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【本】 出雲人 

藤岡大拙著 2006年 ハーベスト出版 (初出1991) 定価1500円
 
久し振りに本にお金を出したが、読んでいて非常に愉しかった。歴史家、教育者である著者が文献から同郷人の悪口を探し出してきた。それらを丁寧に一つずつ検証して、マイナスの集積を、おしまいにはプラスに転じている。これぞ出雲特有の「受容」の文化だろう。あくまで低姿勢、謙遜そうに見えて、実は自信たっぷり。あるいは「今さらどうしろって言うんだ」という、表現は悪いが居直りの境地かも知れない。

出雲人の性格を示す(よくない方の)例はざっと次のようである。

1.後醍醐天皇隠岐島脱出の際の守護塩冶高貞の日和見主義、
2.幕末維新期の曖昧な姿勢と対応の遅れ
3.大町桂月(高知人)の出雲人論
4.野田成亮(宮崎人)の旅日記
5.「目黒のさんま」のバカ殿は出雲の殿様である。
6.幕末に作られた「魚尽し悪口」では雲州は赤エイで「味は悪く尻尾に毒針を持つ」といわれた。(鳥取は初鰹で「皆に好かれる」、薩摩は鯨で「動き出しては大騒ぎ」に比べると何とも気の毒)

帯にはこうある。「出雲人を煮詰めると日本人になる。暗い/内向的/社交下手/消極的/地味/勤勉/堅実/まじめ/努力家/進取性がない/即応性が弱い/活気が無い/若さがない/遊びがない」

わたしも日本人だが南九州産、明るくおしゃべり、じっと我慢するのが大嫌いでいつも自分から打って出る、社交性はあるし、真面目さに欠けているのでしばしば人を怒らせ、気が向かない場面ーそれが大半だがーでは怠けっぱなし、年齢より若く見られることが多く、遊び人と言われたこともある。これで著者に日本人と言ってもらえるかは甚だおぼつかない。もっとも彼のいう日本人とは弥生人を指すのだろうし、わたしは縄文人だと思っている。一方、夫は出雲人の特徴をそっくり備えている。出会ったとき自分に無い彼の性質が、魅力に感じられたのは間違いない。裏返せばそれらの短所は長所であり、長所は短所になりうる。自分の評判が常に気になるところは、出雲人と日本人に一番共通する点か。

★10月11日4AMのNHKラジオ深夜便に著者が出演(10日の深夜)
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