歌会たかまがはら

毎回お題に沿った短歌を募集してゲストの方とおしゃべりする短歌の番組です。
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歌会たかまがはら1月号採用歌

2015年02月02日 | 歌会採用短歌
1月25日に行いました歌会たかまがはら1月号に短歌をご投稿いただいた皆様、また歌会の配信をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。

ここでは、当日採用した短歌、当日発表できなかったけど気になった短歌、出演者の短歌をご紹介いたします。

なお、短歌の感想等は省かせていただきます。ご了承ください。


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お題「雪」
ゲスト:廣野翔一さん
司会:天野うずめ

<当日発表した歌(順不同)>
◎廣野翔一さん選
・雪の降る新名神の闇のなか高速バスはチェーンを鳴らし(奈良県 村田馨さん)
→天野うずめも選

・ヨガマットをバズーカ砲のように持つ 雪道、何にも負けない日々だ(トロント さとうはなさん)

・雪の白 心を病んだ友だちへけれどもきつく投げつけている(大阪府 虫武一俊さん)

・たっぷりの雪をおでこに乗せたまま笑うあなたのカローラが来た(大阪府 じゃこさん)
→天野うずめも選

・林檎の横にあったナイフがなくなって外はもう歩けないほど吹雪(東京都 倉野いちさん)
→天野うずめも選

・宵の間に積もりし雪よ稟議書は書いても書いても終はりなき白(京都府 門脇篤史さん)
→天野うずめも選

・雪が見る夢 雪と並んで見てる夢 いずれにしても遠く汽笛だ(三重県 小林朗人さん)


◎天野うずめ選
・ムーミンのさいごみたいだじんるいはゆきのきせつにきえてゆきます(香川県 大木はちさん)
→廣野翔一さんも選

・家じゅうで喋ってるのはテレビだけ雪の温泉に蛭子能収(茨城県 佐倉まり子さん)
→廣野翔一さんも選

・かきくらし深雪の町のジョナサンに苺フェアの幟が揺れる(石川県 文月郁葉さん)
→廣野翔一さんも選

・5センチの雪で麻痺する大都会 津南生まれの父笑い居り(神奈川県 みちくささん)

・アナ雪の替え歌を声高らかに洋服を脱ぐ加藤先輩(東京都 スコヲプさん)


<当日発表できなかったけど気になった歌>
◎廣野翔一さん選
・てっぺんを白くしながらやってくるこの黒猫はチョコのともだち(群馬 きつねさん)

・こわがりの彼女の曰くジェイソンは無理だけど雪女はアリと(東京都 秋山生糸さん)

・じわじわと私に積もるぼた雪が溶けて激しい寝癖を直す(苫小牧市 新井 由利子さん)

・雪解けは遥かに遠い胸中にきみの理由は邪魔でしかない(五十嵐えみさん)

・固まったくすんだ雪の通学路転ばぬために踏んだ新雪(五十嵐えみさん)
→天野うずめも選

・かまくらが温かかった記憶さえ夢かもしれず心には雪(五十嵐えみさん)

・逢えぬ日が絆を強くするというキャッチコピーにすがるほど、雪(神奈川県 ガラケー太さん)

・雪だるま二つ見かけてそのうちのひとつは枝による腕がない(宮城県 工藤吉生さん)

・終盤で紙の吹雪の舞うコントがラーメンズにある見たことがある(宮城県 工藤吉生さん)
→天野うずめも選

・古典しか読まないという少年の髪にしずかに降り積もる雪(トロント さとうはなさん)

・軽ければ空へ向く雪 おはようとわらうあなたの声がまぶしい(トロント さとうはなさん)

・指人形はめたまんまで雪玉をほうる雪玉と指をほうる(アメリカ 柴田葵さん)

・だんだんと母ににてきて母になりやがてわたしは誰だろう雪(アメリカ 柴田葵さん)
→天野うずめも選

・校庭の積もった雪に足跡をつけずに耐えてこそ先生だ(大阪府 じゃこさん)

・恋人がいなくて休みも無いほかはやや充たされてこの雪つぶて(岩手県 たきおとさん)
→天野うずめも選

・シャーペンで十字架かさね数学のテストの端に雪を降らせて(デンノコッシオさん)

・みちゆきの降り染むきみ、きみ、睫毛を埋(うづ)めるやうに笑ふ人だね(埼玉県 野行(のなめ)さん)

・雪の日にふとラーメンが食いたくなりラーメンを食う寒がりにつつ(北海道 松木 秀さん)

・きみの手が睫毛をはずすその音も吸われているといい この雪に(大阪府 虫武一俊さん)

・わかりやすいこととわかることは違う羽根(フェザー)のように落ちてくる雪(大阪府 虫武一俊さん)

・初雪の朝通知音鳴りやまず わたしはここにいてもいいんだ(神奈川県 雪先さとこさん)


◎天野うずめ選
・真っ白な粉雪が降る深夜ですひつじの群れは見つけられない(石川県 こころさん)

・木漏れ日に貴方が置いた雪だるま光って泣いて伝えるおわり(石川県 こころさん)

・一番に長靴姿が浮かんでる雪国に住むきみ想うとき(奈良県 なるなるさん)

・名字しか知らない男も雪掻きの間は親しき隣人の振り(群馬 きつねさん)

・手のひらで拭えば消える粉雪のような言葉が降り続いている(群馬 きつねさん)

・カーテンを開ければ初雪 あちこちに楽しげな足あとの弟(群馬 きつねさん)

・先生の後を子ガモが連なって歩くキッズのスキー教室(大阪府 きいさん)

・ぎしぎしと過去踏みしめる蒼天に鷲の導く銀嶺の果て(蒼井 灯さん)

・雪の上では挨拶をしたくなる 道行くどんな脱走者にも(東京都 秋山生糸さん)

・うとうとと今日会うひとの名を数えまっしろな朝につながれた犬(東京都 秋山生糸さん)

・朝夕に5・6回ほど除雪して夕餉前にはようやく止みぬ(北海道 朝倉 敏郎さん)

・雪ちゃんて呼ばれし人が店長の古本屋行く金曜は雨(愛知県 東 恭子さん)

・雪のやう白き肌持つ乙女たち白きレェスのブラウス似合ふ(愛知県 東 恭子さん)

・こぼれ落つ雪粒ひとつに狙いつけパクッと食らう冬金魚かな(北海道 伊藤 雅さん)

・雪道にぽこぽこ穴を開けていく朝まで残れば私の勝ちね(東京都 稲垣三鷹さん)

・天国はいい人ばかりいることを証明してる雪の結晶(大阪 泳二さん)

・この町に住んでみたいと言うきみを見送る帰り道の粉雪(大阪 泳二さん)

・鎮魂のために無音で降り続くあなたのための雪の春先(香川県 大木はちさん)

・朽ち果てたバベルの塔に降り積もる雪は東京タワーにも降る(香川県 大木はちさん)

・一羽二羽ふくら雀がころころと転がるような粉雪の朝(兵庫 褐 来子(カツ ライコ)さん)

・さす傘や旅路の果てに積もりゆく明治神宮球場の雪(京都府 門脇篤史さん)

・あの日から僕らは雪を忌みはじむいつせーのーで大人になれば(京都府 門脇篤史さん)

・雪は降る、町に線路に人の手に 川にも降っているはずの雪(大阪 北虎叡人さん)

・ローソンの看板に雪 手をつなごう誰かが来たら離していいから(東京都 倉野いちさん)

・よく雪が降る年だったシーフードヌードルばかり作ってくれた(東京都 倉野いちさん)

・音もなく響きあう声はさはさと雪はつもりしむすうの耳に(新潟県 香村かなさん)

・これはもう積もる雪だと窓越しに見上げるおでこのシワも愛しい(愛知県 小坂井大輔さん)

・同棲をすればさくさくしんしんとしたアパートに雪の音階(北海道 琴平葉一さん)

・雪合戦と見せかけ殺すつもりだろう歌会運営 補佐は見ていた(愛媛県 小春まりかさん)

・春の雪水滴になるガラス戸を点字見本のように開けり(トロント さとうはなさん)

・雪国の春は革命 静音を轟かせつつ花は開きぬ(トロント さとうはなさん)

・こちらでは、とう書き出しで雪の日の長い手紙をしたためている(トロント さとうはなさん)

・言い訳をひとつずつ消す夜明け前 冷えたまぶたに降る雪がある(トロント さとうはなさん)

・市役所は明るくふるさと納税の仕方調べて悪くない雪(大阪府 じゃこさん)

・雪の結晶ひとつひとつに名をつける資格のみありわれは高卒(鹿児島県 末永 逸(すえなが いつ)さん)

・積雪のニュースを眺め靴下を履いてないのを思い出す朝(東京都 スコヲプさん)

・雪かきの大変さなどは知りつつも雪明かり、ああこの雪明かり(岩手県 たきおとさん)

・山茶花にうすく積もった新雪を人差し指でそっとひと撫で(奈良県 たたさん)

・その問いが解けたら春が来るんだと根雪が受験生に囁く(埼玉県 chariさん)

・手の平で集めた雪を飲むように老けてしまった父が黙った(デンノコッシオさん)

・蛇口閉め忘れたかと起き出せば真っ白な居間の窓 ああ 雪か(神奈川県 十夜 蓬扇(とうや ほうせん)さん)

・うまいのかまずいのか分からない蕎麦食べた帰りの影がない雪の上(神奈川県 十夜 蓬扇(とうや ほうせん)さん)

・あわゆきを見上げる誰ももう骨の浮力と息を忘れていたり(大阪府 とみいえひろこさん)

・オシッコで雪にあなたのお名前を書ききれなくて終わった恋路(山形県 ナイス害さん)

・ば っと雪の布団に倒れこみ横を向いても君が見えない(山形県 ナイス害さん)

・都会の雪はガラス窓に貼り付いて舞い落ちることはないと知る(新潟県 七波さん)

・ああ外は雪まみれなのに盤上のオセロはどんどん黒に染まるよ(大阪府 なべとびすこさん)

・どうせならキャトルミューティレイションの話をしよう雪が止むまで(二玉号さん)

・雪映す天気予報のモニターに不似合いなほど笑顔の予報士(兵庫県 野添まゆ子さん)

・会いたいと思う気持ちが深々と積もりゆきます 明日も、雪です(北海道 はらださん)

・子どもらの頬を照らしてどんど焼き高く燃え上がる雪の校庭(文乃さん)

・雪を見る瞳の色は薄くなり大丈夫だよと何度でも言う(穂崎円さん)

・女体盛りは刺身がぬるくなってしまうのでできるなら雪女がよし(北海道 松木 秀さん)

・雪の被害をを宮根誠司が報じる中「短歌往来」三冊届く(北海道 松木 秀さん)

・不正にて潰れし鄙(ひな)のパチンコ屋真冬の雪にさらされており(北海道 松木 秀さん)

・吹雪では雪は下から上へ降る北海道の雪では基本(北海道 松木 秀さん)

・行き場の無い想いに少し舞い上がりそして鎮まるスノードーム(東京都 深影コトハさん)

・天使にも泣きたい夜があるだらう みぞれをぢつと受け止めてゐる(東京都 深影コトハさん)

・啓蟄に降り積もる雪暁を覚えぬ虫の春待ちぼうけ(島根県 宮嶋いつくさん)

・発熱のアイスクリームさくさくと進めば雪に残る足跡(東京都 実山咲千花さん)

・散る春が来ても融けないものがある五六豪雪(ごうろくごうせつ)ひとり抱えて(福岡県 麦野結香さん)

・わけなんて知らないほうがいいこともある心臓を流れ降る雪(大阪府 虫武一俊さん)

・雨と雪を行きつ戻りつ夜は過ぎ始発電車のライトが点る(奈良県 村田馨さん)

・豪雪の報道を聞く子どもらは雪が見たいと無邪気にせがむ(奈良県 村田馨さん)

・風花が奈良の都に舞い降りて鹿はねぐらに帰りつきたり(奈良県 村田馨さん)

・奈良は晴れされど近江は雪らしきやおら取りだすスノーブーツを(奈良県 村田馨さん)

・融けのこる雪にまみれる園児らのたくましさかな春まだ遠し(奈良県 村田馨さん)

・雪像の動物園は遠くからきた順番に融けてゆきます(大阪府 森下裕隆さん)

・浴室に子どもらの声弾け飛ぶしんしんと降る雪の夜かな(茨城県 山崎紀世さん)

・おさとうが降りそそぐ街あまいあまいやさしいだけの世界になるな(東京都 山田水玉さん)

・街灯に映る雪 雪 暖かい部屋の中からしん しんと言う(東京都 山西木々さん)

・いくつかの断絶を経てたどり着くここもやっぱり雪の降る町(岩手県盛岡市 山本左足さん)

・トンネルを抜けてもやっぱり雪国で… 俺にも泣きたいときくらいある(岩手県盛岡市 山本左足さん)


<出演者の短歌>
◎廣野翔一さん詠歌
・雪がまた雪を濡らしてゆく道を行くんだ傘を前に傾げて


◎天野うずめ詠歌
・夕暮れの色は次第になくなりて南天の木に雪は降り積む


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<反省会>
改めまして、歌会たかまがはら1月号の配信をご視聴いただいた皆様、短歌をご投稿いただいた皆様、ありがとうございました。
また、今回が2015年最初の配信となりました。
今年もたくさんのゲストの方とたくさんの短歌をご紹介していきたいと思っております。
今年一年もよろしくお願いいたします。
さて、今回は録画が配信中のエラーでところどころ途切れてしまいました。
録画を楽しみにしていただいた皆様、大変申し訳ございませんでした。
試行錯誤して安定した配信を目指したいと思います。
これからもよろしくお願いいたします。
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次回の歌会たかまがはらですが、現在調整中です。

決まり次第、こちらのHP&Twitterで告知いたします。

「歌会たかまがはら」ブログ:http://blog.goo.ne.jp/utakai_takamagahara
「歌会たかまがはら」twitterアカウント:@utamagahara

今後とも、歌会たかまがはらをよろしくお願いします。
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1 コメント

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旅の果てに因んで短歌一首 (春日)
2015-10-04 23:59:58
旅回り目指さむ果てのカトマンズ薬に溺れ病みて能はず

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