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「冤罪」(えんざい)

2009年 朝日新聞社出版
著者 菅家利和  

1990年栃木県足利市で4歳の女児が殺され、幼稚園の送迎バスの運転手・菅家さんが逮捕・起訴され無期懲役を宣告された。自白と当時まだ精度が低かったDNA鑑定が決め手とされた。

主婦の西巻糸子さんが救援運動を始め、佐藤博史弁護士が献身的な活動で再審を獲得した。が、獄中に17年止まることになった。

西巻さんによると「菅家さんは本当に大人しい人で、人に何か強く言われるとそれに合わせてしまうような人」であった。そんな人が殴られ、けられ、髪をひっぱられ15時間以上責められた挙句自白に追い込まれたのである。押収された証拠のうち133本のビデオがあったが、すべて大人の女性を対象とするもので、幼児愛のものは一つもなかった。検察は自分に不利なその証拠を隠していたのである。

西巻さんによる援助の申し出も、菅家さんはかなり長い期間拒否していたというが、気を悪くするでもなく接触への努力を重ねた彼女の包容力と忍耐には頭が下がる。

佐藤弁護士の長い間の信念と弛まぬ努力も感動的だ。(佐藤博史氏は1948年生まれで島根出身、幼いころ「真昼の暗黒」をお父さんと見たのが弁護士に志す原点になったそうだ。)

有罪率99%以上という数字を見るだけで想像できるが、日本は冤罪が起こりやすい。警察・検察・裁判所が協力して「疑わしきは有罪に」して来た一方で、大半の人は素朴に司法の善意を信じ、伝統的に「長い物には巻かれ」たがる精神風土があるためだろうか。

→「真昼の暗黒」7-2-12
→「今井正4作」16-10-29
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