うさぎくん

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断片

2017年07月28日 | 日記・エッセイ・コラム

たとえば何かの出来事が現実であるということを証明する現実がある。何故なら僕らの記憶や感覚はあまりにも不確かであり、一面的なものだからだ。僕らが認識していると思っている事実がどこまでそのままの事実であって、どこからが「我々が事実であると認識している事実」なのかを識別することは多くの場合不可能であるようにさえ思える。だから僕らは現実を現実としてつなぎとめておくために、それを相対化する別のもう一つの現実を-隣接する現実を-必要としている。でもそのべつの隣接する現実もまた、それが現実であることを相対化するための根拠を必要としている。それが現実であることを証明するまた別の隣接した現実があるわけだ。そのような連鎖が僕らの意識の中でずっとどこまでも続いて、ある意味ではそれが続くことによって、それらの連鎖を維持することによって、僕という存在が成り立っているといっても過言ではないだろう。でもどこかで、何かの拍子にその連鎖が途切れてしまう。すると途端に僕は途方に暮れてしまうことになる。中断の向こう側にあるものが本当の現実なのか、それとも中断のこちら側にあるものが本当の現実なのか。

 僕がその時に感じたのはそういった種類の途絶した感覚だった。

(村上春樹「国境の南、太陽の西」)

画像の入ったHDDを壊してしまったことは、ちょっとしたショックだった。3年より古い時代のものは残っており、直近のものもカードにデータがある(とはいえ、2年の間には消去、フォーマットして残っていない画像のほうが多い)。少し前、2年前の正月から旧宅を出る頃までの画像が、他にバックアップもないまま失われてしまった。

自分でも意外だったのは、そういう状態になっても自分が思ったよりも平静で、仕方がない、という気持ちのほうが強かったということは前回書いた。おそらく、転居でそれまでの日常身の回りにあったものを徹底的に整理して、家そのものまで失ってしまったからだろう、と。

引用した「国境の南・・」の主人公ほどではないけど、なんとなくここへきて記憶の断層ができた感じはする。

 

昔はけっこう記憶力が良くて、いついつに何をしたとか、よく覚えていたが、最近はめっきりだめになった。

会社の子に昔作ったエクセルファイルのことを聞かれて、関数を見ながら解説し、「たぶん昔の自分が作ったんだろうけど、全く記憶がないし、誰か知らない他人が作ったみたいな気がする・・」と言ったら笑っていた。

少しずつ、旧宅の体感記憶はフェードアウトしつつある。

今頃の季節、2階の鳥たちの部屋は常時30度ぐらいでエアコンをかけていたと思う。隣の書斎は夜でも30度以上の暑さだったと思うが、不快な暑さではなかった。

階下はどうだったのか。帰宅して玄関を開けたとき、朝出かけるとき、どんな感覚だったのか。だんだんと体感が抜けつつあるのを実感する。

畳の感触、歩くとしなうキッチンの床、ふわっとした、木と紙で作られた純木造住宅のふすまの感触なども。

喪失した写真のことだが、その後、かなりの部分が回復できる可能性が出てきた。

15ドルでシェアソフトを買って、フォーマットしたSDカードをチェックしている。

削除されたはずの画像がかなり出てきた。

Q-S1で昨年1月から今年4月22日まで撮影した、16ギガの画像は、チェックの結果昨年4月ごろからの画像が残っていた。Lumix G6の画像もかなり残っていた。新たに撮影したセクションは元画像が上書き消去されているが、それ以外は前の画像が残っている。

特にQシリーズで撮った画像は、EXIFを含め残っているので、ほぼ完全に回復できそうだ。

LumixやPenシリーズは保存の状況が独特らしく、サムネイルとかも同時に拾い出されるし、EXIFも場合によっては見られない。だが、画像自体は一応みられる。

またいずれの画像も、もとのファイル番号(DSCNXXXとか)は失われている。Photo taken on 2016-3-25のような形で附番されている。

 

一方、破損したHDD(東芝のポータブルHDD)のほうは、読み取りができない。おそらく物理的な破損なのだろう。

個人での回復はおそらく不可能で、業者に頼むと10万以上はかかるダメージなのかもしれない。

 

とにかく、ちょっとほっとした。

これからはバックアップ、しっかりしないといけないね。。

 

 

 

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