大和浪漫

私、瓜亀仙人が奈良・大和路の社寺や自然、生活の様子などをお伝えしたいと思います。

十輪院とブルーノ・タウト

2008年12月11日 | 奈良市
奈良町を歩き続けたあの日、ある外国人の名前が頭から離れなかった。
その人の名前はドイツ人建築家“ブルーノ・タウト”。
私がここ最近知った建築家は、南仏マルセイユで見学したユニテ・ダビタシオンの“ル・コルビジェ”と近江八幡で散策したヴォーリズ建築の“ウィリアム・メレル・ヴォーリズ”。
“ブルーノ・タウト”のことはあまり・・・
彼の名著「忘れられた日本」(中公文庫)の一節に、
『‥‥数多くの社寺とあらゆる芸術品とを集めた奈良は、い わば日本の博物館である。/奈良に来たら、まず小規模ではあるが非常に古い簡素優雅な十輪院を訪ねて静かにその美を観照し、‥‥‥』とあり、十輪院本堂の美しさに感嘆したことが書かれているとのこと。
好奇心旺盛な私は、とにかく国宝“十輪院本堂”を観てみたいと思ったのだ。
“十輪院本堂”の感想は?って聞かれても・・・
“観照”とは難しいものやった・・・
観照・観賞・鑑賞・勧賞・感賞・緩衝・干渉・感傷・・・
結局ここでも、本堂よりも庭の石仏に目が行ってしまった。

@十輪院本堂
十輪院は、元正天皇の勅願により朝野宿禰魚養の創建と伝えられ、重文の南門を入って直ぐ正面に本堂がある。勾配のゆるやかな本瓦葺の屋根を持つ寄棟造の優美な建物で、正面に奥行き1間の吹き放しの広縁が設けられ、軒の梁を支える美しく頑丈な蟇股(かえるまた)が、一際目を引き、正面の蔀(しとみ、板)戸、格子戸、円柱が程良く調和を保って用いられ、全体に軒や床が低く小ぶりだが、中世の住宅を思わせるしっとりとした建物は、ドイツ人建築家ブルーノ・タウトも称讃している。

@ブルーノ・タウト
1880年ドイツの東プロイセン・ケーニヒスブルク生まれ。建築の学校を卒業後、当時流行ったジャポニズム、アールヌーボーに影響され、日本に関心を持ち、ベルリンで建築設計事務所を開き、博覧会出品作や色彩豊かなジードルンク(住宅団地)などの作品が国際的な評価を受けた。
しかし、ナチス政権の台頭により身の危険を感じたタウトは、日本インターナショナル建築会の招待状があるのを幸に日本に亡命した。
1933年日本に到着し、桂離宮を訪れて深い感銘を受けたのをはじめ、伊勢神宮では自然と調和した簡潔なそして厳しい形式に共感した。建築家に連れられて全国を旅し、多くの文化人や工芸家に接し日本の文化を深く理解していった。
「写真;十輪院本堂」


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