風の谷通信No.10-095
きょうは薩摩川内の原発再稼動を記録しておく予定でしたが、長崎の原爆忌の中に記録すべき演説をみつけたのでそちらを先に記録します。
長崎原爆忌の中で被爆者である谷口スミテルさんの演説がありました。難しい名前なので改めて検索すると「稜曄」と書きます。
この演説における被曝の瞬間から後日にかけての体験が「はだしのゲン」の描写とそっくりなんです。「はだしのゲン」は子供に読ませたくないとの批判が起きて図書館の展示から隠された経緯がありましたが、なるほど読んでいて気分が悪くなるような残酷な描写が数多くあります。かねがね読んでみようと思いながら読まずにいたものを今回の原爆忌を機会に踏み切ってみました。過去に何度か目にした体験談とも通じる内容です。被曝という災厄に苦しむ人や、被爆者と非被爆者の間の利害衝突など、人間のエゴがむき出しになります。作者の実体験です。
中に被爆者が近郊の非被爆者たちから「原爆のピカが移る(伝染するという意味)」といって追い払われ、あるいはいじめられるシーンがあります。同じことが今日のフクシマで起きています。そんなデマみたいなことを、とバカバカしく思いますが、70年後の現在でも現実に起きています。怖ろしい無知誤解です。フクシマの被災に際して掲げられた「絆」という思想がこのクニでは単なるスローガンに過ぎないことが良く判ります。
そういった内容に加えてアベさんの姿勢が悲しいので、遂に「はだしのゲン」を読んでみることにしました。クニが大切だ・・・と言います。国民の皆さんの生命と財産を守るために必要な法律だの制度だのといいますが、結局のところクニは国民を守ってはくれません。軍隊は国民を守ってはくれません。クニは自分の体制を守るだけ、軍隊は軍隊を守るだけ。被爆者団体からの「核兵器廃絶」への申し入れもアベさんには軽くあしらわれたも模様です。満州開拓義勇兵にしろ昨日放映された「護郷隊」(沖縄の少年兵たち)にしろ、特攻隊にしろ、結局は国民を守らなかった。原爆被害も一緒です。クニは被爆者を守らなかった。フクシマの被爆者に対してさえ、補償を切り捨てることに腐心している。
戦争という歴史を振り返ってみると、もっと様々な不合理や強権が見えてきます。まだまだ記録して置くべきことがあります。「はだしのゲン」はまだ読み始めたばかりです。どんな展開になってゆくか興味深いです。