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通天閣

2006-12-16 | 街角の話し
「泣いたらあかん、明日、二人で通天閣に登ろう」

西加奈子 著。筑摩書房。「通天閣」の一節である。

今、大阪のある本屋では、リリーフランキーの「東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~」の隣に、この本が積んである。装丁は、どちらも白地に赤文字。
並べて置くアイデアはさすがに大阪風。
東京タワーは大分以前に読んだので、思わず買ってしまった。
大阪人としては、きっと東京タワーに負けない本だろうと期待して(笑)

通天閣界隈に住む二人の物語。

40代、独身、離婚歴あり、町工場に勤務、性格にいささか問題ありという男。
そして、ニューヨークに行ってしまった恋人が忘れられない女。まだ別れてないということだけが心の支え、恋人に罪悪感を覚えさせるためにだけ、場末のスナックで働く。

ケッタイナ二人の日常が交互に描写されて物語は進んでいく。場所が通天閣近くというだけで、二人の接点は、なかなか見えて来ない。

町工場と場末のスナック。それに相応しい人間模様が描かれて行くが、まったく元気がない、読んでいても元気がなくなる、何か「けだるい」。
生きて行くのが「ヘタ」な二人だ。

結局恋人に振られたことが、はっきりして、何もかも嫌になった女が、お店のママに声をかけられるのが、冒頭の言葉。

そんな時に通天閣で事件が起こり、一挙に、話は、盛り上がって来る。

-ネタバレになるので以下の粗筋は省略-

「しんどい時は、自転車降りて歩こうな」

誰からも愛されない人生だが。
愛してくれるのだろうか、ではない

愛そう。

なかなか、いい言葉が続きます。

最後の風景は、通天閣に雪が降っている....。

通天閣に雪は似合うのかも知れない。

誰でも、誰かに愛され、誰かを愛している。
死にたくなったとき、愛そう、愛してやると考えることにより、生きて行く活力が湧いてくる。
通天閣を見上げれば、そこには「明日がある」

作者の、巧さが光る本です。

東京タワー程に、格好良くはないけれど、読み終えた後、通天閣に行って見ようという気になる本です。

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