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本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

◇ エラ・フランシス・サンダース「翻訳できない世界のことば」

2017年10月10日 | ◇読んだ本の感想。
しばらく前に本屋で半分くらいまで立ち読みをし、今回図書館で借りた。
買うという選択肢はなかった。絵本は情報量が少ないので食指が動かん。……絵本にとっては言いがかりだがね。

数えたところ、世界の言語から52個の単語を選んで、意味を説明している。
たとえば最初のページに出てくるのは「ポーレッグ」。ノルウェー語で“パンにのせて食べるもの、何でも全部”だそうだ。
これは便利かもなと思った。「ポーレッグ何にする?」と言えれば早い。
日本語では「目玉焼きにする?ジャムいる?はちみつは?」みたいな個別の確認になる。
まあコミュニケーションにおいて、短く言えることだけがオテガラというわけではないにせよ。

2番目はイタリア語の「コンムオーベレ」。“涙ぐむような物語にふれたとき、感動して、胸が熱くなる”。
これは現行の日本語だと「泣けるよ」としか言えず……としか、ってわけじゃないけど、
ついつい「泣ける話」と言ってしまってその薄っぺらさに自分でがっかりする。
まあでも動詞だそうなので、コンムオーベレな物語、とも言えないが。


この本の単語を全部覚えて使えれば楽しいかなと思った。
だがよく考えてみると、言葉は相手があって初めて伝える、伝わるものなので(自分一人で言語化することにも
大事な意味があるとは思うけど)言葉の十全な機能としては物足りないのであった。




日本語で取り上げられているのは「木漏れ日」「ぼけっと」「わびさび」「積ん読」の4つ。
52個のうち4つというのは高い割合だが、なにしろ著者は個人の努力で言葉を集めたようなので、
世界の言語をまんべんなく網羅しているというわけではない。
面倒なので数えないけど、言語数としては20ちょっとくらいかな。

「木漏れ日」は盲点。
ああ、他の言語にはないかもねえ。と言われて思う。

「ぼけっと」は“なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くをみているときの気持ち”と訳してあって、
著者のコメントとしては「日本人が、なにも考えないでいることに名前をつけるほど、それを大切にしているのは
すてきなことだと思います」とあるが、……「ぼけっと」はそこまでポジティブな意味ではないので、
ちょっとこのコメントは勘違いしているなと思う。
「ボケっとすんな!」「何をボケっとしている!」という使い方の方が多いでしょう。

「わびさび」は超有名な日本語。だよね?
訳が“生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと”。
どうですか、日本人のみなさん、この訳は。わたしは何か微妙にもやっとしたものを感じます。
自分なりの訳は、……ちょっと面倒なのでいつか時間のある時に考えます。

「積ん読」はニヤリ。
まあ言うたら、積んでおく(読んでない)という状態を、「既読」「未読」「熟読」などの「~読」の単語の仲間にしている
面白みがメインの言葉だと思うので、なかなか外国人にはわからなかろう。
多分著者もそこまでわかっているわけではないだろうね。


イラストもきれいなので、いい本ではあると思う。好きだ。
ただ少し値段が高いかな……
1000円位で出てたら、ちょっとしたプレゼントにいいと思うんだけど。



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アマゾンで「実用書ではない」という低評価のレビューがあって、なんだかなあ、と思った。
これで実用書を期待されても……その方が無理だというか。
ネットでタイトル買いするとしても、表紙の雰囲気とページ数くらいはチェックをしたほうがお互いのためではないか……




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