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古寺巡礼 和辻哲郎

2009-10-25 | 心に残る本
お寺をいろいろと参拝している人が、いつかは読んでみたいと思う(多分-笑-)本です。
それくらい有名な本です。
著者の和辻哲郎(1889年3月1日 - 1960年12月26日)は、『古寺巡礼』などの著作で知られる日本の哲学者、倫理学者、文化史家、日本思想史家。

本の紹介は、こんな具合である。
大正七年の五月,二十代の和辻は唐招提寺・薬師寺・法隆寺・中宮寺など奈良付近の寺々に遊んだ際,飛鳥・奈良の古建築・古美術に相対し,その印象を若さと情熱をこめて書きとめた.鋭く繊細な直観,自由な想像力の飛翔,東西両文化にわたる該博な知識が一体となった,みごとな美の世界がここにはある。

本は1919年に出版されている。文庫本は、その後に出版され1979年が初版。
私が買ったのは2009年4月8日の第54刷である。
表紙は、入江泰吉さんの写真。

名著と言うことは名文なのです。
仏像、建築、イメージ豊かに、文章が流れ、心に染み入ってくる心地よさ…。
決してガイドブックにはならないけれど、心のガイドブックです。

その一部をご紹介したい。そして自分としてもまとめてみたい。

いろんなお寺が出てくるが、やはり「薬師寺」かな。

私の薬師寺参拝記はこちら



金堂本尊 薬師如来(国宝)

「雄大で豊麗な、柔らかさと強さとの抱擁し合った、円満そのもののような美しい姿は、自分の目で見て感ずるほかに、何とも言いあらわしようのないものである。

胸の前に開いた右手の指の、とろっとした柔らかな光だけでも、われわれの心を動かすに十分であるが、あの豊麗な体躯は、蒼空のごとく清らかに深い胸といい、
力強い肩から胸と腕を伝わって下腹部へ流れる微妙に柔らかな衣といい、この上体を静寂な調和のうちに安置する大らかな結跏の形といい、
すべての面と線とから滾々(こんこん)としてつきない美の泉を湧き出させているように思われる。」

「あのわずかに見開いたきれの長い眼には、大悲の涙がたたえられてように感じられる。あの頬と唇と顎とに光るとろりとした光のうちにも、無量の慧智(えいち)と意力とが感じられる。確かにこれは人間の顔でない。その美しさも人間以上の美しさである。」

他の言葉がいらないくらい完璧ですね。


東院堂 本尊 聖観音(国宝)
「美しい荘厳な顔である。力強い雄大な肢体である。
仏教美術の偉大性がここにあらわされている。
底知れぬ深味を感じさせるような何ともいえない古銅の色。その銅のつややかな肌がふっくりと盛りあがっているあの気高い胸。
堂々たる左右の手。衣文につつまれた清らかな下肢。
それらはまさしく人の姿に人間以上の威厳を表現したものである。しかもそれは、人体の写実としても、一点の非の打ちどころがない。
人間そのものを写して神を示現しているといえるであろう。」

薬師寺の仏像2つについての和辻哲郎の考察の本の一部です。

観察眼のするどさ、そこから発展する多方面の知識。

著者20代の作品とは思えない深さです。

それが今尚、名著と言われ、たくさんの人に読まれている理由です。

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