Ununzの夢見

夢へと向かい、私の夢は私的捕らわれから下降しきれない私の夢。ですが、あれらは想像(創造)を補う地下水脈でもあるのです

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夢見【36】濡れた布団もいつかは乾く(了)

2016-03-25 22:44:53 | 夢見
(916字)
 所長のH守氏から私へ、あの組織で働くことの社会的意義についてありがたい話。

 彼は盗んでいないと、面と向かい一度も目を逸らさず至極冷静に、一切言葉をつまらせることもなく、穏やかな抑揚で告げた。そうなんだ――……だとしたら誰が。

 正座をした人の腿の上に正座をして座っている。目の前は幅十数メートルの擬似レンガ造りの階段の下り。右と正面にも同様の階段があり、それらに囲まれるようにして広いスペースの踊り場には、色とりどりの花が植えられた花壇は材質をやはり一[イツ]にしてある。顔を上げると奥には四、五階建ての巨大ショッピングセンターがある。最上階は庭園となっていて、一階下の外周もぐるっと囲む形にテラスとなっている。その外壁には地の色がピンクに、踊る勢いの白い筆記体で宣伝文句が書かれている横断幕。雰囲気は何故か厚木か海老名だ。
 布団を四つ折りにして脇に抱え件の階段を降りていく。乾燥機にかけ終わったので家へ帰ろうと思っている。途中で誰かに呼び止められ、今自分が運んでいるものが姉のものだったと知らされる。

 場面変わる。結婚式場なのだが、キャンドルサービスのために部屋の照明が消され、正面の新郎新婦と彼らの両親が座るテーブルだけが地面に埋め込まれた数個のスポットライトによって、光に浮き上がっているのだった。
 いつの間にか集合写真を写すために、列席者が全員三列に並んでいる。金ボタンの紺色ジャケットを着て蝶ネクタイに半ズボン、という出で立ちの小学生が視線の外から突然表れ、新婦に向かってにやりとして話しかける。どうやら初夜はどんな具合だったかとか、そんな感じの下卑た話題だ。周囲の人間は止めようともしないで無表情にカメラのレンズを見つめている。新婦だけが口に手を当てたり顔を背けたり、目尻の涙をショールで拭ったりしている。この地方の全く馬鹿げた習慣とかで、しかも子供達も最初の幾分かおどおどした、命令されて仕方なしにやっているいたずらといった感じはすでになくなり、彼自身が十二分に楽しんでいる実にグロテスクな光景だ。彼女は外から来た人間なのだろう。
 集合写真の最前段には黒い留袖を着た私の祖母が写り込んでいた。
 

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夢見集【33】~【37】

2016-03-20 12:10:36 | 夢見集

『いやなことを思い出す』(423字)
 N上とW森、そして私の三人でビリヤードをやっている。初めは順調にゲームを重ねていくが、N上はこちらに対して一人でやれといってくるのだった。何故だと思いながらも一人でやることにすると、二人で女の子についてやら何やら、密談めいた感じで勝手にやり始めた。どうにも気分が悪い。その話には混ぜてくれないみたいだ。
 ビリヤード台のラシャの端あたりには太さキュー一本分と同程度の棒が立っていて、そこに様々な大きさの木材が紐でくくりつけられたりネジ止めされている、一見乱雑に見えるが最終的に示される運動の終着は単純な目的となるところのもの、そのために作られた木製のピタゴラスイッチがくっついていた。邪魔に思い取り外そうとするが、N上は外さないほうがいいと少し遠くから、後ろを見せていた顔を半分だけ向け注意してくるのだった。
 結局何も出来ないしさせてくれない。彼らの関係は時々そんな感じになり、私もまた時々嫉妬をどうにも隠せないほどになることがあるのだ。





『和解・成長・疑惑再燃・復讐』(1715字)
 かつて働いていた職場でいざこざになった高校生二人組のうち、その片割れの一人と街中で座って話している。
 場所は個人商店の前にある小さな石段。雰囲気はあの街の現地の近くといった感じだ。俺が下から二三段辺りに座り、何故か後ろで脚を広げこちらの体をそのあいだに挟む、妙な体勢でI岡が座っている。元高校生は時々近くの地面に腰を下ろし向かい合い、また背を向け身体を左右に揺らしながら周囲を小さな輪を描くように歩く。
 俺は目の前をふらふらしている相手に、人生ではどれほどの困難が待ち受けているのか、お前たちの知っている世界はどれほど狭く、またどうやって生きていくことが正しいことであるかなどをそれとはなしに語っている。一応話を聞く姿勢を向こうは持っているようだった。当時よりも少しだけ大人になって落ち着いたのか。
 こちらにも怒りや不快感、憎しみなどの感情はあまりなく、であっても話しているときには相手に色々と教えることを通して、どれほど自分たちが無知無力であるかを知らしめさせたいと思っている。それとなく不安や悲観の植えつけによって頭を抑えつけてやれればいいと、ちょっとした復讐心も混じっている。

 現在座っている石段から十メートル程度先に、薄めの灰色によれた半袖のYシャツ、下は群青色のだぶついたスラックスと風采が上がらない男性(ホームレスよりは小奇麗にしているが、生活保護を受け昼間から何することもなく街をふらふらとしているイメージ)がいて、近くの植え込み周辺を手ぶらでウロウロしていた。何かを探しているようにも漁っているかにも見えた。どちらにしろ安酒に呑まれている酔っぱらいの調子で、顔はニヤついている。
 元高校生は当時を思い出させる相変わらずのイヤな顔をしだして、目の前の男性にちょっかいを出そうと窺っているみたいだった。その人に何かをすれば、俺は少年を躊躇なく遅疑なく全力で殴ろうと、自分の中で固く強く決意する。目的もはっきりせず所在なげに、あるいはめぼしいものがないか探しているのかもしれないが、昼間の街中で自らが異様な姿として目立つことすら気付かず、植えこみ周辺をウロウロしているように見える男性の姿は情けなく、醜いと言っていいものだった。
 しかし様々な辛苦を経験してきた人生である。末に現在の惨めとも映る状態になったのだろう。あくまでもおそらくだが。
 家族だったり、例えばだが支援機関の人間や役所の生活保護課の人間に生活態度を指導され、改善を促されるために多少きついことを言われるのは場合によっては仕方ない、あるいは必要であるとも言える。ただ、何の苦労もせずに親に甘やかされ庇護されて育てられてきただけの子供(夢の中では二十歳くらいのイメージ。大学生の雰囲気はなく、フリーターかニートという感じでまだ親の脛かじりをしているようだった)が、彼の存在を否定したり目の前の姿を馬鹿にしたりするのは絶対に許せない。

 後ろにはI岡がいるので、それなりには援護してくれるかもしれない無闇な期待はあった。仮に彼が手を出さなくとも公平な審判者の顔でいてくれるなら、何より巡りが悪く話し合いのきっかけがすれ違うとして、互いからの自棄気味な問題解決という力任せの場面にエスカレートするかもしれない状況を抑える役割を担ってくれるのではないか? それに特にこちらが不利となった場合でも、正当な理由を有する教え諭し、叱りつけの行動であるとする判断の後押しを友人の情において多少の贔屓も期待したかった。
 話し合いや言い聞かせの段階で過剰な暴力的・拒絶的な反応をするなら、とりあえず冷静さを装っていても単純に頭数の問題で相手への沈黙を促せる。また単に無視しようとすれば、I岡の無言に見透かす視線は自分が怒りを込めて睨みつける以上に心中を掻き乱す圧力になることは間違いない。なにしろ、彼は俺や眼の前の冴えない中年男性とは違いまともな側の大人だったから、元高校生のあらゆる点に対して上位に立つ存在なのだ。
 まだ人間的に成長していなかったことに対する苛立ちと、これで事によればぶちのめす正当な理由がつくれたと思い、薄暗い熱に浮かされる。





『代わりといってはなんだけど』(491字)
 宴会場に入って長テーブル前にまで来るとN上とその姉が座っていた。こちらのことにも気がついたようだ。二人は本当に似た顔をしていて、1.5卵性双生児くらいの感じだ。彼らの斜め前あたりに腰を下ろしたかったが、どうやら駄目らしいというので遠慮しないといけないことが分かる。仕方なく離れた位置に座る。
 なんとなく残念な気持ちでだらりとあぐらをかいて足を休めていると、後ろにも同じテーブルがあって自分の背中越しに中学の同級生Y田部がいるのだった。懐かしい顔だ。あの頃と変わっていない。肉付きの良い大きな四角い顔は当時では老けている印象すら与えたが、時を経た現在となってはむしろ子供っぽい顔付き。彼に声を掛けられるが特に話すこともなく、一応の愛想を込め挨拶だけを義務的に返す。中学時代から特に仲が良かったわけではないから。
 N上と話が出来ないのならしょうがないと恨めしい気持ちを残しつつ半ば諦め、しかしこれじゃせっかくの飲み会なのに話をする相手がいなくなった。一言の短い会話を終えて自分の着く席の方へ向き直ったY田部の肩口を軽く叩いた。再度相手になってくれるように促してみることにしたのだ。




『濡れた布団もいつかは乾く』(916字)
 所長のH守氏から私へ、あの組織で働くことの社会的意義についてありがたい話。

 彼は盗んでいないと、面と向かい一度も目を逸らさず至極冷静に、一切言葉をつまらせることもなく、穏やかな抑揚で告げた。そうなんだ――……だとしたら誰が。

 正座をした人の腿の上に正座をして座っている。目の前は幅十数メートルの擬似レンガ造りの階段の下り。右と正面にも同様の階段があり、それらに囲まれるようにして広いスペースの踊り場には、色とりどりの花が植えられた花壇は材質をやはり一[イツ]にしてある。顔を上げると奥には四、五階建ての巨大ショッピングセンターがある。最上階は庭園となっていて、一階下の外周もぐるっと囲む形にテラスとなっている。その外壁には地の色がピンクに、踊る勢いの白い筆記体で宣伝文句が書かれている横断幕。雰囲気は何故か厚木か海老名だ。
 布団を四つ折りにして脇に抱え件の階段を降りていく。乾燥機にかけ終わったので家へ帰ろうと思っている。途中で誰かに呼び止められ、今自分が運んでいるものが姉のものだったと知らされる。

 場面変わる。結婚式場なのだが、キャンドルサービスのために部屋の照明が消され、正面の新郎新婦と彼らの両親が座るテーブルだけが地面に埋め込まれた数個のスポットライトによって、光に浮き上がっているのだった。
 いつの間にか集合写真を写すために、列席者が全員三列に並んでいる。金ボタンの紺色ジャケットを着て蝶ネクタイに半ズボン、という出で立ちの小学生が視線の外から突然表れ、新婦に向かってにやりとして話しかける。どうやら初夜はどんな具合だったかとか、そんな感じの下卑た話題だ。周囲の人間は止めようともしないで無表情にカメラのレンズを見つめている。新婦だけが口に手を当てたり顔を背けたり、目尻の涙をショールで拭ったりしている。この地方の全く馬鹿げた習慣とかで、しかも子供達も最初の幾分かおどおどした、命令されて仕方なしにやっているいたずらといった感じはすでになくなり、彼自身が十二分に楽しんでいる実にグロテスクな光景だ。彼女は外から来た人間なのだろう。
 集合写真の最前段には黒い留袖を着た私の祖母が写り込んでいた。




『嘘栄養学入門/俺は遠慮しておく』『嘘栄養学入門』(333字)
 ビタミンDやカルシウムなどといった栄養素は体にとって非常に重要なものであるが、一見バランスよく食事を摂っているつもりでも、どうしても当該物質に関しては身体に取り込まれる量が長じては過多となってしまう。
 その場合「酢」を食事に加えることによって、体に吸収される量が適正なものとなる。「酢」の『ケンドロース』という成分が影響しているからがその理由なのだ。しかも吸収量は抑えられつつも、それを摂取しない時に比べてより短時間で効率的に身体に摂り込まれる、至れり尽くせりの成分だ。
 仮に知らずにいて、または怠ってしまうと最大で20倍くらいの不要な栄養素が体の中に入り込み、高ビタミンD症や高カルシウム症に罹るのだとか。

夢を振り返って:もちろん正しくない情報だ。 





『俺は遠慮しておく』(494字)               
 下水道を通り、通路の進行を塞ぐ赤錆の浮き上がる鉄柵の前に設けられた、一時水量調整池の前で一旦足を止める。水深は50cmもないだろう。手にしていた中ジョッキにはビールの素と呼ばれる粉末があらかじめ入れてあって、しゃがみ込んで下水を直接容れ物に取る。そうすることによって綺麗なビールが出来上がる。
 泡立ちも細く、柔らか。ジョッキの外には細かな汗をかいている。居酒屋に入店直後の彼らが抱え今にも轟かんばかりの興奮の高まり、それらをうまい具合になだめ落ち着かせる最もふさわしい飲み物として、『乾杯』という一言がおもむろに弾け、続いてたおやかな笑顔が互いに交わされる。爆発と収束の混在とした一杯が空気を満たす。そのために運ばれてきた、キンキンに冷やされ黄金色に輝くアレだ。匂い立つような、労働者の命の水といっても良い、いかにも美味そうなビールだった。
 あくまでも見た目はそう映るだけであって、私は勧められても絶対に口につけるつもりはなかった。
 お笑い芸人のHは手に持ったジョッキを傾け実に美味そうに飲む。私は一瞬見た目に騙されそうになったがやはり中身は下水ではないだろうかと、信じられない気持ちになる。 

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夢見【35】代わりといってはなんだけど(了)

2016-03-05 19:15:31 | 案内・告知

(491字)
 宴会場に入って長テーブル前にまで来るとN上とその姉が座っていた。こちらのことにも気がついたようだ。二人は本当に似た顔をしていて、1.5卵性双生児くらいの感じだ。彼らの斜め前あたりに腰を下ろしたかったが、どうやら駄目らしいというので遠慮しないといけないことが分かる。仕方なく離れた位置に座る。
 なんとなく残念な気持ちでだらりとあぐらをかいて足を休めていると、後ろにも同じテーブルがあって自分の背中越しに中学の同級生Y田部がいるのだった。懐かしい顔だ。あの頃と変わっていない。肉付きの良い大きな四角い顔は当時では老けている印象すら与えたが、時を経た現在となってはむしろ子供っぽい顔付き。彼に声を掛けられるが特に話すこともなく、一応の愛想を込め挨拶だけを義務的に返す。中学時代から特に仲が良かったわけではないから。
 N上と話が出来ないのならしょうがないと恨めしい気持ちを残しつつ半ば諦め、しかしこれじゃせっかくの飲み会なのに話をする相手がいなくなった。一言の短い会話を終えて自分の着く席の方へ向き直ったY田部の肩口を軽く叩いた。再度相手になってくれるように促してみることにしたのだ。

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