとだけほくそ笑む。
君は、買い求めたブーケットを小脇に抱えながら彼女が残業しているビルまでなんとか辿り着くと、その明かりが灯った愛しい窓を、ただじっと長い間見つめ返していた・・・。
君はこの東京という街で、真正面を見据えたまましっかり生きてゆこうと決心する。
君はこの都会を、優雅に正々堂々、自らが信じるゴールに向かってひたすら泳いでゆく、そのことを、深く心の中で決心する。
あ~あ。
こんな妄想なんてどうでもいいけど、そんなことよりも、とにかく東京に行きてぇー!
アルバム「TOKYO AOR」、あまりにも切なすぎるよーっ。
ああ、東京、行きてぇーー!!