観測にまつわる問題

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憲法改正と地方と国の関係(合区解消、国会議員と知事の兼職)

2018-02-24 01:24:21 | 政策関連メモ
合区解消案は利己的すぎる(日経新聞 2018/2/20)

>まるで自民党の自民党による自民党のための憲法改正である。同党憲法改正推進本部がまとめた選挙制度に関する改憲案はあまりに自民党に有利な制度設計であり、到底受け入れがたい。

去年の9月27日に最高裁が参院選での3.08倍の一票の格差を合憲と判断しましたが、これは2010年と2013年の違憲状態判決を受けた合区を含めた「10増10減」を実施で、格差が13年の4.77倍から3.08倍に縮小したことを受けてのようです。読売社説でも同様の社説がありましたが、筆者は合区解消に賛成です。ハッキリ言って、3倍も格差があって法の下の平等があるとの判断も疑問でしょう。島根・鳥取はまだ山陰という枠組みで選挙区をつくる合理性がまだしもあるかもしれませんが、高知・徳島は可愛そうでしょう。聞いたことありませんが、南四国という枠組みでもつくるんでしょうか?つくったとして何をアピールするんでしょう?山深い四国は4県バラバラとも言われます。中山間地域も重要ですが、そこ(高知-徳島間には広い中山間地域が広がっています)に過度の注目が集まるのも変な話です。あまり広い選挙区だと選挙資金も馬鹿になりません。狭い選挙区の都会はお金もかからずクリーンな選挙ができるかもしれませんが、高知・徳島選挙区なんてほとんどイジメではないかとさえ思います。以前平沢勝栄議員も仰っていましたが、東京の区の会合には国会議員が複数現れるそうです。都じゃなくて区です。あんなに狭いのに、国会議員そんなに必要ですかね?大体が選出議員は高知と徳島の会合のどちらに出ればいいのですか?バッティングしないよう毎回調整してもらったとしても、2倍活動しなければならなくなります。都道府県は地方自治の重要な単位ですし、それに沿って県連もありますし、テレビや新聞も県ごとであり、大都会と違ってその存在も決して小さくはありません。合区解消反対はあまりに地方の実態を知らない暴論だとも言えると思います。道州制でも実現したら違うのかもしれませんが、現状ではその実現可能性は見えてきません。地方から都会に人が流れる傾向は止まっていませんから、このままだとドンドン合区が生まれる流れになります。裁判所が3倍もダメと言い出したらどうするのでしょうか?人間の実数が絡む2倍ならまだ動かないかもしれませんが、3倍なんて大して根拠も無さそうな基準の安定性を信用する訳にはいきません。法の下の平等に厳密に拘って参院の定数を増やすという議論もおかしな話だと思いますし、そもそも人の移動がある度に一々選挙区を作り直すのも絶対揉めますし労多くして功少なしでしょう。時間は有限ですからそういう大して意味の無さそうな仕事をしないことも重要だと思います。法の下の平等という理念に基づく一票の格差論を必ずしも否定はしませんが、国会議員はあくまで選挙区から選ばれた国の代表であって、地方代表そのものではありませんから(地方代表は知事でしょう)、あまり杓子定規に考えるのは疑問です。事実参議院では大きな一票の格差は許容されてきました。首相は事実上衆議院議員から選ばれています。強すぎる参議院の問題があると自分も思いますが、例えば内閣総理大臣は国会議員の中から選ぶとしている67条の規定を衆議院議員の中から選ぶと現状追認するように改正することが考えられます。州単位で選出されるアメリカ議会の一票の格差は物凄くありますが、議員の皆さんは国のために働いているのだろうと思いますし、特別問題になっている訳でもないようです。国のトップである大統領は選挙人制度で一票の格差が考えられているようですし、日本も人数が多く半数改選もなく結果一票の格差が少ない衆議院議員から首相を選べばある程度法の下の平等は実現しますし、そうしてきました。国会とは結局立法府なのであって、法案審議で衆議院と同等の権限があること自体はそれほど問題ではないんだろうと思います(ねじれ問題は重要ですが、それは合区で法の下の平等が完全実現したとしても、別種の問題ですから何ら解決に資さないことは明らかです)。それよりは政治活動の実態を重視すべきでしょう。ねじれに関する参議院改革に関しては何処か具体案を出すところがあれば検討したいですが、自民党次第なところは確かにあります。

地方と国会議員に関して、ここで注目したいのは改憲のキャスティングボートを握る維新の橋下氏の意見です。具体的には国会議員と知事の兼職です。経営感覚がある知事が国会議員の仕事を通じて国政に参加するのは決して無駄にはならないのではないかと思います。例えば意欲的な知事が地方独自の法改正をすることが考えられます。構造改革特区ですが、今は活用されていません。この原因はいろいろあると思いますが、国の法律に通じてない知事と地方経営の実態に通じてない政府・国会議員の間の齟齬があると考えられます。知事が国会議員を兼職して勉強すれば、ほしい法律の改正を提案できるかもしれません。それは全国一律の法律であっても構いませんし、構造改革特区のような制度の利用を通じてでも構いません。兼職に反対意見はあると思います。それに対しては知事と大臣・副大臣・政務官・首相の兼職を禁じて理解を得ていけばいいと思います。国と地方の行政府両方に関与するというのが有り得ない話だからです。自分のところの県に国の施設を誘致する大臣など現れた日には目も当てられませんしね。経験を積んだ知事が手応えを感じたら国政一本に絞って首相を目指せば良い訳です。アメリカ大統領は知事出身が多いですが、経済No.1の秘訣は経営感覚のあるトップの存在にあるのかもしれません。成長著しい中国もトップは省トップを経験することが多いですね。兼職を実現するには憲法改正が必要になります。

地方偏重は問題です。ですが、あまり一票の平等に固執し過ぎると、返って平等の理念からは遠ざかるとも考えられます。格差の是正に資する地方交付税を無くすとか、大都会は独立しようとか、そういう議論に繋がりかねないからです。実際カタルーニャ独立問題は揉めていますし、これは考えられない話ではありません。地方は経済的に足を引っ張ると思う人もいらっしゃるかもしれませんが、地方もあっての国です。地方が活性化しないと国が活性化しないのも事実です。要はバランスではないでしょうか。合区は都会偏重の始まりと見ることも可能ではないかと思います。

我田引鉄の問題の懸念は確かに考えられます。ですが、それの解消に合区がそれほど資するとは思えません。政府の透明性だとか記録の保存などのルールの整備で常軌を逸した我田引鉄を防止していくのが本質的かつ妥当ではないでしょうか?ここではその具体案は考えませんが、機会があればそうしたことも考えてみたいですね。それは兎も角、政治家が選挙区のために尽力すること自体は否定されるべきではないんだろうと思います。機密が重要な特定の仕事を除き、知られてはならない活動をすることが問題で、それが防止されていたら構わないと考えるべきでしょう。しても構わないこと、寧ろするべきことが何となく悪いことと考えられるのも問題です。

※筆者のfacebook投稿の再録。一部修正。


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