***子供部屋のうさぎ***    

幸せは、幸せだなぁって思う心の中に小さく咲く。

■鉄の匂い031■

2017年07月01日 | Weblog
「キミなら解ってくれると思ったんだけど」
楠木くんは、『僕』の顔色を窺った。
猫は木乃伊(みいら)化していた。
苦しくて藻掻いたのか箱の内側は爪疵でいっぱいだった。
おそらく生きたまま埋められたのだろう。
余りにも衝撃的な品々と、悍ましいばかりの趣味に圧倒されて、『僕』はしばらく声が出なかった。
楠木くんは悲しそうな顔になった。
「やっぱりキミも理解してくれないのかい? ボクは気持ち悪いかい?」
『僕』は、誤解されている時間を少しでも縮めようと慌てて首を横に振った。
圧倒はされたが、嫌悪はしていない。
驚愕ではあったが、尊敬すらしている。
『僕』は解る。
『僕』が解ることを楠木くんは判る。
『僕』が解ることを楠木くんが判ることを『僕』は。
『僕』と楠木くんは、まるで幼馴染みの様に解り合えた。
それはジグゾーパズルのピースの山からたまたま取り出したふたつが隣り合わせだったかの様な偶然だった。
『僕』と楠木くんは似ている。
『僕』は楠木くんの歩いた道を追っている。
着古された肌着を盗んだり生意気な女の生爪を剥いだり髪を引き抜いたりはしたことないけど。
だがいずれ『僕』はきっとやるだろう。
同じことではないかもしれないが似た様なことを。
そして『僕』は、楠木くんがまだ体験したことがない、拉致と殺人と死体遺棄を経験している。
楠木くんに教えてあげたい。
楠木くんが教えてくれた様に。
互いの秘密を明かし合いたい。
この素晴らしい世界がふたりに共通するモノであることを確かめる為に。
『僕』は、夢中になって、一気にこれまでのことを、全て楠木くんに話した。
ジャンル:
ウェブログ
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ■鉄の匂い030■ | トップ | ■鉄の匂い032■ »

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。