湘南徒然草

湘南に生まれ、育ち、この土地を愛し、家庭を持ち、子育てに追われ、重税に耐える一人の男の呟き。

「快慶展」で印象に残った作品・・・奈良の旅2017

2017-06-08 19:23:46 | Weblog
奈良の旅は「快慶展」を観に行ったものです
そして、思いの外充実した旅となったので
「快慶展」について、語らずじまいになってしまいました
そこで、少しだけ「快慶展」について話します

「快慶展」は素晴らしかったのです
本当に「快慶展」を観ただけでも、奈良に行った価値はあったのです
しかしながら、これを言葉にするとなると
私は、考え込んでしまいます・・・難しいです

そこで、ワンポイントだけ、ここに触れます

「僧形八幡神座像」

について、です

壮年の僧侶の座像です
おそらく、実在のモデルがいると思われます
かなりイケメンでもあります
褪色が少なく、着物の絵柄もしっかり残っていて
彫刻というより、等身大のリアルな人形です
直視し続けるのが、はばかられるような像です
表現が、生々し過ぎるのです

快慶は、なぜ、その作品を作ったのでしょう
勿論、注文があったから作ったことは確かですが
この作品に快慶が込めた思いが、私には気にかかるのです
この作品だけは、他の作品の、どの類型にも当てはまりません
快慶が、特別な思いを込めて、作ったことは確かです

人の形をした神・・・
彫刻作品ですから、当然、人の形に作るしかありません
外観上は人にしか見えないわけです
それを神と見えるように表現することの困難・・・
神のごとき神々しさを表現してしまえば、それは神像になってしまいます
あくまで”人”に見えなければならないのです

快慶は、壮年のイケメンの僧侶の像を作りました
何も知らないで、その像を見れば、僧侶の像にしか見えません
私の見るかぎり、神様には見えません
神を暗示する表現が、どこかにあるのかもしれません
それは、私には分かりません
確かなことは、これが快慶の選んだ表現だということです

快慶は、この注文を受けた時、深く悩んだ・・・と、私は考えます
そして、考え抜いた末、到達したのが
この表現だったのです

「人を作ればいいのだ」・・・快慶は覚悟したのです

快慶の心の中に、一つの閃きが起きました

「人の中に神が宿っている・・・それを表現すればいいのだ」

鎌倉時代の彫刻の特徴は”リアリズム(写実主義)”です
物理的形状を正確に写し取ることが表現の基本です
そうした表現の修練を積み重ねていくうち
快慶は、物理的形状の奥底に”神”や”仏”が見えてきたのです

快慶は仏師です
たんなる彫刻家ではありません
快慶の作品は、彼の信仰に裏付けられて作られ
人々の信仰の拠り所となるものです
ただ形を創り上げるのではなく、そこに魂を込めなければ成りません

写実の技術と、魂を込める表現を探求し続けるうちに
快慶がたどり着いた人間観が
”人の中に神が宿る”というものだったのです
快慶は、迷わず、それを表現したのです
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-06-08 21:17:44
仏さまの魂を感じますね。

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