観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「(理系人材と)GX」「北方領土」を考察・纏め予定。放置気味ですが、忘れた訳ではありません。

アメ車と非関税障壁

2017-03-09 00:11:14 | 日記
米NTC委員長「日本に非関税障壁」2国間交渉に意欲(日経新聞 2017/3/7 0:29)

>ナバロ氏は公での初の講演で「貿易赤字の縮小が米経済を成長させる」とする持論を語った。「トランプ政権は為替操作など各国の不公正貿易を是正して、米国の雇用や輸出を増やす」と基本方針を述べた。

>そのうえで米国が巨額の貿易赤字を抱える相手国として中国や日本、ドイツ、メキシコなどを名指しした。日本は自動車貿易の赤字の大きさを指摘して「非関税障壁がある」と強調。2国間協議で是正すれば「自動車の対日輸出などが増えて、米国の雇用や収入が増加する」と述べた。非関税障壁の具体的な内容には触れなかった。

ガチガチの保護貿易主義じゃないっすか。経済学の教科書に反していると思いますが、アメリカにはこういう人が一定数いるように思います。トランプが何も特異なのではないでしょう。こんな意見(BLOGS 塚崎公義氏の記事)もあるようです。外からは不可解に見えるトランプ大統領ですが、アメリカの大きい輸入を減らして、国内生産を活性化させ、ラストベルトを復興させるという戦略を描いているのでしょう。

さて、日本です。トランプ政権は、どうしても、アメ車を買わせたいらしい。非関税障壁があるかないかですが、まぁゼロではないと思います。アメ車って言葉自体がアメ公という差別用語に通じるところがあって、ちょっと馬鹿にした感じはあるでしょう。ただ、それも燃費の大きい車を揶揄しているのであって、アメリカを特に馬鹿にしているという訳ではないと思います。日本にもアメリカ企業の製品は溢れていますから。ただ、アメリカ企業の製品もアメリカでつくってなければ、アメリカから輸入のしようもありません(デルが日本国内で販売している製品は、中国東南部の福建省・厦門(アモイ)にあるCCC (China Customer Center)で生産されています)。一般に自国の製品を大事にするのは当たり前ですし、外国の市場を狙うなら、その外国市場の特性を良くつかむ必要があると思います。不公平な障壁と言われても、具体的に何を指すのか、指摘してくれないと、回答のしようもないと思います。ここまでが教科書的な回答だと思いますが、では何故そこまで執拗なのかを考えてみましょう。ちょっとおかしいからでしょうか?筆者は多分そうではないのだと思います。

アメリカ人の自己認識をまず考えてみます。アメリカ国内では日本車が溢れています。アメリカ人も日本車の良さは分かっているのだと思いますが、自分達のことを良いものは良いと認める公正な人間だと思うのではないでしょうか。一方、日本では日本車だけだから、関税がない以上、非関税障壁があるということになるのでしょう。ですが、日本の消費者は、愛国心もあるのでしょうが、燃費のいい車を求めているでしょう。政府がそういう車をつくるよう誘導したかもしれませんが、作戦勝ちだと思います(単に資源小国のトラウマが結果的に功を奏したという可能性も有ります)。ただ、日本人には舶来信仰もあるでしょう。欧州車は高級車として認知されていると思います。アメ車もブランド戦略を採れば、売れる可能性はあると思います。アメリカ発でもスターバックスは高級と認識されていますから。アメリカ人にとってアメリカはブランドでしょう。でも、外人(日本人)にとっては、何もしなければ、ブランドに成り得ません。どちらかと言えば、アメリカはブランドの国と言うより、数を狙いに行くマスの国・コモディティの国ではないですか?だからブランド化が疎かになっているのかもしれません。マスで勝ちを狙うなら、コストパフォーマンスで日本車に勝ちにいく必要があると思います。あるいは、量産自動車のルーツがフォードにあることから、特別なプライドがアメリカ自動車業界にあるのかもしれません。しかし、工業を捨てて、金融やIT・バイオなどに走ったのは、アメリカ自身だったと思います。ただ、自動運転だとか電気自動車だとか次世代の自動車の競争に日本が勝てるとも限りません。過ぎたことを言うよりは、未来志向で勝つ戦略を練るべきだと思います。

アメリカが輸出を増やしたいなら、強い分野で売り込みをかけるべきです。日本も何でも自国で造ろうとせず、アメリカのいいものは、買って済ますところがあっていいのかもしれませんね。