朝鮮問題をひも解く

- うしお君のブログ -

朝鮮は何故、「青瓦台制圧訓練」を公開したのか

2016年12月20日 | 南北問題関連
2016年12月11日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮・北朝鮮)の労働新聞は、朝鮮人民軍特殊部隊の「制圧訓練」の様子を、複数枚の写真を添えて公開した。
「制圧目標」は、大韓民国(韓国・南朝鮮)の大統領府、「青瓦台」。
実に、刺激的な報道であった。

労働新聞には、「訓練は、第525軍部隊直属・特殊作戦大隊戦闘員たちの実戦能力を判定し、南朝鮮作戦地域の特殊対象物に対する打撃方法の現実性を確定する目的で行われた」と記されていた。

要するに労働新聞は、朝鮮人民軍は「青瓦台制圧作戦」を実行に移すための万端の準備を整えた、と主張したのである。

逆の立場、つまりは韓国軍部の立場で眺めれば、それは実に挑戦的だ。
合わせて韓国社会では今、「チェスンシルゲート」で、反統一勢力が壊滅的打撃を受けている真っ最中。
朴 槿恵大統領への弾劾裁判が成功的に結審するためにも、南北関係には緊張状態が高まらぬことが望ましい。

朝鮮はこの様な時期に何故、「青瓦台制圧作戦」を公開したのだろうか。
「攻・守」の側面から、答えをひも解く。

まずは、「攻」。

周知のとおり、現在の朝鮮半島情勢は、朝鮮の核戦力がアメリカを圧倒し、アメリカの敵対政策を無力化したことで、朝鮮が主導権を握っているのが現状だ。

「朝鮮がアメリカの敵対政策を無力化した」という意味は、「朝鮮がアメリカの軍事介入意志を粉砕した」という意味。
朝鮮がアメリカ本土を打撃できる核兵器を保有したので、たとえこの先に朝鮮と韓国が軍事的に衝突したとしても、アメリカは朝鮮半島への軍事介入をしない、ということ。

朝鮮半島に一触即発の緊張状態が走った「延坪島砲撃事件(2010.11.23)」当時、アメリカで国防長官を務めていたロバート・ゲーツ氏は、2014年1月に出版した自身の回顧録の中で、「あの時、李 明博政権は、戦闘機や全面砲撃による過度の報復攻撃を計画したが、オバマ大統領、クリントン国務長官、マレン統合参謀議長、そして私が李 明博大統領を説得した。アメリカの原子力空母が後に行われる米・韓軍事演習に参加するという条件で、ようやく韓国の過度の行動を思いとどまらせることに成功した」と回想している。

アメリカ政府要人の回顧録が示すとおり、朝鮮半島へのアメリカの軍事介入は、核兵器を保有した朝鮮人民軍との全面戦争に発展するとシミュレートされているので、朝鮮半島有事の際、アメリカは韓国を軍事的に支援しない。いや、できない。

問題は、朝鮮が、アメリカの軍事力の封印に成功したその後は、次の一手をどの様に考えているのか、という点である。

私の分析によれば、朝鮮は最近、これまでの統一政策を総括して、そこから得た経験と教訓からひとつの結論を導き、「新たな統一戦略」を立案したように思える。

我が民族がふたつに別れて、互いに銃口を向けあっている、「血の涙」が滲む70年の月日。
2000年6月15日、朝鮮と韓国の民族自主勢力とが誕生させた「ウリ民族同士精神」も、韓国の地に蔓延る反統一勢力らが無残にも踏みにじり、再び我が民族は「敵対の時代」へと逆戻りしてしまった。

朝鮮はこの間、韓国の地で「ウリ民族同士精神」が悲痛の叫びをあげて踏みにじられていく様子を眺めながら、その原因を探り、一刻も早く我が民族から「血の涙」を止めるべく方策を考え、そしてひとつの「結論」を導いた。

「反統一勢力とは、力と力で決着をつける以外に方法がない」。

民族の安寧よりも大国の利益、祖国の平和よりも己の権力欲を優先させる韓国の反統一勢力とは、力で決着をつける以外に方法がない。

そのための良好な環境づくりとして、まずは、アメリカの軍事力を牽制する目的で、すでに保有していた核戦力の段階的な公開に踏み切り、結果、朝鮮半島へのアメリカの軍事介入意志の粉砕に必要な戦略的段階をクリアーした。

「祖国統一大戦に向けた、絶好の環境を整えた」。

労働新聞が公開した「青瓦台制圧報道」は、韓国の反統一勢力との最終決戦に不屈の精神をもって臨み、「新たな統一戦略」を必ずや完遂して見せるという、朝鮮の確固たる決意表明であると理解すべきである。

次に、「守」。

周知のとおり、現在の韓国社会は、大混乱の真っ最中。
政治家および財閥への民衆の不信は極点に到達し、革命を求める蝋燭の炎は、毎週末ごとに激しさを増すばかりだ。

このような時、決まって韓国の一部の政治家(反統一勢力)らは、国家混乱の解決策を「北風」に求める傾向を顕著に示す。

彼らは、「敵が攻めてくるのに、国内が混乱している場合ではない」などと、国民の不満の矛先を「北」へと差し向けてみたり、「北への憎しみ」こそが韓国国民の団結の中心であるが如く宣伝したりして、国政の難局打開を「北風」に求める。

11月29日、与党・セヌリ党の金 鍾泰(キム・ジョンテ)議員は、「連日行われている大規模なデモは、北の指令を受けた『従北勢力』らが組織し、緻密に計画されたものだ」などと発言した。

国政を代行した黄 教安(ファン・ギョアン)首相は12月10日、国務委員懇談会を緊急に開催し、「北の挑発への対抗として、軍の警戒態勢を強化すべきである」などと主張した。

さらに黄 首相は12月16日、駐韓米軍司令部を訪問しては、「北の挑発を注視しながら、北の挑発時には、躊躇なく強力に反撃できるよう、万端の待機態勢をとるべきだ」などと米軍へと懇願してみせた。

韓国の軍部は最近、アメリカに韓国への核兵器常備を懇願してみたが断られ、失意と絶望の日々を送っていたが、先ごろはドイツと契約していた500キロの射程を誇る空対地長距離ミサイル「タウルス」40発が韓国に到着したことで、「これで、遠く離れた位置からでも、F15K戦闘機で北を打撃できます」などと大はしゃぎである。

韓国軍部は今後、2017年までに「タウルス」ミサイルを177機購入し、その後は年次ごとに90機ほどを追加購入するという。
さらには、800億円の予算を投入して、韓国産空対地長距離ミサイルの開発を2018年から進め、2031年までに200機のミサイル生産を目標にするのだそうだ。
打撃目標はもちろん、朝鮮の首都・平壌である。

逆の立場、つまりは朝鮮人民軍の立場で眺めれば、韓国の反統一勢力らの動向は、不穏で実に危なっかしい。

反統一勢力らは、韓国の国政が混乱するたびに「北風!北風!」と喚いてみたり、同族を「主敵」と定めては、「挑発や捏造」を繰り返して同族を討つことばかりを考えている。
「延坪島砲撃事件」は、それの典型だ。

なので朝鮮は、韓国の反統一勢力らの挑発的行動を牽制し、韓国軍部が突発的な軍事挑発行動を起こさぬよう、制御装置を効かせておく必要があった。

そこで、「青瓦台制圧訓練の公開」である。

韓国の反統一勢力らが分別をわきまえず、一線を越えた政治的挑発や軍事的挑発をするというのならば、朝鮮は、その絶好の機会を逃すことなく、瞬発的に一気に「青瓦台」を攻め落とし、韓国に寄生している反統一勢力らを一掃するぞ、という最終警告。

そうしてみると「青瓦台制圧訓練」は、朝鮮の「攻・守」両側面の意図をもって実施・公開されたことが解る。

わざわざ指摘するまでもなく、北と南そして海外に住む海外同胞らは同じ血を分けた兄弟だ。
北と南の兵士らの軍事的衝突などは絶対にあってはならないし、そこで生まれる悲しみを背負うのは、我々自身である。

我々は、韓国社会の混乱を機会として、民族分断の原因について今いちど深く考えを巡らせ、然るべく対策を講じ、祖国統一に向けて心をひとつに合わせるべきだ。

韓国社会を煌々と照らしている蝋燭の炎は、朴 槿恵政権を追い込めば消しても良いわけではない。

「打倒・朴 槿恵」を果たしたのち、民族大団結の原則で祖国統一政策を実行に移せる、民衆の真のリーダーとなる新政権を樹立すること、それこそが韓国の民衆が背負っている歴史的使命である。

2016年が過ぎゆく今、祖国統一問題を考えてみる。

朝鮮民族(韓民族)の心をひとつに合わせることこそが、 朝鮮半島の恒久的平和実現へと向けた唯一である。
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