朝鮮問題をひも解く

- うしお君のブログ -

朝・米対決戦は、最終境界線を越えた

2017年07月07日 | 朝・米問題関連
2017年7月4日9時00分(日本時間9時30分)、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮・北朝鮮)の西部地帯より、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「화성-14형(ファソン-14型)」が試験発射され、それは大成功を収めた。

発射カウントゼロの瞬間、巨大な炎と爆音を轟かせて大空を切り裂いた「화성-14(ファソン)」は、宇宙空間で2,802㎞の高高度に到達し、933㎞の距離を飛んで予定されていた海上地点へと正確に着弾した。



「화성-14(ファソン)」は、「화성-12(5月14日試射成功)」で公開された新型大出力液体燃料エンジン(3月18日、地上燃焼試験成功)を1段目に搭載した、2段式の大陸間弾道ミサイルである。

朝鮮の報道によると、「화성-14(ファソン)」の戦闘部(弾頭部分)には、新たに開発されたカーボン性合金材料が使用され、そしてそれは、大気圏再突入時7,000度を越える超・高温、超・高圧の過酷な環境下でも、内部温度が25度〜45度に保たれるなどして、「ICBM開発の最終段階」と称されている「弾頭再突入技術」を確固たるものにしてみせた。

これまで朝鮮は、民間ロケット(銀河号、光明星号)の打ち上げ成功を持って、各段切り離し技術と衛星投下に必要な高難度のロケット推進操縦技術を証明し、連続した軍事ミサイルの発射成功を持って、核弾頭再突入技術と核弾頭起爆装置の信頼性を証明してみせた。

まとめとすれば、2012年4月の閲兵式で初めてICBM(「화성-13」)を公開した朝鮮人民軍は、2016年に入り「북극성-1,2형(プックッソン)2016年4月23日、2017年2月12日」、「화성-10형(ファソン)2016年6月22日」を成功的に試験発射し、更には各種防衛迎撃ミサイルなどを連続的に発射成功させ、そしてこんにち、ついに大陸間弾道ミサイル「화성-14(ファソン)」の発射成功を持って、一連の弾道ミサイル技術の公開を成功的に完了させるに至った。

最近の西側マスメディアは、朝鮮から連続的に発射されたミサイルを眺めては、必要以上にその「飛距離」をクローズアップしてそして低評価し、「北朝鮮のミサイルは未完成」などのフェイクニュースを垂れ流してはいたが、宇宙工学の専門家に言わせると、空気抵抗のない宇宙空間では、僅かな推進力でも飛距離は大幅に延ばせるので、ある意味、一定の基本技術さえ獲得してしまえば弾道ミサイルの「飛距離」はどうにでもなるのである。

推測とすれば、この度の「화성-14(ファソン)」の試射も、朝鮮は当然にさらなる「飛距離」を証明することも可能であったはずだが、日本列島を飛び越えるなどして生じる朝・日間の政治的摩擦を避ける目的で、敢えて「飛距離を調節」して着弾地点をギリギリの位置に選定した可能性が高いと私は見ている。

重要なポイントは、「화성-14(ファソン)」が朝鮮人民軍の「最終兵器」ではない、という点だ。

朝鮮の労働新聞は7月5日、金 正恩元帥の発言を引用しながら、「これから先も、アメリカに対する更なる『メッセージ』を発信する」と報道し、朝鮮人民軍が「화성-14(ファソン)」の発射に留まらず、この先も機会ある毎に「最新兵器の公開」を実行しては、アメリカへの軍事的圧力をかけ続けていくことを示唆した。

当面は、2017年4月15日に公開された、2機種の新型ICBMの発射試験がアメリカへの軍事的圧力の「候補」になると予想される。

この先もアメリカが、朝鮮の「メッセージ」を無視し、相変わらずの対朝鮮敵対政策を継続させるのならば、朝鮮は躊躇なく更なる超・強硬メッセージを発信し、アメリカの世界覇権政策を木っ端みじんに粉砕する実質的行動を取り続けるであろう。

この先に、朝鮮が引き続き最新兵器を公開した場合、それはアメリカの同盟国である日本と大韓民国(韓国・南朝鮮)を強烈に刺激し、彼らがアメリカの「核の傘」から離脱し、自らを核武装へと決意させる効果をもたらす。

北東アジアにおける日本と韓国の核武装は、彼らがアメリカからの「政治的離脱」を決断するという意味に繋がり、それはつまり、アメリカが北東アジアの戦略ポイントを失うという絶対にあってはならない最悪の結末を意味する。

なのでアメリカは、そろそろこの辺で朝鮮人民軍に許しを請い、軍事的緊張状態をゆるりと鎮静化させるための一大決心、つまりは「政治的大転換」を覚悟する必要性に迫られているのである。

現に、西側マスメディアからはこの数日間、アメリカに決断を迫る報道が多く見受けられた。

イギリスのBBCは7月6日、英王立国際問題研究所のジョン・ニルソン=ライト博士の寄稿文を紹介し、朝鮮のICBM成功は、朝・米対決戦の「ゲーム・チェンジャー(試合の流れを一気に変える要因)」になる、と主張した。

BBCは記事の中で、「7月4日のアメリカ独立記念日にタイミングを合わせた北朝鮮の堂々たるミサイル発射によって、(金正恩氏は)軍の近代化という国民への約束を実現し、同時に、『北朝鮮のICBM発射はあり得ない』と書いたドナルド・トランプ米大統領の自信過剰なツイートがいかに空虚なものかを暴いて見せた」

「おそらくアメリカは、国連安全保障理事会を再招集して追加制裁が検討されるのだろう。しかし、この政治プロセスは冗長で、制裁の実行力は良くて部分的、つまりは効果のない対応なのだ」

「自己流の『偽ニュース』に固執するトランプ大統領にとっては、たとえ不都合な真実が出現したとしても、無視するのが一番簡単な取り組み方だ。
しかしこれは、北朝鮮を抑制する効果は何もなく、かつ周辺諸国に対しては、もはや独自に軍事力を刷新した方がいいというメッセージになってしまう。これは将来へ向けて、問題をいっそう山積させるだけだ」と記した。

BBCの記事は、西側マスメディア自身が、これまでの「北朝鮮報道」が虚偽に基づいて造られた「フェイクニュース」であり、朝鮮半島問題解決の本質は、アメリカが朝鮮への政治的アプローチを変更することが唯一の方策であることを悟っている、注目に値する報道である。

BBCが報じた様に、朝鮮がアメリカに向けた軍事行動は、北東アジア地域に「核ドミノ現象」を引き起こし、引いては世界中の技術保有国らの核武装を誘発する結果を招き入れ、結論として、国連常任理事国らの「核特権」がはく奪される、アメリカや中国、ロシアにとっては最悪の決着を迎えることになる。

反面的にそれは、「核保有国同士の戦争は無い」という定説の通り、世界中の核技術保有国が一斉にそれを放棄するシグナルとも成り、現実的な「世界の非核化」へと一歩前進させる期待が高まる効果も生み出す。

核を振りかざし、半世紀以上も傍若無人に振舞ってきた「大国」らは、時代の変わり目の現実を直視し、今こそ「核放棄」を躊躇することなく一大決心するべきだ。

「大国らの核放棄」の次に、「朝鮮半島の非核化」があるのである。

2017年7月5日。
朝鮮の労働新聞は、「金 正恩元帥は、『화성-14(ファソン)』の機体を眺めながら、『アメリカとの長きに渡る対決がいよいよ最終境界線に突入した。我々の警告を無視しながら、我々の忍耐を試験するアメリカに対して、ついに我々の力をみせる日が来た』と力強く発言した」と報じた。

道程は、本当に長かった。
70年である。

その間、朝鮮の指導者と人民らは、どれほどの覚悟と決意を持って、我が祖国・朝鮮を、アメリカの侵略の魔の手から守るための血のにじむような努力を積み重ねたのであろうか。
いや、「努力」という言葉などでは表現できぬであろう。
数々の少なくない犠牲と、身を削る苦しみの中で、こんにちの「화성-14(ファソン)」の成功を獲得したのである。

逆説的にみて、朝鮮が軍事的に強くなればなるほど、朝鮮半島での戦争は遠のき、北東アジアに永久的平和を呼び寄せる道が拓かれる。
なので私には、「화성-14(ファソン)」の轟音と巨大な炎が、平和へと向かう祈りの灯火として心に迫り来るのである。

2017年7月4日、朝・米対決戦は最終境界線を越えた。

対決の境界線の向こう側には、平和という名の我々の希望が燦々と輝くのである。
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2 コメント

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Unknown (平平)
2017-07-07 15:47:19
実に爽快なニュ-スでした。
大空へ飛び立つ姿。
今私のスマホの待ち受けは本記事にも掲載された画像です。電話も来ていないのに一日何度も見ていますよ、ニタニタしながら。(家族には止めてと言われてますが)

もしかしてトランプ大統領はICBM完全完成まで待つ気なのでしょうか?
すでに現時点で攻撃など出来ない。制裁もあまり効果が無い。
ICBMが完成すればもはや完全に対話しか残らない。
そこで世界に向けては、アメリカが率先して対話を提案し朝鮮を押さえ込んだと演じるつもりなのかな?
朝鮮の暴発を止めたのはアメリカだ!偉いだろう!と必殺のツイートを出すんだろうな。

悔しそうだな。
はらわたが煮えくりかえってるんだろうな。
アジアの小さな国ごときにここまでコテンパンにやられるとは思わなかったんでしょう。

でも、うしお君ご指摘の通り、『被害』がこの程度で手を打てば、まだ最小限で済むのに馬鹿だなと思います。
悔しいなんて言ってられなくなる日は、すぐそこまで来ているのに…
平平さんへ (うしお君)
2017-07-07 17:08:06
政治家の新人であるトランプ氏率いるアメリカが、政治家のベテランである金氏率いる朝鮮に叶うはずもありません。

アメリカは打つ手も無いままに、中国へと責任を転嫁し、現実から目を背けています。

勝負の行方は大詰めです。

心して、見守りたいと思います。

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