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フィルメックス「山〜モンテ〜」アミール・ナデリ

2016-11-26 03:13:06 | Weblog


「山ーモンテー」アミール・ナデリ@フィルメックス
https://youtu.be/IZlJbx7CtEo
いやあ、これ凄かった。
ナデリすげーよナデリ。
(以下ネタバレお気をつけください。)

主人公は山の麓の村で妻子と暮らすアゴスティーノ。
巨大な岩山に囲まれて、陽が差さず作物もろくに育たない村に住む主人公家族が、どんどん窮状に追い込まれていくんだけど、
最初な娘のお葬式のシーンから始まって、「これ色補正してるの?」ってくらい画面がグレー。岩肌、地面、人の肌、髪、家の内部、全く色彩が無い。
木で作ったカトラリーや人形を市場まで売りに行くと、陽の差さない村に住んでいるというだけで忌み嫌われ蔑まれ陰口を叩かれ、物は全くもって売れない。
そんな中、ある通りかかった村人が「盲目は神を信じていないということ」と言いながら、御守りをアゴスティーノに渡す。握りしめるアゴスティーノ。
その次のシーンが、いきなり青空広がるお天気の、緑豊かな山の上で、清潔な衣服を着た村人達が真っ赤なスイカを食べていて、
とことんグレーの埃っぽい世界から、いきなり天然カラーの生き生きとした世界に画面が変わって観ているこちら側もビックリする。
亡くなった娘と同じ年頃なのであろう女の子は、白い服を着て笑顔で幸せそうだ。
同じ世界で、隣り合わせの土地で、まるで天国と地獄くらい落差のある生活がそこにある。
どうしようもない貧困に、その豊かな人の家の鶏を籠に入れて盗もうとしたりするんだけど、思いとどまって返したりする。
貧しくても人として踏み越えないところをちゃんと持っているのだけど、売る物が尽き、仕方なく妻の櫛を売りに行くと、「盗品だろう」と無実の罪で追いかけられる。
その途中、逃げ込んだ家屋の壁には、十字架とイエスの絵が書いてあり、アゴスティーノはイエスの像に祈りを捧げようとするが思いとどまり、供えてあるローソクを消す。
村人にもらって首に下げていた御守りも石で砕く。
そしてそれから無心に岩壁を取り憑かれたようにハンマーで砕く。岩壁はもちろんビクともしない。でも、全身の力を込めて砕こうとする。
もうそれは紛れもなく神への怒りだ。
本当は神を信じたい。感謝もしたい。でも、こんなんじゃ信じることも感謝することも出来まいよ。
陽の射す村に住む人々と一体何が違うというのよ。
いま私はアゴスティーノと同じところにいるからね。
ガッツリ自分に引き寄せて観たよね。

「神よ、貴方が本当にいるというなら、その姿を見せてくださいよ。」

そんな憤りにも似たどうしようもない衝動がアゴスティーノを突き動かす。
行方不明になって息子も現れて、とにかく親子で岩壁を叩き続ける。
そしたらね
いきなり山が崩れるんですよ!!!!!
凄い勢いで、小さい人間二人でたかがハンマーで殴ったくらいじゃ崩れないよねってくらいの大きな山がががががーって、物凄い勢いで。
それで、太陽が現れるの
デカくて黄色でオレンジな
神は彼らに岩山を崩して太陽を差し出したわけ。

あたしの下手な文章じゃこの映画の凄さはとても語れないけど
なんか観ながら色んな事を想ったよね。
とんでもない貧困で、グレーな世界にいるけれど、それでも主人公には家族があるよね。私にはいない。
(独りであんな岩山にいたらとても生きてはいかれない。やっぱり人は家族を持った方がいいな。)とか
貧困と豊かさ、白黒と色彩、神と悪霊、世の中の二元性を超えたところにあるノンデュアリティーを作品にするとしたなら、
実は杉本博司の劇場シリーズってそれなんじゃないかとか
(映画が一本上映される間露光すると、結果、スクリーンは真っ白になるというヤツ。どんなストーリーを上映しようと、残るものは「光」しか無いっていうあれね。)
そう思うと杉本博司の表現ってやっぱり覚醒の方向だよね。とか

でも、この映画のラストが太陽で、あたしは救われたよ。
もう、本当にそういう作品しか観たくないと思っていて。
しかも、本当に圧倒的な太陽なのよね。画面一面の、人間はひれ伏すしかないよねっていう絶対的なそれ。
人が奈落の底まで落ちたとしても、そこに光が差して、何かをまた信じられるようになるみたいな、
顔を上げることが出来るんだって示してくれるような物をね。
やっぱりナデリは描いてくれて。

音がとにかく凄いので、これを樋口さんの爆音で観れたら幸せだね〜って思いました。
そして欲を言えば朝日ホールじゃなくて、ヒルズ7番スクリーンとかで観たかったな。せめて日劇とか・・(朝日ホールでも十分迫力あったけど)
西荻に物件借りて半年間篭って音編集してたんだってナデリ。
次は月に行く映画を撮るらしい。
ナデリ70歳。新藤兼人くらい長生きして一本でも多く映画撮って欲しい。
次回はまた西島さん出してね(はあと)
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