***子供部屋のうさぎ***    

幸せは、幸せだなぁって思う心の中に小さく咲く。

■鉄の匂い015■

2017年06月13日 | Weblog
結局、この日はオンナを放置して帰った。
このオンナが失踪した日に『僕』の帰りが遅ければ疑われるからだ。
翌朝は、努めて平静を装い登校した。
出席を取る時にこのオンナの返事の番には少し動揺したが、それ以外はいつもと変わらなかった。
このオンナが居ないというだけで、『僕』はこのオンナの手下と他の級友に苛められたし、誰もこのオンナが登校してこなかったことを気にしてはいなかった。
お昼休みは、オンナの様子を見に山に登った。
誰とも机を向かい合わせる事なく給食を食べる『僕』が居なくなっても、誰も気に留めないことは幸いした。
オンナは縛られた紐と巻きつけられたテープを洋服ごと脱皮して脱走を画策していた。
その完成度は、放課後だったら間に合わないレベルだった。
服を全部脱がせ、肌に直にテープを貼ってぐるぐる巻きにし直す。
手足の先より、肩や腿に巻き付けた方が効果が高い事を学習した。
持ってきた給食を無理やり口に押し込む。
マーガリンを塗った食パンとビニール袋に入れたシチューはお気に召さなかったが、牛乳だけは全部飲み干した。
五時限目の始業チャイムが鳴る中、ぎりぎりで教室に戻る。
休校したオンナを手下がお見舞いに行ったらどうしようとか、オンナの親から学校に問い合わせがいったらどうしようとか、不安材料は後を絶たなかった。
が。 午後になっても放課後になっても、その話題が誰かの口から出ることはなかった。
人ひとり居なくなったのに。
もしかしたら『僕』以外はみな連携が取れていて、警察も既に捜査を始めていて、オンナの監禁場所を確認する為に『僕』は泳がされてるのでは。
尾行には十分に注意したが、それらしき人影はなく、監禁というか放置というかオンナは腐葉土の上でまる一日を過ごした。
放課後、一旦正門から出て家に向かい、遠回りして山に登った。
オンナに近付くにつれ、異臭が鼻に付きだす。
見るとオンナはゲロの他に小便と大便も漏らしていた。
『僕』をクソしょんべんと罵ったオンナが、小便どころか大便まで漏らしていた。
しかもその臭さが尋常ではない。
『僕』は初めて見た同級生の女の子のクソとしょんべんに、腹を抱えて笑った。
こんなモノが原因で『僕』は苛められていたのかと思うと、笑いは止まらなかった。
ジャンル:
小説
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