観測にまつわる問題

今日は休みなのでせっせと書きます。

経済財政白書から考える(中小企業とイノベーション)

2017-07-23 20:56:39 | 政策関連メモ
経済財政白書の要旨(日経新聞 2017/7/21 13:56)を見ました。

>労働需給の引き締まりが賃金上昇に与える影響は弱くなっている。労使のリスク回避的な姿勢が賃金引き上げを抑制している可能性がある。

先に検討しましたが、多分全体で均した数値を見過ぎでしょうね。買い手市場の人気業種では当然賃金があがらず、売り手市場の業種(大体ブルーカラーじゃないかと思います)では人が集まらずって感じじゃないかと思います。素人考えで申し訳ありませんが。気になる点もいろいろあるのですが、もうあまり時間も無いので、その辺は端折って、幾つか特に気になるところだけ言及します。

>サービス業でICTが十分に活用されていない。サービス業は経済に占めるウエートが高まっており、中小企業の比率も高いため、効率的な生産体制が整備されないことが、経済全体の生産性向上の重し。

>先端的な技術力を持っている高生産性企業の生産性は11年度以降伸び悩んでいるほか、高生産性企業と低生産性企業との間の格差は拡大している。イノベーションのけん引力が低下し、先端的な技術を持つ企業から遅れている企業へのイノベーションの普及も滞っている可能性がある。

~中小企業の現状~
(経済産業省)

気になって中小企業について調べたのですが、日本では中小企業の雇用の割合が英米に比べて2割ぐらい高く、廃業率は低いが開業率がそれ以上に低く(英米は廃業率は高いが開業率が上回る)、起業を希望する人間が少なく、中小企業で生産性が低く(全体の生産性も低めですが、生産性が低い中小の割合が高いことも影響していると考えられます)、5000人以上の大企業の研究開発率はアメリカを上回りますが、それ以下の企業ではアメリカより研究開発率が圧倒的に低くなり、中小企業は教育に対する投資も少ないようです(大企業志向は3割と言いますが、単に大企業が狭き門で諦めている人が多いだけの話で、求人率を見れば圧倒的に大企業志向だと思います)。

ここから気になる点を述べますと・・・

①中小企業庁による補助が生産性の低い中小企業を延命させて生産性を引き下げているのではないか(ただしアメリカにも中小企業庁はある)。英米並みに中小企業が減ると生産性はぐっとあがる可能性があります(元々大企業の生産性・研究開発率・人材に対する投資は高い)。前に書きましたが、下請けで給与を下げて儲けを出す戦略があるとすれば、下請法の活用などで搾取を邪魔すれば、大企業が諦めて下請けを吸収し、所得の向上・生産性の向上が起こる可能性があります。

②アメリカの中小企業の活力が謎。検索しますと、こんな記事(第13回 米国の中小企業と中小企業支援施策(その1)(中小機構))が出てきました。社会風土の改革もあってもいいと思いますが、一点だけ述べますと、倒産制度ですね(> 経営状況が苦しくなり倒産に陥った場合も、法律(連邦破産法・各州法など)によって債務の返済責任が相当程度免除されるなど、過去の失敗に早々と見切りをつけ、次なる事業に再挑戦しやすいシステムになっている。 倒産したら半永久的に債務から逃れられないということがないので、再度のフレッシュスタートをきることができる。)。日本は借りたもん返せやの世界でしょう?それはまぁ正論でもあると思いますが、それをやると一度失敗するとほぼ死んだも同然というか立ち直れないでしょう。自殺もすることになります。そうではなく、倒産するような会社に貸すのは貸した方に見る眼がなかったということで債務を免除し、経験を活かして次のチャレンジを促すことが大切なのかなと思います。貸すほうも破産されたらやべえなということで見る眼が磨かれたり、危ない奴に貸さなかったりするんでしょう(アメリカは金融も強いですよね)。闇金なんかが半ば認められる社会(○シ○マ○んとか)で、返せなかったら、風俗に逝け、臓器を売れ、死んで保険で返せ、マグロ漁船行きやな~んて社会だと誰もチャンレジしなくなります。新しいことに失敗はつきものですからね。これは誰がやっても同じことですが、誰もやらなければイノベーションは生まれません。イノベーションを生んだ人は先行者利益で稼ぐことがインセンティブになります。競争市場で削りあうことも大切ですが、誰もいないところで市場を開拓すれば、誰かが後追い参入する前に、圧倒的に先行することができますよね。狭い日本、アメリカのようにはいかないかもしれませんが、そのフロンティアスピリットは見習うところがあってもいいと思います。加えて何処かの企業が開発したものを資本のあるモノマネ企業が同じものを開発することは恥ずべき事で防いでいく意識が必要だと思います(例えば、東洋経済「日本の知財戦略は、どこがズレているのか」)。韓国の方が経済スパイ法を持っていますから、意識が高いかもしれませんよね。それで経済スパイ法がない日本にシメシメでパクりに来ていると(笑)。できると分かっている技術を開発するのは簡単です。自分で考えず人がつくったマニュアルを見てつくるのも簡単ですよね。それを許せば新規開発を誰もやらなくなります。リスクしかありませんから。そろそろ明治維新や高度成長といったキャッチアップ神話が曲がり角に来たということではないでしょうか?日本もいい加減大きくなり過ぎました。

③5000人以上の大企業では日本の研究開発率が上回るのは意外ですが、CEOの報酬が高過ぎる可能性はありますよね。滅茶苦茶有能だと思いますが、その高い報酬が研究開発に若干の影響を与えているかもしれません(テキトー)。日本の大企業がガラパゴス研究開発をしているだけという可能性もあります(テキトー)。自動車とかワールドワイドに商売している企業は互角以上にやれているように見えますが、それも今後はどうなるか分かりませんね。

最後に経済財政白書からもう一点だけ気になる点を述べますと・・・

>新規技術を導入すると、企業は生産性上昇率を高めることができる。プラスの効果が大きい順番では、AI、IoT・ビッグデータ、3Dプリンター、ロボット、クラウド。効果が大きい技術ほど、我が国企業で導入が進んでいない。

アメリカが滅茶苦茶力を入れている産業でガチで勝負するのも馬鹿らしいところがありますが(ただしロボット産業は日本の庭で市場の大きい中国を警戒すべき)、AI・IoT・ビッグデータなんかは事務作業を駆逐してしまう可能性が予測されていますので(筆者もRPA革命で簡単に2本記事を書きました)、導入が進んでないという経済白書の言い分が当たっているとしたら、えらいことですね。日本の何に投資しているのかと言いたくなります。如何に人を残すかだけ考えているとしたらダメですよ。生産性向上の意識が欠けているから生産性が相対的に低いのかもしれませんよね。機械ができることは機械にやらせて、人間は人ができることをするとか、機械を操ることをするとか、そういうことをやっていかないと、遅かれ早かれ淘汰されると思いますね。
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