山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

越後・信濃路の旅:第4日(その2)

2016-11-12 02:28:08 | くるま旅くらしの話

戸隠から道の駅:美麻へ(恐怖と不安と発見の喜びの道)

戸隠といえば蕎麦が名物である。ここへ来て蕎麦を食べずに帰ることは許されない。そのような思いがあって、昼食はもう端から蕎麦に決めていたのだけど、道なりにかなり数ある蕎麦の店は、どこも駐車場が満杯で、車を止められないのである。何とかならないかと更に道を下りながら探していたら、ようやく1軒車を止められそうな店があり、ヤレヤレと安堵した。多くの人たちは神社などの参拝よりも蕎麦を食べるのが目的でここにやって来ているのではないか。観光バスを降りた団体さんが、あちこちの店の暖簾を潜って入って行く。我々のような少し大きめの車なのに、たった二人しか乗っていないのは、店の側から見ればあまり嬉しくもない客なのかもしれないなと思いながら、観光バスの団体さんたちの、ざわめきを観察したりした。蕎麦は少し高値の感じがしたけど、確かに美味かった。この地の蕎麦は、かなり細く切って茹で上げられているようだ。香りも歯ごたえも申し分のないものだった。

 名物の蕎麦を堪能した後は、今夜の宿を予定している大町市(と言っても合併する前は美麻村だった)にある道の駅:ぽかぽかランド美麻を目指す。初めて訪ねる場所である。蕎麦を食した後、さてどんなコースを辿れば良いのか、これはもうナビに任せることにした。最初は近道の県道を行くつもりだったのだが、ナビが別の道を選んだので、それに従うことにしたのである。戸隠村(今は、なんと長野市となっている)はかなりの高地にあるので、蕎麦屋を出た後はしばらく坂道を下ることとなる。先ずは県道76号線を行くこととなった。最初はまあまあの道幅の道路だったのが、そのあと県道86号線と進むに従って次第に頼りげのない道になり出した。何よりも離合が出来ないのが困るので、大きなトラックなどが来ないように願うばかりだった。不安を抱えながら所々集落のある坂道を下って行くと、やがて谷に沿って川(花裾川)の流れる国道の408号線に出た。しかし、国道とはいえ400番台の道路である。安心はできない。そこから鬼無里(きなさ)の方に向かうというナビの指示だった。

 鬼無里と書いて「きなさ」と読む。地名は難しいが、この地名も他所者には最初から正解は難しいと思う。鬼無里村は戸隠村の隣にあって、どちらも印象に残る地名だったが、今では双方ともに合併して長野市となっている。鬼無里というのは、実に日本的な地名だと思う。鬼がいない里というのは、平和で安全な暮らしが保てる理想郷といったイメージが強い。尤も、鬼が悪者と想定しての話だが、人間の中にも鬼以上の悪者も混ざっているので、恐らくこの世には鬼無里というような理想郷は未来永劫存在しないのだと思う。

 ま、そのような理屈はともかくとして、実際の鬼無里は谷を流れる川に沿って、山中深くに静かに横たわる山村だった。国道が走っていても、それほど交通量が多いわけでもなく、高低差の大きな道は、道幅も広くなったり狭くなったりして、難所と呼ぶべき場所も多い感じがした。少し走ると、今度は県道の36号線へ行くこととなった。ここからは間もなく小川村に入り、今度は新たな山道をしばらく上り続けることになった。やはり所々道のせまい箇所があって、不安は一向に解消しない、しばらく走り続けて見晴らしの良い丘のような場所に出た。このような山奥でも走れば小さいながら集落があり、人が棲んでいるというのだから、凄いなと思う。どのような暮らしで生計を立てておられるのか。農林業が中心なのかなと思ったりした。

道の脇には何箇所かアルプス展望所のようなものがあり、そこからは北アルプスが望遠できるのだと思う。今日は残念ながら雲が多くてそれらの山は見えなかった。しばらく行くと、県の宝、県宝と書かれたお寺さんがあり、そこの三重塔がその宝なのだという。これは見逃すわけにはゆかない。車を止めて参詣することにした。

真言宗豊山派に属する高山寺というお寺で、創建は1,195年(建久6年)で、現存する三重塔は1,694年(元禄7年)に建てられ、長野県下にある12の塔の内では最古であり、北信では唯一と案内板に説明書きがあった。境内の中に入り、本堂にて般若心経を誦したあと、三重塔を見上げ眺める。小型の塔だが、均斉がとれていて美しい。遠くアルプスを見通す環境の中で、江戸の昔から地域の人たちを見守っているのだなと思った。印象に残るお寺だった。

     

高山寺三重塔。県宝とあって、さすがにそれに相応しい貫録のある建物である。国の宝にしてもおかしくないようにも思えた。

そのあとは再び山を下り、何という名の川なのか、その川に沿った県道を行き、間もなく道の駅:ぽかぽかランド美麻につく。この県道は道幅も広く、運転はぐっと楽になり、大町が近くなったのを感じた。それにしても信州の山奥は深いなと思った。長いこと都会にばかり暮らしていたので、この山の中では今の時代どのような暮らし方がなされているのだろうかと、ふと思った。最近は限界集落などという、村が老衰して消えてゆくという哀しい話を耳にすることが多いが、そのような時に何故か心が痛むのは、自分などもその先鞭をつけた一人なのかもしれないという罪悪感のようなものがどこかに疼いているからなのかもしれない。ふるさとの匂いのする信州の山の中を走りながら、景色などを楽しむこと以上に、少し複雑な気持ちになった。

 美麻の温泉は温(ぬる)めのものだったが、それなりに温まって、又じょんのびの湯とは違った味わいがあった。

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