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違和感を覚えた映画(ネタバレしまくりです)

2013-04-22 12:31:43 | 映画!
今回は最近私が観た映画で強烈に違和感を覚えた映画『だいじょうぶ3組』と『天使の分け前』について書こうかと。どちらもネット上の評価はかなり良く、特に『天使の分け前』については絶賛している方もいたので、かなり期待していたのですが、観終わった時正直がっかりしてしまいました。ここからはネタバレしまくりなので、まだ作品をご覧になっていない方はここでストップしてください。

まず『だいじょうぶ3組』について。全体的におかしいと思うところだらけだったのですが、私が一番おかしいと思ったのは乙武洋匡さん演じる赤尾先生が生徒たちと賭けをするところ。赤尾先生は運動会のリレーの全レースで5年3組が1位になってほしいという思いから生徒に「全レース勝ったら、何でも言うことを聞く」と言ってしまいます。この時点ですでにおかしいと思うのですが、男子生徒の一人が「じゃあ先生、坊主頭になって」と言い、先生もそれを了承するのです。当時その生徒は赤尾先生のことをそれほど好きではなかったので、「先生を坊主頭にする」と発言した気持ちはなんとなく理解できます。が、頑張った子供に与えるご褒美とはかけ離れた、むしろ何かの見せしめとしか思えない「坊主頭になる」ことを赤尾先生が了承したことがまったく理解不能でした。

ひょっとすると現代の小学5年生はホロコーストでユダヤ人女性が坊主頭にさせられたとか、あるいは日本をはじめ多くの刑務所では男性受刑者が坊主頭にさせられるという知識がないのかもしれません。たとえそうであっても、自分の意志に反して他人に自分が坊主頭にさせられるのがどういう気持ちかという想像はできるはずです。しかも、映画ではリレーで1レースだけ1位になれなかった(勝てなかったのは坊主を提案した男子生徒)、つまり賭けでは赤尾先生が勝ったにもかかわらず、赤尾先生の補助をしている白石先生(国分太一さん)の発言により、結局赤尾先生は坊主になることを了承します。そして、その後の映像は、本当に嬉しそうに赤尾先生の頭にバリカンを入れる生徒たち。実際、人の髪の毛を切るのは気持ち良いことかもしれませんが、それならハサミで切らせてあげればいい話で、そうなりたいと思っているわけではない人をバリカンで坊主頭にしていることに、誰一人として良心の呵責を感じない生徒のことを本当に恐ろしく思いました。こんな風に感じる私の感覚がおかしいのでしょうか?

お次は『天使の分け前』について。もし私が小学生に「人のものを盗むのは良いこと?それとも悪いこと?」と質問したら、みな「悪いこと」と答えると思います(「時と場合による」と答える子供もいるかもしれませんが)。では、もし私がみなさんに「もし親しい友人からあなたにプレゼントされたものが実は盗品だと知ったらどう感じますか?」と質問したら、どのように答えますか? 「ほしかったものなら盗品でも購入したものでも関係ない」と答えるでしょうか?

『天使の分け前』の主人公はまだ若いのに犯罪歴が複数あるロビー。彼はケンカでまた警察に捕まりますが、恋人との間にできた子どもの誕生が近いことから情状酌量で判事から社会奉仕活動を命じられます。そこで出会ったのが指導者のハリー。ハリーはロビーたちに「盗むな、ケンカをするな」と命じます。ロビーも今度こそ更生することを誓うのですが、恋人の父親ともうまくいかず、またロビーに恨みを持つ男たちからもいろいろ邪魔をされ、結局非常に高価なあるものの一部を仲間たちと盗んでしまうのです。

そして、その半分を高値で売り、残りの半分を「天使の分け前」と称して世話になったハリーの家に置いていきます。もちろんハリーはロビーがそれをどのように手に入れたのか知りません。でも、もしそれが盗品であることを知ったらハリーはどう感じるでしょう? 私がハリーの立場だったら、「あれほど盗むなと言ったのに、なぜにまた盗んだのか? しかもそれをここに持ってくるなんて!」とショックを受けると思います。どうですか、みなさんはそれがたとえ盗品であっても、気持ちがこもったプレゼントなら素直に喜べますか?

ちなみに、私は『天使の分け前』を観る前、このタイトルにも違和感を覚えていました。「分け前」という言葉は盗んだり、不正をして得たものに対して使う言葉のような気がしたからです。原題は Angel's Share なのですが、そもそもこの Angel's Share とは Wikipedia によると「ワインやブランデー、ウィスキーなど、その製造工程で熟成を要する酒類において、「熟成中に水分・アルコール分が蒸発し、最終的な製造量が目減りする」こと」です。なので、タイトルとしてふさわしいのは『天使の取り分』の方ではないか、と思っていたのですが、盗品を分け与えたという内容からはやはり『天使の分け前』の方がより的確な邦題だと納得しました。そしてそれは気分の良い納得では決してなく、残念な形での納得でした。
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