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世界はなぜ過激化するのか?(2)

2018-01-06 16:11:30 | レビュー/感想
一度言及して、そのままになっていた「世界はなぜ過激化するのか?」(藤原書店 ファラッド・コスロカヴァール著)の考察を進めます。この本は特別インタビュー+7章+終章に9分割できると思いますが、本日は第二章を検討します。スターウォーズ方式と言ったら粉飾しすぎかもしれませんが、筆者の気まぐれで気になった章から適当に考察します。何か構想があってそうしている訳ではありません。

最初に取り扱うのは第2章「歴史をたどる」です。

>暴力を受けていると知覚し、イデオロギー軸に基づいてそれを解釈し、こちらも暴力的行動で対抗しようと考える。その結果が過激化である。(70p~71p)

トランプ政権のアメリカ大使館のエルサレム移転が危険と言われたのは、この辺なんだと思います。トランプ政権のやったこと自体は、アメリカ大使館の移転を延期しなかっただけですが、これを過激派が「暴力」と受け取り、テロで対抗する怖れが懸念された訳ですね。歴史的経緯にここで踏み込む気はありませんが、アメリカの大使館が何処にあってもテロを正当化しないと思うものの、既存の体制に挑戦的な決断だったことは間違いないところだろうと思います。

沖縄の反基地運動を見ていても思うのですが、そういう運動家の主張には「何故これが被害と言えるのだ?」と思われる主張が多々あります。でもそういう言説を「金持ち喧嘩せず」で放置していると、「被害」を理由に暴力を正当化してしまうから野放しにできないんだろうと思います。被害じゃない「被害」を小さい内に摘んで暴力を正当化させないことが肝要でしょう。

>欧州の三大極左テロ集団は、活動期間が20-30年で、メンバー数が比較的限られていたこと、メンバーはその国内だけで集められていたことなどが特徴だった。反帝国主義、反資本主義など国際主義に感化はされてはいても、行動は国内にとどまった。過激な行動への意思を第二、三世代以上に長く伝えることもできなかった。(78p~79p)

>だがイスラム武装勢力はそうではなかった。こちらは八〇年代からずっと続いて、せいぜい変化があったというぐらいで疲弊の兆候などまったく見せていない。(79p)

日本の過激派も欧州の過激派に似ているように思います。シンパは根強くいるにしろ、疲弊の兆候があって明らかに過激な活動は近年低調です。イスラムテロが特に警戒されるのは、暴力性もさることながら、この持続力なんだろうと思います。そのイスラムテロは実際にどういう国で発生しているのでしょうか?ヨーロッパ テロ発生リスト【2017年12月12日更新】(ヨーロッパ旅行をお得に計画!)を見ると、フランス・ドイツ・イギリス・スペイン・ベルギー・トルコ・ロシアです。ロシアでテロが多いのはロシアがイスラム地域を支配する帝国であることが関係しているのでしょう。トルコはイスラム教国で完全に中東と地続きでありながら、民族が異なり建国時に世俗主義を打ち出した特殊な国です。ベルギーはヨーロッパの華やかな小国・ベルギーがなぜ「テロの温床」になったのか(現代ビジネス 2016.06.19 松尾 秀哉)を参照すると、やはりフランス語地域とオランダ語地域に二分されていることは大きな要因に見えますが、「北アフリカ系移民のチャンピオン」とされる区長が原因と主張する人もいます。でもその区長は「わたしが区長であった頃はこんな事件は起きなかった」と主張します。スペインのテロは良く分かりませんが、元々イスラム教徒が支配していた時代があったこと、ジブラルタル海峡を挟んでアフリカが目と鼻の先にあることが関係しているでしょうか?逆にテロが少ない地域を見ると、どうも経済的にそれほどでもない国・そもそもイスラム教徒が入ってなさそうな国が目立ちます。ロンドンやパリでのテロを考えても、イスラム教徒すなわちテロリストとも思いませんし、差別は否定しますが、イスラム教徒とテロを結びつける発想を完全には否定しにくいような印象です。

>アラブ革命の当初は、むしろ社会運動としてのジハード主義の危機だった。その戦闘ビジョンと絶え間ない暴力によっても、アラブの政権を一つも転覆させられないでいたのとは逆に、平和的革命運動の参加者は素手でアラブ世界で最も専制的だった政権を二つも打倒したのである。ジハード主義グループは使命の面からもイデオロギーの面からも、危機に陥り、守勢に立たされた。(81p)

テロリストの勢力はイスラム国家においても実際のところそれほど強くはないようです。専制的な国にとってより怖いのは平和的革命運動の方かもしれません。どうしたらいい、こうしたらいい、そういう話ではなく、イスラム教国においても全体的傾向としてはテロは否定され易いということなんでしょう。日本の隣の国ではこの現代においても微妙にテロを推奨しているというか、キチンと否定しないところがあるようですが(神社仏閣に油を撒いたり、爆発物を仕掛けたり、リッパートしたりそんな民主主義国があるような気がしますが、端から見ていて現在の問題を十分反省しているようには見えません。日本だから良いとか米国だから良いとか何処か甘えていませんか?)、そういうことでは先が思いやられます。ISという現象は未熟なシーア派政権が統治する国でイラクという国の残党が関与したことが成功の理由でしょうし、アフガニスタンは内戦が長く続いた経緯があります。イエメンもソマリアも長く内戦が続いています。

>ジハード戦士を最も引き寄せ、イスラム過激派が教義の正当化という恩恵に浴している場所は、間違いなくシリアである。

アラウイー派はイスラムの中でも特に異端とされ少数派ですから、アラウィー派政権であるところのアサド政権はジハードの格好のターゲットであるようです。
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