プラムフィールズ27番地。

本・映画・美術・仙台89ers・フィギュアスケートについての四方山話。

< 京鹿子娘五人道明寺 >

2018年01月24日 | ☆映画館で見た映画。
シネマ歌舞伎でした。


しかしまあ舞踊は飽きる。
……と言っては身も蓋もないが、やっぱり普通の人が見るにはなかなかハードルは高いと思います。
30分程度なら飽きずに見られるかもしれないが、2時間超ですもんねえ。
時々寝た。

とまで言いつつ、舞踊としてはけっこう面白かったと思う。

わたしやっぱり、中村屋のあの兄弟好きかもなあ。勘九郎と七之助。
他の人を見てないということもあるかもしれんけど。
今回の五人道明寺は玉三郎と勘九郎と七之助と梅枝と児太郎の5人で踊る。
梅枝と児太郎は知らない人。
正直、立ち位置が変わったりすると誰が誰やらわからなかったんですけどね。
みんな衣装同じだし。


玉三郎は、あんまり存在が偉大過ぎて、わたしはもはや一人の役者としては見られなくなっている。
すでに別な世界に行っちゃっている気がする。なのでいれどもおらぬような存在として、
今回の舞台でもあまり目に留まらなかった。

勘九郎と七之助の兄弟は何ともいえない可愛げがあると思いませんか。
わたし七之助の動きはいつもきれいだなあと思って見ているけど、兄弟揃うと可愛げが倍加する。
あれはなんなんだろう。1+1が2.4くらいになっている。

梅枝はちょっと婀娜っぽさがあって、道明寺にはぴったりとは見えなかった。
世話物の芸者や花魁なんかは合うのではないか。
逆に児太郎は清々しい、初々しい印象で可愛く、……逆の意味で道明寺には少々難かもしれないが、
純情な赤姫とかはぴったりだろう。これからちょっと期待したい。


「道明寺」で1時間以上はやっていたんだろうな。
さすがにそこずっと舞踊を映すとダレるという判断だろう、時々役者たちのインタビューを
映すんですよ。ほんの2、3分ずつ。細切れに。何度も。

これはどうだったんだろうなあ。まあ確かに画柄を変える必要はあったとは思うんだが、
……なにせ彼らが言っていることが大して面白くない。内容がない。
「玉三郎のおじさまについて行って勉強させていただきます」という紋切型のことを
4人が何度も繰り返して言っているだけなので。
1人が何度も言うだけでもうざったいのに、×4ですからね。飽きること甚だしいわけです。
もう少し内容のあることを語らせるのなら意味がある、しかし単なる箸休めでは適当感が拭えない。

その他に舞台の間の衣装の着替え部分も映してて、これはいい演出だと思った。
とはいえ衣装替えは何度もあるわけで、(少なくとも5回くらいは変えたはず)
衣装替え自体は同じことをやっているわけだから、こっちも飽きることは飽きた。
でも空気感を感じられたので良かった。

舞踊は5人ともさすがのレベル。……だとわたしは思うけれども、詳しくないので
真実のところは全くわからない。
勘九郎、女形もやるんですねえ。違和感なし。

ただ、最後蛇の衣装で釣り鐘に登るが、あそこはもう少し個々の顔を映してほしいところ。
釣り鐘の上にいる玉三郎と勘九郎は一応寄って映すんだけど、他の3人は遠景で映るだけだった。
玉三郎、だいぶお年になっているとは思うが、あの高さの釣り鐘に階段だか梯子だかで
よく登りますね。


囃子のおっさん方がカワイイ桜裃で、ごつい顏で真剣に演奏している姿は映像が寄ると可笑しかった。


聞いたか坊主が20人くらい団体さんで出てくるが、花子は5人とも花子なのに、
坊主には1人1人名前がつくのか~と思った。



※※※※※※※※※※※※



同時上映「二人椀久」。


わたしはこのタイトルの作品を全く知らず、道明寺という舞踊がメインであるからして、
こっちは全く気分を変えて、落語みたいな笑える短い話をやるんだろうなと思っていた。
椀久さんが二人いて、取り違えが起こったりとか。
そしたら全くそんなことはなく、道明寺以上にシリアスな舞踊でした。

長々と道明寺を見たあとにまた舞踊かい!としみじみ飽きた。
まあそれはわたしが日舞もやらない不調法者だからして、2時間見たい人はいるだろう。
なので不問に付す。しかし初心者に優しくないつくりではあるわな。


ただし舞踊としては美しかった。
勘九郎。顔がごついのでそこまで美形ではないが、白塗りで椀久をやっていると、
仁左衛門さんを思い出した。あの黒目の大きさはコンタクトか何かいれてるんですかね?
なよなよしていて、最初「女か?しかし髪短いし尼さんではないし……」と悩んだ。
美しい動きでした。

そしてそれを相手に玉三郎が踊るんだけどさ。
やっぱり並んでどう見えるか、というとマザコンの息子と強い母にしか見えないわけで……
恋人同士には見えないんだなあ。玉三郎も身長高いしね。
この辺は近接して映す映像表現の限界だろう。舞台だとまた違うだろうと思うが。

「二人椀久」も思ったより長さがあった。
んー、やっぱり舞踊2時間はつらいなあ。今後は遠慮しておこう。


しかし6月に来る、猿之助と新幸四郎のやじきた殺人事件バージョンは楽しみにしている。
面白そう。そこまでミステリになるかというとならないとは思うが、
おじさんから受け継いだ“奇の系譜”を猿之助がどう発展させてくれるのか。
ふふふふ。楽しみじゃないですか。



コメント
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