風の谷通信No.12-014
気象情報に頼りながら晴れ間を計算し、展覧会開催期間を計算して、
笠岡市を訪ねた。一泊二日の旅。晴れ間でも寒かった。笠岡市は人口
5万人程度の小さな町で、臨海部は恐らく最近までは単なる漁村だった
だろうと思わせる。
その小さな町に、立派な美術館がある。郷土の芸術家を記念した
『竹喬美術館』。今回の展示は森谷南人子(もりたになんじんし)。
日本画・油彩画・版画など。笠岡生れで京都に学び、尾道に長く
住んだ画家。
余録ながら、笠岡グランドホテルに設けられた「ワコーミュージアム」の
展示物には驚嘆した。このワコー財団とは一体どんな人が組織なされた
ものであろうか。おそらくはこのホテルのオーナー財団でもあろうが、
ワコーファームで蔬菜類を施設栽培(いわゆる野菜工場)してこのホテル
の食材に提供しておられる様子。おそらくはこの地元でほかの分野でも
活動しておられることであろう。
一泊しての帰路、倉敷で降りて大原美術館を訪ねる。先ごろの
『松方コレクション』で観たのと似通った、フランスの絵画を沢山眺めて
楽しんだ。
それにしても、加古川から西へと向かう電車のなんと不便なことよ。
姫路・岡山間がまるで途切れた線路でしかない。新幹線で乗り継ぐと、
旅行時間よりも乗り換え時間に喰われてしまいそう。車窓から観察して
いると、新快速を走らせるのもムダなような、稲田よりも葦原とでも言うべき
休耕・放置されて荒廃した農村だ。