***子供部屋のうさぎ***    

幸せは、幸せだなぁって思う心の中に小さく咲く。

■鉄の匂い020■

2017年06月18日 | Weblog
気が付くと辺りは漆黒の闇だった。
ここにきてから3時間が過ぎていた。
その間『僕』は体育座りしたままだった。
手探りでゴミ袋を探し、懐中電灯を灯す。
女は尻を突き出したままで、まだすすり泣いていた。
手元のコンビニ袋からは解けたアイスが流れ出ていて、蟻がたくさん集っていた。
静かな山中は、虫の鳴き声で溢れ返っていた。
遠くの街灯には、大量の蛾が集まっている。
『僕』は、溜息を吐いて右足土踏まずに紐を巻き付けた。
もうお終いだ。
巻き付けた紐を引っ張り、緩まないのを確認して、その紐を女の首に絡めた。
こんな筈じゃなかったのに。
女の首に絡めた紐の端を左掌に巻いて握る。
想像だにしなかった結末。
左手首に右手を添え、右足を踏ん張りながら徐々に引き上げる。
ガムテープで塞がれ声を出せない口に代わって鼻が呻き声を上げた。
ありったけの力を込めると、土を掻いて前に逃げようとした。
膝で背中を押え、更にもう一巻き首に掛けて真後ろに絞り上げる。
腰を浮かせられなくなった女は、蟹やカエルの様に脚を開いて土を掻いた。
それも暫くのことで、やがて女の両足はピンと伸び痙攣を始めた。
2分程締め続けて、鼻を覗き呼吸していない事を確かめる。
首から紐を除け、右足土踏まずに巻いた紐を外す。
左手に巻いた紐は、握り込んだ掌が開かず、なかなか取れなかった。
もう一度、顏を覗きこんで確認する。
見開いた目の白目に土が付いていた。
オンナは息絶えた。
女は死んだ。
女は殺された。
転校生の言葉遣いが気に入らなかっただけだったのに。
ちょっとやりすぎて転校生がおしっこを漏らしただけなのに。
いきなり殴られて縛られて放置されて犯されて殺されてしまった。
やったこと以上の報復をされてしまった。
『僕』は、やられた事以上の報復をしてしまったのだ。
脅かそうとしただけなのに。
意地悪を止めさせようと思っただけなのに。
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