観測にまつわる問題

火曜は経済を纏めて放出したいと思っています。週のテーマはその内に。

サービス業の人手不足の解消

2017-07-23 09:39:37 | 政策関連メモ
グーグル検索「サービス業 人手不足」で一番目に出てきたのが以下の記事です。

人手不足で疲弊、もう「外食・小売り」は限界だ バイト時給は過去最高、人件費が業績を圧迫(東洋経済オンライン 2017年01月16日)

>生産年齢人口が減少の一途をたどる中、景気もリーマンショック後の最悪期を脱し、労働市場は逼迫。特に労働力をパートやアルバイトに頼る外食・小売業界の人手不足は深刻だ。

卸売り・小売業の就業者数は1110万人、サービス業(他に分類されないもの)の就業者数は825万人なのだそうです(平成17年度 総務省統計局)。筆者も小売業の仕事もやっていますが、確かに募集をかけても人が来ないようです。この辺の業界の規模は大きいですから、人手不足が順当に解消されれば(サービス残業などで対応しなければ)、給与総額は増え需要が拡大し(この辺で働く方々は消費性向の高い低所得者層)、景気の好循環が生まれるということになるのではないかと思います。考えられる対応策は以下の通り。

①働き方改革を進め、サービス残業を禁止する。残業代がシッカリ払われれば、給与総額は増えることになります(残業残業で消費する気力が生まれるのかという疑問はないではありません。かけもちしている人は特に)。企業が残業自体のカットに動けば、給与総額は増えませんし、比較的生産性の低い仕事のカットで生産性を上げるという考え方は、創造性を奪うのではないかという疑問もあります。必要最低限の仕事をする姿勢もアリだとは思いますが、余分な仕事から新しい仕事が生まれる可能性は否定しない方がいいでしょう。何でもやってみないとこれは要る要らないが判断できないところはあるんですよね。

募集をかけても人が来ないのは単に少子化で人がいないからです。難しいことを考える必要はありません。出生率向上は大切と思いますが、即効性はありません。根本的な解決は外国人労働者しかありえません。外国人労働者が嫌→少子化は深刻でないという思い込みの構図があると思います。治安の悪化はあるかもしれませんし、日本が日本でなくなるという不安もあるでしょう。しかし、大きな規模で人手不足が起こっているのに、それを解消せずに需要を喚起することはできないと思います。経済界は外国人労働者の受け入れを呼びかけていますが(経団連 2017年4月10日 記者会見における榊原会長発言要旨)、単に経済にとってそれがいいからであると考えるべきでしょう。外国人労働者に対する拒否感は理解しますが、経済的にも良くないなどと全否定してしまうのはフェアではありません。欧米と日本では状況が違います。金はあっても人がいないのが日本です。ただ、外国人労働者は同一労働同一賃金を前提にすると管理団体に費用を払わないといけないため、よりコストがかかるようです(上記東洋経済記事参照)。日本語ができないため生産性が落ちるという問題もあるでしょうし、何も受け入れればバラ色と言っている訳ではありません。特に東京などでは外国人労働者の需要があるようですから、企業はそれだけ人手不足を深刻に捉えていると素直に考えるべきでしょう。外国人が日本に来てナマポを掻っ攫うという懸念があるようです。外国人は生活保護禁止で雇用保険で対応(厚生労働省)という原則を守り、この人手不足局面で職を見つけられない外国人の方々には帰っていただくしかありません。何でもアメリカとは言いませんが、アメリカのサービス業は結構移民がやっているようです(米国における外国人材活用の経済的効果について みずほ銀行)。アメリカに大量にいる外国人労働者が皆治安を乱す犯罪者とか暴論ですしね(不法移民が多いので犯罪と言えば犯罪です。望んでやっている訳でもないでしょう)。よく言われる治安悪化ですが、あるとは思いますが、極端ですよね(警察庁 来日外国人犯罪の検挙状況)。来日外国人の総検挙数はピークの10年前と比べれば極端に減りましたが、この動きに来日外国人数は連動していません(良く分かりませんが、日本政府の犯罪歴のある人を入れないなど管理ノウハウがあがったのでしょうか?)。米国の移民問題は陸続きで勝手にドンドン来る問題であって、日本とは質的に異なるところがあります。あえて外国人労働者としたのは、移民と言えば生涯養うイメージもありますが(社会保障があるからコストが高い論)、日本においては結構期限付きで帰ってしまうため、誤解が発生しているのではないかと思うからです。移民(ウィキペディア)の定義はハッキリしないようですが、「最も引用されている定義は国際連合の国連統計委員会への国連事務総長報告書(1997年)に記載されているもので、「通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)」を言う」ようです。実態にあった定義なのか疑問ですよね。移民には人口を増やすため外国人に定着してもらうイメージがあります。帰国前提の外国人労働者が移民と言えるのか、その辺をごちゃ混ぜにすることで、何かとてつもない誤解が発生しているような気もします。安倍首相は移民政策は毛頭考えていないと言った(安倍晋三首相「移民政策は毛頭考えていない」産経ニュース 2016.10.18 12:45)ようですが、この辺の定義の問題で国民と齟齬が生じている可能性があると思います。外国人労働者の受け入れはあるいは仕送りで国外にお金を流出させてしまう部分もあると思いますが、大きな規模で人手不足を解消し、日本の需要を大きく膨らませる可能性が高い政策ではないかと思います(企業は馬鹿にならないお金を払って募集をかけても人が来ていない訳ですから、お金がないという心配はしなくて構いません。大きな規模で死んでいるお金を活かす政策だと見ていいでしょう)。

③日本人労働者を増やす作戦もあります。現場を知っていたら扶養控除の関係であえて少ししか働いてない方々(特に女性)がワラワラいらっしゃることを承知していると思います。学生は勉強が本分ですから、扶養で構わないと思いますが(バイト中心は本末転倒)、働けなくなった高齢者はともかく、大人の扶養控除は廃止してしまうのが一案でしょう。これは国家財政を助けるとともに、人手不足を解消する有効な一打になりえます。いるんですよ、働くと余計にお金がもらえなくなるから働かないという人が。結構。それ自体合理的ですからね。仕事不足の局面ならワークシェアリングの意味でそれもいいでしょうが、この人手不足局面で何時までも同じ制度にすべきなのかなって思いますよね。別に扶養控除が全て悪だと言っているんじゃないですよ?いいところもあるでしょうが、人がいないといいつつ、働く意欲を奪うシステムを温存するのが疑問だと言っています。ベストは廃止だと思いますが、現行でも厚生年金に加入できるように働いた方が年金額では得であるようです(世界一優しい年金の本 東洋経済 井戸美枝 140p~143p)。扶養控除があるから働く時間を抑えるという話は聞きますが、この辺の話を意識していない可能性はあるかもしれません。厚生年金ない小規模事業者が多いと思いますけどね。

ともかく、技術革新は当然必要ですが、マスの消費が伸びなければ、経済の好循環は有り得ません。働き手の需要があっても供給が追いつかないというボトルネック(経済政策では需要と供給の不一致)の解消を行うことで、経済成長の大きな助けになるでしょう。

最後に東洋経済記事から個別に問題を検討してみます。

>日本総合研究所の山田久チーフエコノミストは、「2013年に改正労働契約法が施行され、契約社員は有期労働契約の更新が通算5年を超えると期間の定めのない無期労働契約に転換できることになった。今後、企業側はその前に契約社員を入れ替えざるをえないといった状況も出てくるだろう」と指摘する。

代替可能である仕事を終身雇用的にしていくことは諦めるべきでしょう。スキルがそれほど要らない職は安い給料でしょうがありません。需要を考え無理にスキルがない人に給料を配る社会主義的システムは、スキルを身につけようという動機を失わせます。中長期的に持続可能じゃないと思いますね。

>牛丼チェーンの松屋は、ボタン式券売機からタッチパネル式券売機への入れ替えを進めている。2017年3月末には、全国約1000店で入れ替えを完了させる予定だ。

>従来型の券売機ではボタンの数が限られており、客が券を購入した後、従業員が小鉢の種類などを聞く必要があった。一方、タッチパネル式券売機では、「新メニュー導入時の設定作業時間を15分削減」、「小鉢の選択伺い時間を客1人当たり15秒削減」などの効果が見込める。またメニュー表記の多言語化により、外国人客への対応時間も減らせる。

セルフレジもそうですし、AIもありますから、今後機械でできることは機械でやっていくようになるでしょう。仕事が無くなるという懸念があるかもしれませんが、人手が不足しているようですから、仕事を選ばなければ問題は無さそうです。キツい仕事で稼ぐもよし、楽な仕事で最低限の生活で満足するもよし、スキルを身につけて稼いでいくもよしです。
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