宝石ざくざく◇ほらあなJournal3

ロシア語をはじめ、外国語学習に関するあれこれを書いておりましたが、最近は…?

好きな文章 音楽編2

2015年11月06日 | 
続・コラムニスト中野翠さんの文章で好きだったもの。

各ジャンルの熱心な音楽ファンには眉をひそめられそうですが(^^;

『東京風船日記』(新潮文庫)所収

1989年4月18日の日記より

青山のブルーノートへオスカー・ピーターソンのライヴを見に行ったときの話の後

(引用)
 つくづく思ったのだけど、私もこれからはジャズだなぁ、って。なんといってもジャズは座りっきりでいられるのがいい。ロックのコンサートに較べるとめっきりラク。かんぺき、グータラばあさんね。座りっきりでいられるという、ただその一点で私はジャズを好きになる決意をした。こういう基準でジャズに転向する人も珍しいかもしれない。
(引用終)

86年のライヴでは立ち上がりたくてウズウズしていた中野さんですがー
しかし、この「ラク」っていうの、分かるー(^^;

一応フォローいたしますと、たぶん文章的なおもしろさを優先して上のような書き方になっただけで、もともとジャズも好きだったんだと思う。ルイ・アームストロングとかエラ・フィッツジェラルドとかのヴォーカルについて書いていた文章もどこかに(すぐに探し出せない(^^;)あった。

この『東京風船日記』は、マガジンハウスの雑誌『Hanako』での1989~1992年の連載をまとめたもので、現在は絶版らしいのだけれど、本としての工夫も楽しく、たぶん期せずしてバブル時代を検証する際の貴重な資料にもなっていると思うので、ブック・オフ等で見かけたら、即買いをお勧めします。

というのは、この本の各奇数ページの端にはグラフがついていて、冒頭の「本書の使用方法について」を引用すると、このグラフは
「当時の東京証券取引所第1部の平均株価を表すものです。グラフ中の風船の位置が株価を表しています。本書を手にとり、パラパラマンガの要領でページをめくると風船が上下し、株価の動きが手にとるようにわかる、というしかけになっています。お楽しみ下さい。」
とのこと。
文庫発行は1993年だから、まだこんなのんきな感じで当時を振り返っていられたのねー。

ちなみに1989年4月18日のページの風船は目盛り3万3千円くらいのところに浮かんでいる。
(しかし昔も今も大きな数字に弱く経済オンチの私、いまいちピンとこないのであった(^^;)

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