大航海時代初心者日記。→大航海星空日記。

マリィナ=ファリエル@NOTOS のんびりだらだら――のんだら系。

アルゴノーツの休日…アルゴ座復元計画(MDSS13-2)

2008-12-02 20:35:19 | 星のこと・MDSS
Ciao,マリィナです。DOLの全天走査計画MDSS(マリィナ・デジタル・スカイ・サーベイ)。今回のエントリは先週の「予告編」でお話したとおり、アルゴ座の復元を試みてみようと思います。
 それにしてもリアルの最近の星空は面白いですねー。日暮れ、日没が早いので、18時ころからトカイでも星が綺麗にみえますけれど、西の南よりの若干低い位置に「宵の明星」金星が見えます。そばには木星があって、綺麗な二つの星がそろってますよね。
 真西の方に目をうつすとみえるのがなんと夏の大三角形です。18時頃ならまだ見えるんですよー。
 んで、真上を見上げるとペガスス座があります。四角形が綺麗に見えるはずです。併せて北の方に向かってアンドロメダ座が見えます。
 さらに東の方に目をうつすと、ちょっと赤っぽい明るい星があります。私の予想ではおうし座のアルデバランなんですけれど…。すばるが見えていませんし、今後の観察で見極めたいと思います。
 リアルの空もけっこう面白くなってきましたね。トカイの真ん中でもこのくらい見えちゃったりするのです。あったかい恰好でぜひご覧になってみて下さいね。

 さて、今日の本題にまいりましょう。

◆復元可能?…ふたつの特徴
 プトレマイオスの48星座の中でもっとも巨大なのが、ギリシア神話に出てくる英雄たちの乗る船、アルゴ船(アルゴ座)です。現在4つに分割されていて、それぞれ『りゅうこつ座』、『ほ座』、『とも(船尾楼)座』、『らしんばん座』となっています。羅針盤はプトレマイオスの当時には西洋にありませんのでおかしなことになっておりますけれど…。

 この星座は四つに分割できることから分かるように、とてつもなく大きいです。なので画面に納めきることは不可能と思っていました。

 本当に不可能? それを確かめるために特徴をまず捉えることからはじめてみます。

 まず、船のカタチの中でもっとも特徴的なのが「ニセ十字」と呼ばれる部分です。これは、『ほ座』と『りゅうこつ座』にある4つの星で形作る十字形で、みなみじゅうじ座によく似ています。大きさや星の明るさが南十字よりもおおざっぱなトコロがありますので区別はしやすいです。

 それとアルゴ座の特徴的な星が『りゅうこつ座』の一等星「カノープス」です。これがシリウスに次ぐ明るさを持っています。大変明るい星なので、ニセ十字の左下のほうに煌々と輝いているのを見ることができます。

 少なくともこの二つの特徴が同時に画面上にあったら、すくなくとも船の一部について、星座線でつなぐことができるわけです。
 ちなみにこれらが見えるのは、冬の大三角形の次に見えてきます。おおいぬ座の隣にありますので、地中海の沖で十分観測可能です。

◆船…船部品と大きさ
 アルゴ座を構成する四つの船部品についてみてみましょう。

1:りゅうこつ座(Carina)…
 りゅうこつとは「竜骨(キール)」で、人間でいえば背骨でしょうか。船体の船首から船尾までにわたって一本の太い骨材を底の部分に通し、船体全体を支える要となる部材です。漁船などの船底を裏から見ると、中心に一本走っている骨材が見えると思いますけれど、これが竜骨です。この部分が損傷していなければ、他がぼろぼろでもナントカ修理はきくようです。
 テレビの話になりますけれど、「鉄腕DASH」で長瀬さんが乗っていた「つれたか丸」という漁船は廃棄されていた船を補修していました。このとき漁船の船長さんに、キールが壊れていなければ使えるといわれていましたね。覚えている人いるか知りませんけれどw

 これらからわかるように、竜骨は船の底の部分に位置しています。船を支える土台となるので、アルゴ座の中で一番低い位置にあります。

 さらに、カノープスという一等星はりゅうこつ座の中でも一番低いところにあります。この星がある場所が船底とみていいですね。

 Wikipediaによると大きさは34/88番目、さそり座とほぼ同じです。ほ座もほぼ同じ大きさです。

2:ほ座(Vela)…
 いわゆる補助帆ですね。ヘヴェリウスの星座絵を見ると一本のマストにたたんだ帆が見えています。りゅうこつ座とともにニセ十字を形作る二個の星を提供しています。

 Wikipediaによると大きさは32/88番目、かに座、さそり座とほぼ同じです。りゅうこつ座とほぼ同じですね。

3:とも座(Puppis)…
「船尾」を「とも」といいます。星座絵を見ますと船尾楼を伴った梶つきの帆船ですし、Puppisを英語では「Poop Deck」ということから、船尾楼座と言った方がよいですね。ちなみに「とも」に対して船首は「へさき」です。
 この星座はかなり大きく、南に来ると縦に伸びた姿を見せますので、DOLの画面上で全体を見るのは、東か西かいずれか傾きのあるときのみだと思います。ニセ十字や南十字なしでとも座を発見する能力が私にあまりないので、北の方にいるときに見られれば、案外簡単に全体像をみられるかも知れません。

 Wikipediaによると大きさは20/88番目、ぎょしゃ座よりもおおきいようです。

4:らしんばん座(Pyxis)…
 四つの星座の中で確実に浮いているのがこの星座かと思います(笑)らしんばんですものね…天文学の世界に神話を反映しなければいけない規則はありませんけれど、なんともセンスがないですね。
 見える位置が最も高いのがこの星座です。全体像を見るときにこの星座が見えるかどうかはキーポイントかも知れません。

 ちいさい星座でこじし座などと同じくらいです。
 Wikipediaによると大きさは65/88番目ですから、いっそう目立ちませんね。

 これらの四つを合わせた面積(平方度といいます)は494+500+673+221=1888です。
 うみへび座…1303
 おとめ座…1294
 おおぐま座…1280
 ですから、これらに大きめの星座一つ分くわえたくらい大きいという、とてつもない面積になるのですね。面積が大きいということはそれだけ星座に含まれる星の数も膨大になります。

 さぁ、はたして復元なんて可能なのでしょうか…?

◆星船の位置…カリブ沖
 例えばおとめ座などは東から上ってくるとき既に立った状態で上ってきますから、DOLで全体像を見るのはほぼ不可能です。
 ところがアルゴ座は大きな星座ですが、うまいことに船を進水させたようにきちんと船のカタチのままに上ってくるのです。南の星座だからといって南下しすぎると、逆さまになってしまいます。

◎カリブの沖では天上に向けて駆け上るような船の姿

 青い線が現在の星座線です。白い線を含めてアルゴ座の星座線になっています。

 とも座などは日本からでも大部分を観測できますので、そんなに大げさに南天を目指さなくても見られる星座なんですね。そうでなければプトレマイオスも星座にくわえませんでしょうし…思い込みが先行してしまうとなんでも難しいものです。
 で、それほど緯度を下げずに、東に昇り始めたときか、西に沈むときに全体像が見られるはずです。

◆星船の位置…東南アジア
 私の頭の中では西に沈むときのほうがとも座のてっぺん辺りまで見えるのではないか、という予想をしておりましたので、それをもとにして日々観察していましたところ…東南アジアでちょうど思うような配置になりましたので、スクリーンショットを撮影しておきました。

◎東南アジアの沖、西にゆっくり沈もうとする船

 まさに予想通りでしたけれど、カノープスがもう少し下に来ないかなぁ…という期待もむなしく、時間が来てしまってこの撮影しかできませんでした。
 この絵では逆にほ座が欠けてしまっていて、らしんばん座はほぼ見えません。もう少し観測の緯度の高い方が良いようです。

◆星船の位置…アレクサンドリア沖
 もっとも星座線をたくさん結べたのは、結局アレクサンドリアの沖合でした。これも偶然の発見です。クエストのために航海している最中でした。

◎アレクサンドリアの沖合に浮かぶアルゴ船

 とも座の上の方は欠けてしまっていますし、らしんばん座の姿は見えませんけれど、ほ座は完璧ですし、きれいにカノープスも見えています。
 星座が進んでいく方向は西ですので、船尾のほうが進行方向になってちょっとおかしな感じですけれど、水平線上に綺麗に船が浮かんでいるのが分かります。

 こうしてみるとホントに大きな船ですねー。星座線を見てるとちょっとガレオンぽい雰囲気があります。帆が一本マストの四角帆っぽいようなカタチですけれどw

 カノープスが水平線すれすれの時を狙うのがいいのかなぁっていう感じですね、これらを見ると。

◆おわりに
 アルゴナウタイと呼ばれる50人の勇者達は、この船を使って金色の羊の毛皮を求めて遙かな冒険の旅に出発しました。
 命を落としたり、途中で船を離れたりして勇者達は冒険を続け、ついに目的を達成します。
 その劇的な冒険譚は数多く語られ、星座として形作られました。
 天文学という学問の都合で分割された後も、その星座は物語とともにいつまでも輝いています。

 夜空を飾る星座の中を漕いでいる大きな星船を、航海しながら探してみてはいかがでしょうか。

◆【番外】アップデートの話
 クリスマスアップデートですね。また衣装が増えそうな予感…もうもてないぉ;><)o
 それにしても…オーナメント。絵ですか。絵ですね。まじゅい…びじつスキルとらないと。びじつ。保管とらなきゃいけないのに。うー。

 私の悩みは置いといて…ダ・ヴィンチやラファエロなどルネサンス時代の絵から、エル・グレコ、ベラスケス、ルーベンスらのバロック、ブリューゲルやフェルメールといった風俗画など、時代をおおきくまたがって、美術地図やクエストに登場すると思います。
 私はその辺りの絵画にあまり詳しくはないですけれど…絵は好きなのでできれば飾りたいですねー。

 ダ・ヴィンチやラファエロなどのルネサンス時代の画家達は、遠近法のように、科学的な視点、描法を宗教画の世界に持ち込んで、神話や伝説のような想像力の粋を逸脱した現実感を大きく演出しました。
 さらにミケランジェロの彫刻などでは、きわめて精密な描写がなされており、それが芸術の頂点であるかのように認識されるようになると、それを目指して腕を競い合うようになり(マニエリスム)、やがてそれが飽きられ(マンネリ)、批判され、それら凝り固まった観点を壊すように「バロック」が姿を現します。

 また、ブリューゲルやフェルメールなどは身の回りにある事物を細かな書き込みで描いていますが、この頃になると芸術の中心地はオランダであったりフランスであったり、はたまたドイツであったりと芸術の裾野はおおきく広がっていきます。地域性ですとか芸術の対象、反映される思想も多様化していくんですね。
 あんまり美術史に詳しくないのでこれ以上語れませんけれどw 発見物などを追っていくと歴史の流れを感じられますし、大航海時代というくくりをこえた時代の枠ではありますけれど、かなり面白いんじゃないかなーなんて思います。

 次回の星空更新は何にしようかまだ考えておりません。研究編かなぁ…?
 明日、ジェノヴァで行われた忘年会の様子をお届けしようかと思います。おたのしみにー。

 でわ~☆


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